「七光り、知名度、話題性優先」 米人気下着ブランド4年ぶり復活のショーもモデル人選に不満噴出 多様性目指すも“パクリ”批判も(1/2 ページ)
一方かつてのエンジェルも登場。
米ファッションブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」が4年ぶりにランジェリーのファッションショーを9月26日に開催します。1995年の初開催以来、長年高い人気を誇ったショーへ誰が出演するのか注目が集まっていましたが、発表されたモデルの人選に、多くの人が「何があったんだ」と失望をあらわにしています。
“ヴィクシー”ことヴィクトリアズ・シークレット(以下、VS)のショーに登場するモデルたちは、きわめて競争率の高いオーディションを勝ち抜いた一流モデルばかりであることで知られていました。中でも“エンジェル”と呼ばれる専属契約を結んだモデルは、身長や体脂肪など容姿に厳しい規定があるとされ絶大な人気を誇る存在に。しかし時代の流れとともに、男性にとって魅力的に見えるようデザインされ、実用的とはいえない下着を、現実離れしたスタイルのモデルたちが着用しランウェイを歩く同ブランドのショーは、女性差別的で多様性に欠けると批判されるようになり、売り上げは目に見えて低迷していきます。
2018年に、同ブランドの親会社エル・ブランドの株価は41%下落。2019年にはショーの休止が発表されました。そして経営陣は時代に即したインクルーシブなブランドへとかじを切るように。2021年には専属モデル“エンジェル”を廃止し、多様な分野で活躍するメンバーたちと“ポジティブな変化を促す”ことを目的とした「VSコレクティブ」を立ち上げました。
そして今回、4年ぶりに復活するショーにはプラスサイズモデルのパロマ・エルセッサーやラッパーのミーガン・ジー・スタリオンが出演すると発表され、数年かけてリブランディングされたヴィクシーのショーもイメージを転換させようとしていることがわかります。一方、かつてショーで人気を博したヴィクシーエンジェルやヴィクシーモデルらの出演も発表され、アドリアナ・リマ、キャンディス・スワンポール、スイ・ヒー、ジジ・ハディッド、そしてナオミ・キャンベル、ジゼル・ブンチェンらブランドの歴史を彩ったトップモデルたちの復帰には「声が出ないよー」「待ちきれない!」と喜びの声が多数寄せられました。
しかし発表とともにブランドへファンがあからさまな失望をあらわにする選出も。例えば歌手ジャスティン・ビーバーの妻のヘイリー・ビーバーが登場すると、「あはは、ヘイリー・ビーバー? マジで? ヴィクトリアズ・シークレット、何があったんだよ」「ノー。ただただノー」「うわー、何の才能もない人なのに」「お金があるから選ばれてるだけじゃん」と芸能一家出身で何かと批判されることが多いヘイリーを選んだブランドの意図を測りかねるファンが多いもよう。
また、英モデル、ケイト・モスの娘で現在は自身もモデルとして活躍しているライラ・グレース・モスには「親の七光りじゃなくて、モデルが見たいんだけど」と知名度や話題性優先で実力による選出ではないとするコメントが。さらに、発表時のビジュアルでライラは下肢に透け感のあるかわいらしいウエディングドレスのような衣装を身に着けており、「10代で結婚した人がポーズ取ってるだけみたい」「母親のコピペだよね」などと、モデルらしいオーラが感じられないという声や、少女のような幼さを感じる容姿が良くも悪くも強烈な印象を残しブレイクした母ケイトの個性を模倣しようとしていると、独自性のなさも指摘されています。
加えて米ラッパーの“イェ”ことカニエ・ウェストが、キム・カーダシアンとの離婚後に交際していた元恋人で、イタリア系米俳優のジュリア・フォックスに至っては、「……ジュリア・フォックス?」「何をやって何て言った人なのか、誰か教えて」「うん、いたって普通の人に見えるね。普通にかわいらしいと思うよ」と、人気モデルばかりが出演していたショーにどうして彼女が選出されたのか不思議に思う声が寄せられています。
モデルの人選以外にも、ショーの舞台美術がバルバドス出身の人気歌手リアーナが共同設立したランジェリーブランド「サヴェージ X フェンティ」2019年のショーを模倣しているとの指摘も。「あちゃー、サヴェージ X フェンティのステージ使ってる」「サヴェージ X フェンティのショーをパクってピンクにしただけ」「パーフェクトボディーとパーフェクトモデルばっかりフォーカスして彼らが死にかけのブランドだってことはわかる。でも売れてるからってサヴェージ X フェンティをパクるなんて」などと批判が吹き上がりました。
リアーナがサヴェージ X フェンティを設立したのは、VSの人気や売り上げが大幅に下がった2018年でした。リアーナ自身の知名度もさることながら立ち上げ当初から多様性を掲げ、さまざまな人種や肌の色や体形のモデルを起用し、またたく間に人気と売り上げを伸ばしVSを猛追。現在第2子を出産したばかりのリアーナは2023年6月からCEOをしりぞき重役となりましたが、人気が衰える様子はありません。また、米タレントのキム・カーダシアンが設立した下着ブランドのスキムスも多様な肌の色・体形の女性に向けた商品を発表し続けており、こちらも売り上げは順調な様子です。
時代に合わせブランドの方向性を見直したVSですが、この“方向性の転換”自体にもショーの再開を待ち望んできたファンからは否定的な意見が目立ちました。「(名物だった)ウィングがみたいの!!! きれいなランジェリーとスパンコール、ラインストーン、グリッター、引き締まった腹筋と腕と足とハイヒールが見たいの。プラスサイズモデルも2世タレントもいりません」「昔のヴィクトリアズ・シークレットのショーが恋しい」「ヴィクトリアズ・シークレットのショーを復活させたいのはわかるよ。でも私たちはもうひとつのサヴェージ X フェンティなんて求めてない。リアーナは彼女のものを作ってショーをすればいいし、私たちが欲しいのはヴィクトリアズ・シークレットの復活なんだよ!」など、昔からのファンが求めているものを作ってほしいと言う声が多数寄せられています。
ショーの様子は、9月26日にAmazonプライムで配信予定です。
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