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「a^2+b^2=1224」となる自然数a,bを求めよ シンプルなのにめちゃくちゃ難しい…… 難関大学レベルの数学に挑戦!(8/8 ページ)

整数問題は奥が深い。

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解説

PASS LABO 大学受験数学 東京大学(東大) 京都大学(京大) 一橋大学 整数問題 一見簡単そうだけど……

 「a2+b2=1224」という式を見ると、式の変形などを使って絞り込みなどをしたくなります。しかし、「a2=1224−b2」と変形しても、1224は平方数ではないので因数分解はできなさそうです。では、一体どうすればいいのか。ここでは「両辺の余りが一致する」という「=(等号)」の性質を利用して解いていくことにしましょう。

 まずは、1224を素因数分解します。「1224=23×32×17」より、1224は偶数であり、3の倍数であり、4の倍数であると分かります。ここでは3の倍数であるということを利用して3で割った余りについて考えていきましょう。なぜか「3」なのか。それは、整数の2乗を3で割った余りが非常に特徴的だからです。

 整数を3で割った余りは、0か1か2のいずれかになります。よって、自然数aは負でない整数kを用いて「3k,3k+1,3k+2」(k=0のときは3kは満たさない)と表せます。このとき、a2について計算してみましょう。

  • a=3kの場合:a2=(3k)2=32×k2=9k2=3×3k2=3m(3k2=mとおいた)
  • a=3k+1の場合:a2=(3k+1)2=(3k)2+2×3k×1+12=9k2+6k+1=3×(3k2+2k)+1=3m+1(3k2+2k=mとおいた)
  • a=3k+2の場合:a2=(3k+2)2=(3k)2+2×3k×2+22=9k2+12k+4=3×(3k2+4k+1)+1=3m+1(3k2+4k+1=mとおいた)

 以上から、a2を3で割った余りは0または1になると分かりました。b2についても同様に3で割った余りは0または1になるので、左辺「a2+b2」の余りの組み合わせ(aを3で割った余り,bを3で割った余り)は次のようになります。

  • (0,0)の場合:「a2+b2」を3で割った余りは0
  • (0,1)(1,0)の場合:「a2+b2」を3で割った余りは1
  • (1,1)の場合:「a2+b2」を3で割った余りは2

 よって、等号が成立するのは(0,0)すなわちaもbも3で割り切れる場合だと判明。「a=3k,b=3l」(k,lは自然数)とすると、式は次のようになります。

a2+b2=1224
(3k)2+(3l)2=1224
9k2+9l2=9×23×17
k2+l2=136

 さて、ここで新たに「k2+l2=136」という式が導かれたわけですが、ここからどう絞ればいいのでしょうか。

 136を素因数分解すると「136=23×17」となります。つまり、4の倍数ということですね。先ほどと同じように整数の2乗を4で割った余りを見ていくことにしましょう。

 整数を4で割った余りは0または1または2または3のいずれかになります。よって、自然数kは負でない整数pを使って「4s,4s+1,4s+2,4s+3」(s=0のとき4sは満たさない)と表せます。このとき、k2について計算したのが以下です。

  • k=4sの場合:k2=(4s)2=42×s2=16s2=4×4s2=3t(3s2=tとおいた)
  • k=4s+1の場合:k2=(4s+1)2=(4s)2+2×4s×1+12=16s2+8s+1=4×(4s2+2s)+1=4t+1(4s2+2s=tとおいた)
  • k=4s+2の場合:k2=(4s+2)2=(4s)2+2×4s×2+22=16s2+16s+4=4×(4s2+4s+1)=4t(4s2+4s+1=tとおいた)
  • k=4s+3の場合:k2=(4s+3)2=(4s)2+2×4s×3+32=16s2+24s+9=4×(4s2+6k+2)+1=4t+1(4s2+6k+2=tとおいた)

 この結果をまとめると、kが「4t,4t+2」のときk2は4で割り切れ、kが「4t+1,4t+3」のときk2は4で割った余りが1になると分かります。136は4の倍数なので、「4t,4t+2」のときが適しているのですが、さらにこれをまとめると、要はkが偶数のとき等号が成立するのだと分かります。lについても同様です。

 したがって、「k=2p,l=2q」(p,qは自然数)と置くと、式は次のようになります。

k2+l2=136
(2p)2+(2q)2=136
4p2+4q2=4×2×17
p2+q2=34

 最後に新たに導かれた式「p2+q2=34」から、pとqに当てはまる自然数を絞っていきましょう。「q2=34−p2」と変形し「p=1,2,3,4,……」と入れて調べると、q2の値は次のようになります。

  • p=1の場合:q2=34−12=34−1=33。これを満たす自然数qは存在しない
  • p=2の場合:q2=34−22=34−4=30。これを満たす自然数qは存在しない
  • p=3の場合:q2=34−32=34−9=25。よってq=5
  • p=4の場合:q2=34−42=34−16=18。これを満たす自然数qは存在しない
  • p=5の場合:q2=34−52=34−25=9。よってq=3
  • p=6の場合:p2=62=となり、q2が負となるのでこれを満たす自然数qは存在しない。以降、pが7以上でも同じ

 以上から、条件を満たすのは「(p,q)=(3,5),(5,3)」だと分かります。これをさかのぼって代入していくと、「k=2p,l=2q」より「(k,l)=(6,10),(10,6)」となり、「a=3k,b=3l」より答えは「(a,b)=(18,30),(30,18)」となります。

 

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