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式が“素数”となる整数aの値は? シンプルなのにめちゃくちゃ難しい…… 難関大学レベルの数学に挑戦!(8/8 ページ)

整数問題は奥が深い。

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解説

PASS LABO 大学受験数学 東京大学(東大) 京都大学(京大) 一橋大学 整数問題 一見簡単そうだけど……

 整数問題においては、足し算の形をかけ算の形に変形することが大変強力です。特に素数は「1×(素数)」という形で表されるので、式がかけ算の形に因数分解できれば、どちらかが1になる場合を計算することで答えを導くことが出来ます。

 しかし、問題は因数分解ができるかどうか……。「5a2-104a+323」こんな式を見たら、そんなことできない気がしてきます。しかし、あるコツを使うと、こんなに複雑な式でも時に簡単に因数分解することができるのです。

 323は「324−1」と表せるのですが、324という数字に見覚えはないでしょうか。121なら見覚えがある人は多いと思います。121は112ですが、324は実は182なのです。このように11〜19の2乗は覚えておくと便利になります。

 よって、323は「182−12」と“2乗−2乗”の形で表せるので、「(18+1)(18−1)」すなわち「19×17」と素因数分解することができるというわけです。ちなみに、(2)の39はそのまま「13×3」と素因数分解できます。ここまでできたら、あとは(5a−○)(5a−△)のどっちにそれぞれの数字が入るかを考えながら、式を因数分解するだけ。2つの式は、次のように因数分解されます。

  • (1)5a2-104a+323=(5a−19)(a−17)
  • (2)5a2-28a+39=(5a−13)(a−3)

 ということは、「5a−○=1」の場合と「5a−△=1」の場合の2パターンを調べればいいんだ……と思ったそこのあなた。いったん立ち止まって考えてみてください。

 確かに素数pは「1×p」の形で表されるのですが、pをかけ算で表す方法は本当にそれだけでしょうか?

 そう、pは「1×p」のほかにも「(−1)×(−p)」の形で表すことができるのです。これがこの問題最大の引っ掛けポイントでした。

 あとは、「5a−19」「a−17」「5a−13」「a−3」がそれぞれ±1の場合を調べればOK。まず、(1)の答えを求めてみましょう。

  • 「5a−19=1」(a=4)の場合:「a−17=4−17=−13」より、式の値は「1×(−13)=−13」となり、素数にならない
  • 「a−17=1」(a=18)の場合:「5a−19=5×18−19=71」より、式の値は「71×1=71」となり、素数になる
  • 「5a−19=−1」の場合:そもそもaが整数にならないのでNG
  • 「a−17=−1」(a=16)の場合:「5a−19=5×16−19=61」より、式の値は「61×(−1)=−61」となり、素数にならない

 したがって、(1)において条件を満たすaの値は「18」だけになります。次に(2)の答えを求めてみましょう。

  • 「5a−13=1」の場合:そもそもaが整数にならないのでNG
  • 「a−3=1」(a=4)の場合:「5a−13=5×4−13=7」より、式の値は「7×1=7」となり、素数になる
  • 「5a−13=−1」の場合:そもそもaが整数にならないのでNG
  • 「a−3=−1」(a=2)の場合:「5a−13=5×2−13=−3」より、式の答えは「(−3)×(−1)=3」となり、素数になる

 したがって、(2)において条件を満たすaの値は「2」と「4」になるというわけです。

 

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