pixivは5月9日、AI生成に関わる問題への対応について発表しました。新しい監視システムを追加導入するなどの対応を明らかにしています。
同サービスは先に、「画像生成技術を悪用して特定のクリエイターの利益を著しく阻害する行為」について問い合わせが多く寄せられているとして、規約の改定を発表しています。9日の発表では、問い合わせの多い問題3点について説明しました。
1つ目の「生成AI技術で特定のクリエイターの画像を学習し、画風を模倣した作品を生成することにより、画像を学習されたクリエイターが、なりすましなどの被害を受ける」問題に対しては、規約改定により対応するとしています。改訂後の規約では、なりすましや「特定クリエイターの画風・作風を模倣した作品を反復・継続して発表することで当該のクリエイターの利益を不当に害する」と見なされる行為が禁止されます。
またこの問題への対策として、新しい監視システムを追加導入する予定とのこと。「生成AI技術の悪用をはじめ、他人の活動をおびやかす行為、児童ポルノ、盗作」などの問題がより発見しやすくなるとしています。
2つ目の「クリエイターの作品が不当に収集される」問題については、以前から規約やガイドラインで不当な目的のためにプログラムなどで作品を収集する行為を禁止しており、発見し次第対処していると説明しています。機械的なクローリングを検知し、ブロックするための手段を講じているとして、技術的な対策について説明するページを公開しています。
3つ目の「AI生成作品を見たくないユーザーにもAI生成作品が表示される」問題に対しては、同じユーザーの作品が検索結果などを占拠しないよう、大量投稿への対策を強化する他、AI生成作品のフィルタリング機能をより利用しやすくすると述べています。
「新しい技術の波のなかで、新たな攻撃手段や、他人の権利を脅かす行為、迷惑行為が多数発生しています。このような、創作活動の楽しさを損なう行為に対しては、AI技術、画像生成技術、またもちろん人間の手で行われたものも含め、その手段に関わらず、引き続き厳然と対処していきます」(pixiv)
なお関連サービスのpixivFANBOXでも追加の対応・対策を検討しているとのこと。近日中に発表するとしています。
10日22時追記
pixivがFANBOXでAI生成作品の取り扱いを当面のあいだ禁止すると発表しました。現在、生成AI技術によるコンテンツの販売のみを目的にFANBOX利用が多く、クリエイターがファンとコミュニティーを作るという、FANBOXの目指す姿と異なるため「このまま見過ごすことはできない」と説明しています。
変更する利用規約・ガイドラインの発効日や、FANBOXにおけるAI生成作品の定義などについての詳細は、後日発表するとのこと。
16日20時30分追記
pixivが運営する創作物マーケット「BOOTH」もAI作品への対応を発表しました。AI生成作品について、「独自性が薄く類似のもの並ぶ傾向(検索の阻害)」「利用規約、ガイドラインへの違反が多々ある」という問題点を挙げ、「同一の制作技術を用いたことによる他と差別化されていない作品を出品するショップに対しては、順次該当ショップの全出品物を検索結果に掲載しない」対応を取るとしています。なお、制作の過程を問わず、同様の行為があればAI生成に限らない問題として解決していくとも添えています。
また、特に「写真と見紛うようなR-18画像」のイラスト集、CG集が多く見受けられるとして、あらためて「禁止商品」だと注意を促しています。
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