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伝説の邪道料理マンガ『鉄鍋のジャン』が全巻55円セールでランキング上位席巻! 今こそ知りたい、極悪主人公の“カスすぎる作戦”3選(2/3 ページ)

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 それだけでも手前勝手だが、おかげで火災のためのスプリンクラーが作動。ジャンはそれを見越して自身のチャーハンをラップで覆うものの、おかげで他参加者のチャーハンは水浸しで台無しになってしまうのだった。

 さらに、ジャンが作ったのは「スープをかけながらも強力な火力で油をふっ飛ばしたことでサッパリしているチャーハン」。ジャンは「サラサラと腹に入る最高に食べ易いチャーハン!! あれを食べたあとでは油まみれの普通のチャーハンはのどを通らないだろうな!! キシシシシシッ!」(しつこいようだが主人公のセリフである)と言い放つのだ。

 そして、この第2回大会の決勝におけるジャンの作戦……というか「21世紀を生き残るサバイバル料理」がすまじいので、こればかりはぜひ本編を読んでいただきたい。めちゃくちゃなようでいて意外とジャン自身が理(り)のあることを言っている気がする上に、劇中で審査員から殺意をぶつけられるジャンにはしっかり暴力での制裁があるのでご安心を(?)。

ライバルキャラにもカスが多い

 そんな悪人のジャンを主人公とした作品なので、ヒロインのキリコを筆頭にまともな倫理観を持ったキャラもいる一方で、周りの人間やライバルキャラにもカスが多い。

 第1巻から、ライバルですらないモブキャラ同然の望月と言う男は、「見習いの癖におもしろくねぇヤローだぜ」という理由で、使ったばかりの灼熱のナベを「洗え!」といきなりぶん投げたりする。こいつも十分に料理人失格である。

 第3巻で登場する蟇目檀(ひきめだん)は、「山ザルくん! 人間様に向かって指をさしちゃいけないよ!」と言いながらジャンの右手をいきなりバキバキに骨折させ、その後も腕を折るという極悪非道ぶりを見せつける。この2人がこの後にお互いに仕掛けたそれぞれの作戦もかなりのカスさだった。

 第4巻から真っ向から対決する伍行壊(ごぎょうかい)は、「手が勝手に口に料理を運ぼうとする」ほどの料理を作ることで、生ゴミをも勝手に口に運ばせ腹を破壊しようとさせる人でなしである。彼との5番勝負はこの作品の中でも屈指のぶっ飛んだ展開の応酬となっているので楽しみにしてほしい。

 第5巻から登場する湯水スグルというおぼっちゃまは、「ワガママでタカビーで勝ち負けにこだわって、自分を天才だと言いきるアホ」と評される程度で、相対的にかわいいほうだ。とはいえ、執事である刈衣花梨(かりいかりん)との関係はなかなか尊く、彼は彼でとても魅力的なライバルとなっていた。

 さらに、たびたび登場する「最高の舌を持つが性格は最低な料理評論家」である大谷日堂は、ジャンを大いに嫌っているが、その振る舞う料理の素晴らしさにときめいたりするため、こちらの関係性もなんだか愛おしくなってくる。キリコを差し置いて彼がメインヒロインと言ってもいいだろう。

実はいいところもあるジャンがかわいい

 ここまでジャンとライバルキャラのカスぶりをあげてきたが、ジャンにはいいところもある。

 第1巻で大量の料理を作るにあたって大失敗をしてしまったジャンは、同年代の小此木という少年に慰められ、涙ながらに「お前…いいヤツなんだな…」と応える。その後2人がバイクツーリングに出かけ、キャンプでニワトリ料理を作って食べて仲良くする様がとってもほほえましい。

 他にも、第2巻ではカゼを引いたキリコのために「負けた時にカゼを口実にしてほしくないだけ」という名目でカゼに効くデザートとドクダミ茶を振る舞ったこともあった。第10巻では爆発的に飛び散る油から「バカヤロウ近寄るな! 大ヤケドしたいか」と叫びつつレポーターを守ったこともあった。

 いずれも大したことではないかもしれないが、これまであげてきたヒールぶりとのギャップもあって、「16歳という年相応の男の子じゃないか……」とかわいらしく思える部分や、どれだけ悪人のようでも「人として守る一線」はしっかり持っていると伺わせるところもあるのだ。まあ、マジックマッシュルームを審査員に食わせている時点で一般的な人が守る一線からだいぶ外れている気もするけど。

 それはともかく、『鉄鍋のジャン』はぶっ飛んでいるようで、しっかりとしたロジックのある料理の勝負、味付けが濃ゆいキャラの数々や勢いのある作画、何より悪人の活躍こそを追いたくなる「ピカレスク・ロマン」の面白さがたっぷり詰まった怪作にして名作だ。『鉄鍋のジャン!R頂上作戦』や『鉄鍋のジャン!!2nd』や『鉄鍋のジャン!五行クンの楽しい香港生活』といった続編やスピンオフも含めて、ぜひ楽しんでいただきたい。

ヒナタカ

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