多摩美術大学は8月8日に公式サイトを通じ、映像作家・金子さんの年度末での准教授退任を発表。金子さんは「東京ドキュメンタリー映画祭」側からプログラムディレクター降板を勧告されたばかりでした。
多摩美側は金子さんだと明記せず、「本学教員」として「SNS上で過去の不適切行為」について説明を求めたとのこと。
先方からは「裁判記録を基に加害行為はなかった」との説明を受けたものの、道義的責任を感じていることを理由に地位を退くとの意思が示されたこともあり、多摩美側は「学生が落ち着いて勉学に励む環境を取り戻すことが大切」であるとの考えから休職および2023年度末での退職を決定したということです。
金子さんは同日、自身のブログで、多摩美の発表を認めて「執筆をはじめとする、すべての表立った活動を中止します」「病気療養から回復次第、カウンセリングや研修を受け、持つべき倫理観、女性の人権や尊厳についてなど、一から学び直し人格を矯正します」とコメント。
「法的にも実際にも当方による性加害の事実はありません」「しかしながら、ひとりの女性の心を傷つけたことを心底から反省しています。ご本人、ご遺族に心からのお詫びを申し上げます」と性加害の事実を否定する一方で、相手女性を傷つけた事実を認めています。
性被害を主張した俳優で映画監督の水井真希さんは一連のツリーを自身のX(Twitter)のトップに固定。水井さんが2023年7月23日に逝去したことをもって、遺族からポストの数々を“生きた証の1つ”として存続させることが伝えられていました。
水井さんの逝去後、「K」を巡るポストが大きく注目されるにつれ、生前の水井さんを知る人物が金子さんを「K」だと主張したことや、水井さん自身が「K」がその正体をにおわせるように書いていたこともあり、金子さんが31日に水井さんとのトラブルのいきさつを発表。
性加害やストーカー行為については否定し、水井さんと裁判中であったこと、27日に金子さんへの名誉毀損が認定されたため、東京地裁から水野さんのポストの削除命令が出されたことなどを主張した一方で、「11年前は、人としての正しさや思いやりが欠けていました。今後は同様のことを起こさぬよう全身全霊で自己を改善します」と自身の過去の重い責任を認める言葉もつづっていました。
「K」の一件が引き起こした影響は大きく、「東京ドキュメンタリー映画祭事務局」が8月2日にプログラムディレクターを務めていた金子さんの降板を発表。金子さんをのぞくスタッフ全員で話し合った結果、「当人の行為の結果、被害を受けたと主張する方が亡くなった事実の意味は重く、例え過去のことであっても道義的責任を取る必要がある」との結論に至ったとしており、今後は映画祭に関わる一切の業務を辞退することになると宣言しました。
また、同映画祭に協賛しているドキュメンタリー専門動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」も、事態の重さを認識しているとし、「弊社は性加害の黙認につながるような考えとは決別し、加害行為を断じて許さない姿勢を堅持することを宣言します」「日本の映像業界に蔓延してきた深刻な性加害について一刻も早く撲滅し、誰もが安心して働ける当たり前の環境づくりを目指し、微力ながら信頼回復の一助になるよう努めてまいります」と自社の姿勢について明言していました。
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