現代アメリカを代表する歌姫ビヨンセのスタイルが、“白人のようになろうとしている”としてSNSで批判を受けています。これを受け、母のティナ・ノウルズが11月28日、Instagramへの投稿で「愚かで無知で憎しみに満ちた人種差別的発言」「負け犬どもにはもううんざり!」と反論。一方でさらなる議論も起きています。
「ビヨンセはいつから人種が変わったの?」と非難
議論の種となったのは、現地時間11月25日に米ロサンゼルスで開催されたプレミアに登場した際のビヨンセのスタイリング。同プレミアは5月から9月まで行われたワールドツアー「ルネッサンス」を追いかけたコンサート映画「Renaissance: A Film by Beyonce」(12月21日全米公開予定)のためのものでした。
この日、ビヨンセは銀色に輝くヴェルサーチのチェインメイルドレスを身にまとい登場しました。しかしドレスのほかに人々の注目を集めたのは、プラチナブロンドのストレートロングヘア。そして肌色がいつもよりも明るく見えることで、SNSでは「ビヨンセはいつから人種が変わったの?」などと多くの批判的なコメントが寄せられています。
ティナはInstagramに、「彼女は黒人女性じゃない!」「何でこんなに白く見えるの?」「ビヨンセじゃない!」などの批判コメントとビヨンセ本人の写真を使ったコラージュ画像と、子ども時代から現在までのビヨンセの画像のスライド動画を投稿。ビヨンセだけでなく、長女(ティナにとっては孫)ブルー・アイヴィーも参加した楽曲「BROWN SKIN GIRL」(2019年)が流れるこのスライド動画へ、長文を添えて反論しています。
ビヨンセの母「愚かで無知で憎しみに満ちた人種差別的発言」
娘のビヨンセへ向けた「白人になりたくて肌色を明るくし、髪をプラチナブロンドにしたという、愚かで無知で憎しみに満ちた人種差別的発言」を見て投稿を決めたというティナ。まずワールドツアー「ルネッサンス」の映画では“銀色”をテーマにしており、プラチナブロンドはその世界観の一部でしかなく、会場にもシルバーカーペットを用意していたと反論しています。
そしてゴシップ紙の白人女性記者がビヨンセのヘアスタイリストの1人に連絡を取りコメントを求めたと明かし、この白人女性について「黒人であることについて議論する資格があると感じている」と批判的に叙述。さらに「もっと残念なこと」としてSNSでビヨンセのスタイルを「白人になりたがっている」として批判する“同胞”=黒人たちを「愚か者」と非難しました。
60〜70年代のR&B歌手エタ・ジェイムズの名前を挙げ、当時から美しく才能のある黒人セレブたちはプラチナブロンドヘアにすることはあったと述べ、その人たち全員が「白人になろうとしていたのだろうか?」と疑問を投げかけています。なおビヨンセ自身、映画「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」(2008年)でエタ役を演じていました。
続けてティナは、ビヨンセが「労働倫理、才能、立ち直る反発力」を示すたびに批判的な人々が現れ、「嫉妬や人種差別、性差別、ダブルスタンダード」を永続させていると主張。今回の投稿は娘に相談せずに決断したようで、「こんなことしたら娘に怒られるのはわかっているけど」「娘は人助けだってしているし黒人女性地位向上にだって一役かっているのに」と前置き、「負け犬どもにはもううんざり!」と母として娘に批判がぶつけられること対してのいら立ちをつづりました。
「白人の黒人化は人種差別扱いなのに」との反論も
このティナの主張に、一部は非アフリカ系が顔を黒く塗って黒人を演じるブラックフェースとのギャップを主張。多くの場合ブラックフェースは人種差別に値する行為と大きく非難されることから、「オーケー、じゃあ誰かが肌を黒塗りしたとしても“人種差別主義者”とは呼ばないでね? どっちも悪いんだから」「でも誰かが肌を黒く塗ったら“ブラックフェース”で“人種差別主義者”と非難されるだろう」と反論しています。
また、「でも彼女はフランス人の血が混じっているんだからなんだから当たり前なんじゃない?」「混血の人はどちらか一方の人種だけを主張するべきじゃない」と、ビヨンセにはヨーロッパ人の血が流れているため(※母ティナはルイジアナ・クレオールの祖先を持つ)どちらの文化にも属しているとの主張、「照明とメイクと髪の色が反射しているせいで白く見えるんじゃ?」と偶然そのように見えるだけではといった声など、さまざまな意見が寄せられています。
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