ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

【ロングインタビュー】異色の王道『ウルトラマンブレーザー』なぜ生まれた? 田口清隆メイン監督が明かす(1/3 ページ)

俺が聞く!

advertisement

 2023年7月からテレビ東京系で放送がスタートしたウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンブレーザー』が物語の折り返しを迎えた。

『ウルトラマンブレーザー』田口清隆メイン監督インタビュー

 同作は、「M421」からやってきたウルトラマンブレーザーが、地球防衛隊日本支部(GGFJ)内に設立された特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の隊長を務める主人公ヒルマ・ゲント(演:蕨野友也)と一体化し、怪獣たちとの戦いの日々を送る物語。7月8日に放送された第1話「ファースト・ウェイブ」からその特異さは際立っていた。

『ウルトラマンブレーザー』田口清隆メイン監督インタビュー

 池袋の街を舞台に、1話丸ごと1シチュエーションという構成、ハードSFを志向したリアルな描写、防衛隊の隊長が主人公という設定もさることながら、衝撃的だったのが、ブレーザーというウルトラマンそのもの。怪獣を威嚇するかのような所作や、独特な「ヘロロロロロロロロロロィ!!」の叫び声など、一言で表せば野性的な戦闘スタイルは、よい意味で「荒削りなRRR」を観ているかのような驚きがあった。

 物語のプロローグから尋常でない熱量が注がれた『ウルトラマンブレーザー』のメイン監督・シリーズ構成を務めるのは、田口清隆さん。2001年の『ウルトラマンコスモス』の助監督でウルトラマンシリーズに初参加し、『ウルトラマンX』『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンZ』でメイン監督を務めた。ここ10年のシリーズのほとんどを監督した田口監督が、蓄積してきたものを生かし、誰にも何にも遠慮なく、これまでのニュージェネレーションウルトラマンシリーズ作品のどれとも異なる王道を生み出している。

 以下では、田口監督へのインタビューで『ウルトラマンブレーザー』に迫った。

『ウルトラマンブレーザー』田口清隆メイン監督インタビュー
田口清隆メイン監督に聞く『ウルトラマンブレーザー』

“定番”をなるべく使わないようにした

―― 『ウルトラマンブレーザー』楽しく観ています。第1話は、YouTubeでの見逃し配信が1週間で550万再生、記事執筆時点では770万再生に迫ります。放送前、田口監督は「まずはとにかく第1話を。観れば分かります」とコメントされていましたが、こうした反響をどう感じましたか?

田口 放送直後からSNSの反響も見ていましたが、数字としてはっきりと現れたという意味で、YouTubeで第1話の再生回数が700万を超えたのは最初に飛び込んできた大きな反響でした。

 これはYouTubeでの見逃し配信や吹き替え版も本放送とほぼ同時に出しているのも関係しています。先に吹き替え版を作る取り組みは『ウルトラマンZ』で実験的にやったこともありますが、ほぼリアルタイムで吹き替え版を出したのは知る限り初。世界の人が見てくれた数字だと捉えています。

 僕、そのころちょうどG-FEST(毎年7月にシカゴ市郊外で開催されるゴジラや怪獣ファンのためのイベント)に行っていて。2話が放送された次の日でしたが、会場に行ったら、ウルトラファンの方々がこっち向いて釣りの格好してきて(※)。海外にもいい感じに刺さっているのだと体感できました。

※第2話「SKaRDを作った男」ではスパイラルバレードを釣り竿状に変形させ、怪獣一本釣りをやってのける破天荒な戦いぶりを見せたブレーザー

 『ブレーザー』をやるとき、特に第1話のプランを練っているとき、「これは恐らく日本よりも海外で受けるのではないか」と少し感じていました。過去のウルトラマンが出てきたり、今までの設定に縛られたりすることなく、『ブレーザー』という作品単体で楽しめる完全独立したウルトラマンを意識しました。そしてドラマの部分も、“定番”ながら“定番”に陥らないように気を付けました。

―― 定番?

田口 『ブレーザー』でいう特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」は職業としては特殊ですが、そこにいる人たちは等身大の人。そういう人たちがこの状況に置かれたとき、「普通こんなこと言わないよね」とか「このリアクションじゃないよね」といったものをなるべく排除して、「人間ならこうなるでしょ」をやることで、誰もが感情移入しやすい話になるといいなと。

『ウルトラマンブレーザー』田口清隆メイン監督インタビュー
「ウルトラマンブレーザー」第1話「ファースト・ウェイブ」
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

ページトップに戻る