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「内定を取り消します」内定者が企業から受け取ったメッセージが拡散 弁護士に問題点を聞いた(1/2 ページ)

弁護士に内定取り消しの問題点について取材しました。

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 転職活動で内定を得た企業から、「採用の方向性に変更が生じた」として内定を取り消されたとする、SNS上での被害報告が注目を集めています。ねとらぼ編集部では、弁護士に内定取り消しの問題点について取材しました。

 該当投稿は6月中旬ごろ、マイナビ上での企業とのメッセージのスクリーンショットとともに投稿されたもの。該当のメッセージのなかで、企業は内定者に対して、面接や選考に携わった感謝の言葉とともに、「採用の方向性に変更が生じた」「他の候補者の方がより適切にマッチする結果(となった)」などと説明し、内定取り消しを通知していました。

転職活動 内定取り消し 画像はねとらぼ編集部で再現したイメージ

 内定者は該当企業の名前については明かしていないものの、突然の内定取り消しに、「信じられない」とショックを受けた現在の心境を吐露。SNS上で投稿は大きく拡散され、企業側の対応を問題視する声が広がっています。

「会社が一方的に内定を取り消すのは『解雇』と同じ扱いに」

 内定の取り消しにはどのような問題があるのか。ベリーベスト法律事務所の労働チームマネージャーを務める松井剛弁護士は、ねとらぼ編集部の取材に対し、「実態を細かく見る必要はありますが、内定は労働契約が成立した状態と考えられる可能性があります。そのため、会社が一方的に内定を取り消すのは『解雇』と同じ扱いになります」と言及。

 解雇は「労働契約法第16条」により、使用者がいつでも自由にできるわけではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は労働者を辞めさせられないと決められています。内定にはこのルールが適用されるため、今回のケースについて「内定者に何か問題があるわけでもなく、内定を取り消すのはそう簡単には認められません」と、松井弁護士は問題点を指摘します。

 「法的には『労働契約法第16条』に違反しているため、雇用契約に基づいて労働できるように求めたり、精神的な苦痛や機会損失などを理由に損害賠償を求めたりといった対応が考えられます。とはいえ、企業と争った結果、実際に入社するケースはほとんどなく、解決金などの名目で賃金数カ月分の金銭を受け取る場合が多いです」(松井弁護士)

 なお、マイナビ広報部は今回のケースについては回答が得られなかったものの、内定取り消しの対応については一般論として以下のように回答しています。

「マイナビ転職ではユーザーの方向けに、お問い合わせ窓口を設けて対応を実施しております。掲載企業より不適切な対応をされたというご連絡を受けた場合は、弊社内の対応チームより該当企業へ事実確認を実施し、注意喚起および掲載内容の変更指示、内容次第では掲載企業の掲載停止を行っております。ユーザーの皆さまに不安を与えることのないよう、対応に努めております」

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