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寄付されたリードを破棄するよう指示、給与明細と離職票がもらえない―― 動物保護団体代表の疑惑を元スタッフが告発(後編)(2/3 ページ)

元スタッフと関係者に取材しました(後編)。

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雇用保険未加入なのに雇用保険料が天引きされていた

 元スタッフ3人を退職後も苦しめているのが、「齋藤代表が必要書類の交付を行わない」ことである。記事執筆時点、採用サイトに掲載されているSPAのトリマー、グルーマーの募集要項には、福利厚生に「雇用保険」と明示されている。しかし給与から雇用保険料が天引きされていたにも関わらず、雇用保険未加入の元スタッフもいたという。また、給与明細や、離職票についても何度申請しても回答はないと元スタッフは証言する。

「SPAにいる間に何度もお願いしましたが、給与明細は一度ももらえませんでした。いまだに連絡は未読スルーのままです。私は明細がないので雇用保険料が天引きされていたかは分かりませんが……。『退職にともなう書類をください』とお願いしても同じで、離職票も源泉徴収票ももらえていません」(Bさん)

「私は何度も申請してやっと給与明細をもらったところ、雇用保険未加入だったのに雇用保険料を天引きされていました。募集時には交通費支給とも書かれていましたが、大田区や池上の店舗への交通費も一度ももらえてないです」(Cさん)

給与明細 雇用保険が天引きされていたCさんの給与明細

「交通費支給とも聞いており、3カ月の定期を買うように言われて購入しましたし、他店舗への交通費も出していましたが、結局1円ももらえないまま辞めてしまいました。交通費の申請は退職時に代表に直接送りましたが、既読がつかないままです」(Dさん)


 ねとらぼ編集部はこれらの疑惑について、白石綜合法律事務所(東京都港区)の宮崎大輔弁護士に聞いた。

――従業員に対し動物保護団体の代表が怒鳴る、理不尽なことを言う、声を荒げて「おまえ」「おまえら」と呼ぶ、直接の暴力は振るわないが物にあたる行為は、パワハラにあたるものなのでしょうか

宮崎大輔弁護士:パワーハラスメントとは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの3つの要素を全て満たすものをいいます。以上からすると、本件では、代表者(1)が、ものにあたることや、おまえ、おまえらと呼ぶことは、(2)業務上必要とは言い難いですし、(3)就業環境も害されるものだと思いますので、パワハラに該当する可能性はあると思います。

――雇用保険に加入していないにも関わらず、雇用保険料が給与から天引きされていたと証言する元従業員がいます。これは法律違反にあたるものでしょうか

宮崎大輔弁護士:法律違反に該当します。民事上は不法行為責任を負い、天引き分の返還義務があります。明らかに故意で天引きしていたような場合は、詐欺罪等の刑事罰にも該当する可能性があります。

――犬や猫の譲渡契約書(愛玩動物委託飼養契約書)、譲渡者の身分証明書コピー(免許証、パスポート等)をシュレッダーにかけずそのまま破棄するようにと代表が指示したことは、何らかの法律違反にあたるでしょうか

宮崎大輔弁護士:個人情報が流出した場合、個人情報保護法違反となる場合があり、その場合刑事罰を追う可能性があるほか、民事上の不法行為責任も負う場合があります。

――退職後、元スタッフが「離職票や源泉徴収票を送ってほしい」「未払いの交通費を払ってほしい」と何度も直接依頼していますが、代表は既読スルー、もしくは無視で数カ月たっています。これは何らかの法律違反になるでしょうか

宮崎大輔弁護士:事業主は、退職した労働者から希望があれば、必ずこの「離職票」を渡さなければなりません。手続を行わないことは雇用保険法違反となります。したがいまして、一度ハローワーク等にご相談されることをお勧めいたします。


 ねとらぼ編集部は、SPAの大田区店舗内にいた齋藤代表へ「齋藤代表の怒鳴る、物にあたるパワハラが原因でスタッフが連続退社したのは事実か」「保護子猫の葬儀で、スタッフの質問に対して怒鳴ったのはなぜか」「寄付されたリードやフードの破棄、愛玩動物委託飼養契約書、譲渡者の身分証明書のコピーをシュレッダー無しで破棄するようにスタッフに指示したのは事実か」等の質問表を手渡しし、取材を試みた。後日齋藤代表は代理人である弁護士を通じて以下回答文を送付してきた。

齋藤鷹一代表の回答文

 いただいたご質問について、回答させていただきます。お相手方様(元スタッフ)のプライバシー等を考慮し、本件の個別回答は控えさせて頂きます。お相手方様(元スタッフ)側には、誠意を持って対応させて頂いております。今後とも、当法人の活動を見守って頂き、より良い保護活動の為、忌憚のないご意見ご要望を頂きますようお願い申し上げます。  特定非営利活動法人SPA

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