「Crowdstrike勤務初日にミスをして解雇された」として、7月19日に発生したWindowsの大規模障害を引き起こした人物を名乗る投稿がX(Twitter)で広く拡散しています。実際はフェイクニュースやSNSの専門家による“ネタ”でした。
投稿は3700万回以上閲覧
投稿は、Crowdstrikeのオフィスらしき建物で、Vサインをした男性の写真に「Crowdstrike初日。ちょっとしたアップデートを配信して昼休憩」という文章が添えられていました。それに「解雇された。不当だ」という投稿が続き、男性が「解雇の書類を待っている」などと語る動画も投稿されています。
あたかも入社したばかりの人のミスで大規模障害が起きたかのような投稿は、3700万回以上閲覧され、3万回以上リポストされ、約38万件のいいねを集めました。投稿を信じた人がいた一方、画像は合成だと指摘する声もありました。手が子どものように小さく、また頭部も不自然に見えます。
この投稿は真実ではなく、投稿したヴィンセント・フリバスティアさんはジョークであり、生成AIを使用した画像であることを明かしています。動画もAIを使って翻訳したとのこと。
フリバスティアさんは、フェイクニュースやSNSを専門とする、デジタルシチズンシップ(デジタル技術を活用して社会に参加する能力)の講師。多くの人が“釣られた”今回の投稿について、拡散した要因を「まだ犯人が名指しされていないときに、犯人を差し出した。人々は犯人を求める」「人々が新しい情報を必要とする大きな話題だった。フェイクはそもそも新しく、ほかのどこでも読めない」「英語の投稿は、世界中に、私が誰か知らない多数の人に非常にシェアされやすい」など挙げています。
フリバスティアさんは、投稿を真に受けた小規模メディアもあり、ジャーナリスト、コンピュータサイエンスやサイバーセキュリティの専門家も投稿をシェアしたことを「ショッキングだった」と語っています。「私たちが何かを信じたいとき、クリティカルシンキングは消える」と戒めています。
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