5年前や10年前……。少し前にインターネット上で話題になった投稿や動画を振り返って紹介する企画「昔のインターネット発掘!」。今回は、2020年12月にYouTubeへ投稿された、水を揚げてみる動画を紹介します。手段とその結果を想像することも困難な点が関心を集めたのか、記事執筆時点までに500万回以上再生され、12万件のいいねを集めています。
下準備として薄膜の中に水を閉じ込める
動画を投稿したのは、化学工学の博士号を持つ人がさまざまな実験を行なってみるYouTubeチャンネル「The Action Lab」。今回は、水を揚げて食べてみます。比喩ではなく私たちが普段飲んでいる水のことです。
もちろん、水をそのまま油で揚げることはできないので、まずは前段階の加工として水を薄い膜の中に閉じ込めることにします。
海藻から抽出される食物繊維、アルギン酸ナトリウムを水に溶かした溶液をスプーンにすくい、塩化カルシウム溶液にそっと入れると、透明なゼリーのようなものができます。水まんじゅうや、ファンタジー作品に登場するスライムのようにも見えます。
このゼリー状の物体の表面は、アルギン酸ナトリウムのナトリウムの部分がカルシウムに置き換わってアルギン酸カルシウムになり、ゲル状の膜を作ったもの。水に溶けないこの膜の内側には、アルギン酸ナトリウム溶液が閉じ込められており、指でつぶすと中からそれが飛び出してきました。
水の揚げ物にフォークを入れると……?
これに小麦粉、溶き卵、パン粉を順にまぶし油で揚げてみます。最初は順調に揚がっていることを示す高い音を立てていましたが、途中で低いバチバチという音に変化。どうやら衣が弾けて油の中に水が出てしまったようです。これに対し実験者は、「油に水のボールを入れるのは本当に怖い」と反応しました。その気持ちわかる……!
次にパン粉の代わりにフライドチキンなどに使う小麦粉ミックスをまぶして揚げてみたところ、今度は水が漏れることなく揚げられました。ただ、怖くて早めに上げたのか、しっかりとした揚げ色は付いていません。
最後に再度パン粉で再挑戦したところ、今度は大丈夫そうです。揚げ上がったものにフォークを入れると水がびゅーっと飛び出し、水の揚げ物に成功したことが確認できました。厳密にはアルギン酸ナトリウム溶液の揚げ物ですが……。
なお、食べるとぬるぬるとした食感があり、小麦粉ミックスで作ったほうよりもパン粉のほうがおいしいそうです。
「これはダイエット食」「現代の珍味」
水の揚げ物というまさかの実験的料理に、「ありがとう、このレシピを探していたんだ」「揚げ物が好きだけどダイエットもしたい私にとって、これはダイエット食だよ」「遠い未来の街では屋台でこれを注文できる」「これは間違いなく現代の珍味」などおもしろがる反応が寄せられています。
一方で、フォークを入れて水が飛び出してしまった後に試食したことについて、「揚げたての膜を食べているだけでは」というツッコミも見られました。
※画像は「The Action Lab」のYouTubeチャンネルより引用
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