理系のメロスが邪智暴虐の王から友人を助けるためテクノロジーを駆使する漫画に、ツッコミが追いつきません。頭良いこと言ってるはずなのにボケてるとしか思えないの、なんで。
「メロスは特に激怒しなかった」。初手からこれである。メロスは笛を吹き羊を全自動で養殖し、メルセンヌ素数とかいう数を手計算で探索して暮らしていました。しかし憶測で物事を判断する王を批判したため不敬罪で捕まり、死刑を言い渡されてしまったのでした。
メロスは妹の結婚式に出るため3日後の日没まで猶予が欲しいと言いましたが、王は逃した小鳥が帰ってくるわけがないと言って信用しません。そこでメロスはパソコンでヘリを呼び、「俺はテクノロジーの力で必ず帰ってくる」と約束したのでした。時代設定はロストしました。
人質となったセリヌンティウスに、完璧な工程表と安全マージンがあることを伝えて旅立ったメロス。しかし途中の豪雨でヘリ移動は断念、やむなく結婚式はオンラインで参加しました。そしてダイクストラ法とかいうアルゴリズムで王城への最短経路を割り出し、途中の困難はテクノロジーで乗り越えながら城に向かったのでした。
メロスが城に到着したそのとき、セリヌンティウスの死刑が執行されようとしていました。王は日は沈んだと言いますが、メロスはまだ太陽の上端が地平線に接していないのでは、と疑問を投げかけます。そこでVARチェックの登場です。ワールドカップでの記憶も新しいテクノロジーを使った判定法で、メロスが刑場に入った瞬間の太陽が地平線から離れていたかどうかを見極めます。果たしてその結果は――?
テクノロジーの勝利で感動的な(?)結末を迎えた物語には、「走れよ、メロス」「激怒しろよメロス」「ヘリの話かと思ったらサッカーの話だった」など、読者からのツッコミが止まりません。理系ってたまに……、いやなんでもない。
作者は漫画家の山本アリフレッド(@man_Arihred)さん。現在COMICメテオで『理系が恋に落ちたので証明してみた。』を連載しており、2月に最新刊14巻が発売されました。理系走れメロスは同作の番外編として描かれたものです。
作品提供:山本アリフレッド(@man_Arihred)さん
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