唐突ですが……今年の年末年始は「9連休」なこと、皆さんはご存知でしたか? 今年の12月は一般的に御用納めとされる28日が土曜日で、多くの企業は27日が年内最終稼働日。翌28日からお休みとなり、年が明けて三が日、そしてその翌日の4日がまた土曜! 5日の日曜まで含めると、なんと最大9日間の連休となるのです。
いつもよりワイドな休みがとれるということで、増えてくるのが年末年始の海外旅行需要。旅行会社のエクスペディアによると、年末年始に日本から出発する海外旅行の需要は昨年比50%増となっており、年末年始の海外旅行を意識している人が多いことがうかがえます。
しかし、コロナの影響もあって、海外に行こうにも久しぶりでどうしたものだかわからない、という人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、エクスペディアホールディングス株式会社の代表取締役でエクスペディア・グループ リテール日本統括ディレクターも務める木村奈津子さんに「現在の日本での旅行のトレンド」や「お得に海外旅行に行くためのコツ」について聞いてきました。
日本の海外旅行需要は、コロナ禍からの回復の途中
──本日は現在の日本人による海外旅行のトレンド、そしてうまく旅行するためのテクニックについてお聞きしたいです。まず、現在の日本の海外旅行の概況はどんな感じなんでしょうか?
コロナによって誰も海外に行けなくなった状況から、徐々に回復している途中、という感じですね。エクスペディアのデータでは、今年の7〜9月の実績としては昨年対比10%という数字で緩やかに回復しているというところです(※)。円安が厳しく為替の状況がよくないのですが、徐々に伸びているという形ですね。
(※)エクスペディアとホテルズドットコム上の検索データに基づく(検索期間:2023年7〜9月、2024年7〜9月)
──やっぱり、コロナと円安の影響はなかなかキツいものがありますね……。
ただ、今年の年末年始は曜日の並びが良くて9連休ということで、かなり需要が伸びています。年末期の海外旅行に関しては、検索数が昨年より50%伸びている状況です。
──それはすごい。では、人気の旅行先ってどのあたりなんでしょうか。
一年通しての人気トップ3というのはずっと同じで、まず1位がソウル、2位が台北、3位がバンコク。この3つはほとんど不動です。背景としてはやはり円安基調があって、同じ海外に行くのでもアジア圏の方が相対的にコストを抑えられるという点が、欧米からアジアに需要が移っている理由だと思われます。ドルと比べれば、タイバーツや韓国ウォンの方が為替の目減り分がまだ小さいので。
アジアであればLCCもたくさん飛んでいるので、そういう点でもコストを抑えることができます。ハワイやパリなど、ヨーロッパやアメリカの都市も検索されてはいるんですが、実際の予約につながっているのはアジア圏ですね。
──どの地域も魅力的ですが、理由は世知辛い部分もありますね……! では、年末年始に人気があるのも、やっぱりその3つなんでしょうか。
もちろん年末年始も人気があるんですが、この時期はちょっと順位が変化します。というのも、冬のソウルってめちゃくちゃ寒いんですよ! とっても冷え込むので、冬の間は順位が落ちます。その分、ベトナムのダナンやタイのプーケットといった東南アジアのリゾートが伸びる傾向がありますね。
──みんな寒い時期にわざわざ寒いところに行きたがらない、ということですね。わかりやすい!
トレンドは「第二の旅行先」と「オールインクルーシブホテル」にあり
──エクスペディアが先日発表した、旅行トレンド分析の「Unpack'25」には、「第二の旅行先」に対する需要が今後も増えそうと書いてあったんですが、この「第二の旅行先」とはいったい何なんでしょうか?
「Unpack'25」はエクスペディアが世界19地域の旅行について調査して、来年の旅行業界にどのようなトレンドが来るかを調査した資料です。その中で特に重要なトレンドのひとつになっているのが、「第二の旅行先」ですね。例えば、日本のインバウンドが盛り上がっていると言われていますが、海外からの旅行者は東京や大阪のような大都市に集中しますよね。
──そうですね。東京はもう観光客が集中しすぎて、ホテルの値段もすごいことになってます……。
1カ所に観光客が集中してしまうという状況は、日本だけではなく世界共通なんです。韓国であればソウル、台湾であれば台北に観光客が集中してしまう。需要が集中すると単純に人が増えて混みますし、ホテルなどの値段も釣り上がります。そんな状況は、観光客自身にとってもありがたいものではありませんよね。
──観光客が1カ所に集中するのは、観光客自身にとっても良い影響を生まないわけですね。
そんな状況を受けて注目されているのが、「第二の旅行先」です。例えば韓国であればソウルではなく釜山やチェジュ島、台湾であれば台北ではなく台南や高雄、タイだったらプーケットやバンコクではなくてクラビ、といった感じで、最も観光客が集中する都市ではないけれど、現地の人が遊びに行く場所であったり、これまで注目されていなかった観光資源がある場所のことですね。
──なるほど。その地域一番の都市ではなく、ちょっとマイナーだったり、国際的な知名度でいくと二番手三番手だけど魅力的な場所、みたいなことですね。
距離的にも最も人気の観光地からさほど離れていないと理想的ですね。日本人視点で見ると、東京や大阪以外にも日本国内の魅力的な観光地っていくらでもあるじゃないですか。交通に関しても、ちょっと新幹線に乗ればすぐ行けるような場所だったりするんですが、国際的な知名度が低いから観光客がアクセスできない。もったいないですよね。
来年度以降は、そういった場所への需要が伸びると予想しています。「第二の旅行先」の中でも、私がオススメしたいのはベトナムのダナンですね。
──ダナンって、ベトナムのリゾート地ですよね。
そうです。私も一回行ったことがあるんですが、まずすごく素敵なビーチがあって、ビーチリゾートとして魅力的な場所です。ただ、ビーチって3日くらいいると飽きちゃいますよね。
──案外やることないですもんね。
ダナンがいいのは、タクシーに乗ると1時間くらいでホイアンという街に行けるんです。ここは旧市街の街並みが世界遺産になっているとても美しい場所で、ノスタルジックな雰囲気があるんです。定期的にランタン祭りが開催されていて、これも魅力的なイベントです。
さらにいうと、飛行機の時間が6時間ほどで、思ったより日本から近いんです。航空券も時期によっては6万円ほどから探せますし、手軽ですよね。最近はメディアでも取り上げられる機会が増えている、要注目の旅行先です。
──いいですねえ……。お話を聞いているだけで行きたくなりました。
──もうひとつ、「Unpack'25」には「オールインクルーシブホテル」がZ世代からも注目を集めていて人気になりそう、と書かれていたのですが、これはどういったホテルなんでしょうか。
「オールインクルーシブホテル」は、朝昼晩の食事から間食、夜のバーでの飲み物、ホテルが用意するアクティビティなどが宿泊料金に全部含まれているホテルのことですね。
ホテルでご飯を食べるというのは、現地の食事がホテル外で食べられるような街ではもったいなく感じますよね。そのため、こういったホテルはリゾート地に多くみられる傾向があります。こういったホテルで、午前中はプールに行って本を読んだり昼寝をしたりして、昼からはビーチに出てそこで軽くお酒も飲んで、ディナーも楽しんで……みたいな過ごし方がメインですね。
──ホテルからあんまり出ずに、滞在自体を楽しむわけですね。
そうですね。こういったホテルはヨガ教室とかカヤックのようなアクティビティが用意されていることも多いですし、滞在中も退屈しないように工夫されています。
世界的にはこのところ若者の間で人気が高まっていて、仲間で集まって一緒に泊まって、ホテル内で遊ぶ……みたいな使い方をされています。旅行中に追加の支払いが発生しづらいですし、日本でも今後人気が出る可能性があります。
──あとは、ロケ地巡りの旅というのも流行っているそうですね。いわゆる「聖地巡礼」的な需要のようですが。
映像配信サービスが世界的に普及しているという点もあって、映像作品に登場したロケ地への旅行というトレンドは今後しばらく続きそうだなと思っています。
まだ日本では始まっていないサービスなのですが、アメリカのエクスペディアでは、映像配信サービスの人気作品に登場したホテルがそのまま予約できるようなサービスも一部で始まっています。まだ日本ではネット配信作品やインフルエンサーとのリンクが進んでいないので、弊社として今後はもっと掘り下げたいジャンルですね。
「特定の予約サイトを使い倒す」ことが、お得な旅行への近道
──ここからは「お得に旅行をするには?」という点について、プロの視点からのお話を聞きたいです。
国内旅行の場合、年末年始やゴールデンウィークといった時期には、やはり需要が集中します。なので、そのタイミングで旅行に行きたい場合は、早く予約するに越したことはないですね。飛行機にしても時間が経てば経つほど席数が減って、値段が上がっていくことが多いです。
一方で、海外のホテルを予約する場合は必ずしも「早ければ早いほどお得」とも言い切れないんですよね。
──それはなぜでしょうか?
例えばアジア圏であれば春節は2月ですし、欧米の人はどちらかと言えばクリスマス休暇をしっかり取るので、年末年始とは微妙にタイミングがずれます。つまり、日本の繁忙期と海外の繁忙期は必ずしもタイミングが一致していないんです。
また、これはあまり知られていないんですが、フライトの価格というのはホテルの価格以上に激しく変動しているんです。一日ごとに変化するどころか、1時間ごとに変化しているくらいです。
──航空券ってそんなに値段の動きが激しいんですか……! それはどういった理由からなんでしょうか。
需給バランスに合わせて、航空会社側の利益が最大化できるように調整している結果ですね。席の空き具合を見ながら値段を下げて、埋まってきたら上げる。いわゆるダイナミックプライシングですね。
これを毎時間ごとに自分でチェックすると大変なので、エクスペディアのアプリでは航空券の価格変動を常に把握して、価格が変動した際に通知を届ける「プライストラッカー」という機能をつけています。これを使えば、いちいち自分でチェックしなくても、安くなったタイミングで飛行機を予約できます。
──それは便利ですね。他にも、旅行の代金を低く抑える方法はあるんでしょうか?
会員価格を利用することはぜひおすすめしたいです。会員というと個人情報をいろいろ教えなくちゃいけなくてめんどくさそうですが、エクスペディアはなるべく情報を取らないというポリシーがあるので、メールアドレスとパスワードだけ設定してもらえれば会員になれます。会員になってログインするだけで、対象ホテルで使える10%以上の割引が反映されますので、会員にならないともったいないと思います。
──それはもったいない!!
ホテルや航空券は色々と比較・予約サイトがあるので、毎回旅行するたびにバラバラのサイトで検索して、そのとき一番安いところで予約してしまうという人も多いと思うんです。ただ、ひとつの会社に絞って使い続けることで、上級会員にアップグレードされて特典がつくというメリットも大きいです。
エクスペディアの場合、利用を重ねて会員ステータスがランクアップすると、VIP Access提携施設において、シルバー会員は無料の朝食などの特典があり、ゴールド会員は空室状況に応じて無料の客室アップグレードやアーリーチェックイン・レイトチェックアウト利用などの特典があります(※)。安さだけを基準にして毎回バラバラのサイトを使うよりも、浮気せずにひとつのサイトを使い続けた方が、トータルではお得になることは多いです。
(※)特典はVIP Access対象の宿泊施設が提供。特典内容は宿泊施設および客室利用状況によって異なります。
──なるほど。ひとつのサービスを使い倒した方がお得なんですね。
あとは、航空券とホテルを同じサイト上で予約した方が、割引が効きますね。セット割というとカスタマイズの自由度がないのではと思う方もいらっしゃるかと思いますが、エクスペディアのセット割は「ダイナミックパッケージ」になっています。
これは予約サイト側が決めた航空会社とホテルの組み合わせしか選べないという従来のセット割ではなく、個人の好みに合った好きなエアライン、好きなホテルを選んで自由にカスタマイズできるというプランです。選択の幅が広いのが特徴ですが、それでもセット割としてほとんどの場合に割引が効くので、単体でホテルと航空券を予約するよりずっとお得です。
──それって、どのくらい価格が違ってくるんでしょうか。
例えばハワイに行くときに、航空券が10万円でホテルが20万円で、別々に買ったら30万円かかります、というプランがあったとします。でも、それを一緒に買うことで、10万円割引されて合計20万円になる……みたいなことはざらにあります。
そのため、ひとつの予約サイト上で抱き合わせで購入することをおすすめしたいですね。
──そんなに違うならセットで予約したほうがいいですね……! ただ逆に、好きなホテルを選べるパッケージですと言われても、どうやってホテルを選べば良いのかよくわからないこともあるかと思います。
ホテルの見つけ方に関してもコツがありまして、まずはサイト上のフィルターをうまく使って絞っていただくといいホテルを見つけやすいかと思います。
日本人のお客様は安心・安全を第一にお求めになられる方が多いですが、エクスペディアを使ってそういったホテルを探す際には、まず星の数を3つ以上で絞っていただくのが良いと思います。4つ星以上でも、東南アジアなどでしたらかなり安いところはあります。
──他にもサイト上の情報の使い方のコツはあるんでしょうか。
星の数で絞ったら、次は口コミ評価を見るのがいいですね。実際に泊まった方の声には広告が含まれていないので。エクスペディアの場合は10段階で口コミにスコアをつけているので、8.5とか9といったスコアがついているホテルは狙い目です。
まずは星の数と口コミで絞り込みつつ、さらに予算の範囲で絞り込んで泊まれそうなところを見つける……という手順は、私自身がホテルを探す際にも毎回使っています。
空港に行っても飛行機に乗れない……!? パスポート周りのチェックは念入りに
──予約方法によって旅のお得さが変わってくるわけですね。では、プロから見て「旅行の際にはここに気をつけた方がいい」というポイントはありますか。
これはもうず〜っと悩ましい点であり続けているんですが、航空券を予約する際の姓・名の入力の順序には特に気をつけていただきたいです。
というのも、海外に行く際にはパスポートに記載されている情報と違うものが入力されて予約されていると、航空券とパスポートの記載内容が食い違ってしまうため、飛行機に乗れなくなってしまうんです。日本のパスポートには「姓→名」の順で記載されていますが、予約サイトや航空会社によって入力時のフォーマットが「姓→名」のものと「名→姓」のものが混在しているんです。
──や、ややこしい!
これを間違えて逆に入れてしまうと、姓と名がパスポートと一致しなくなってしまい、飛行機に乗れなくなってしまうんです。国内線と異なり、国際線では厳しい審査があります。「年に一度の海外旅行!」と思って空港に行って、そのまま搭乗拒否ということになってしまったら、笑うに笑えませんよね。
エクスペディアでも注意喚起のメッセージを入れるなどして、できるだけミスを防げるようにと工夫していますが、それでも間違えてしまう方も……。これは本当に旅が台無しになるトラブルなので、どこのサイトで予約するにしてもよく気を付けていただきたいポイントです。
それと、パスポートの有効期限もかならず旅行前の早い段階でチェックいただきたいです。
──と、言いますと……?
入国する際に、有効期限が1カ月残っていればOK、逆に3カ月〜6カ月残っていないとNGな国など、国によっていろいろなパターンがあり、有効期限が足りないと「行ったのに入れない」という事態が発生してしまうんです。なので、行く前にそれぞれの国の制限をチェックしておく必要があります。
──パスポート周りのミス、しくじったときに一切リカバリーが効かないのが怖いですね……。
特に最近はコロナ禍のあと初めての旅行という方も多いので「コロナ禍の前にパスポートを作って数年経過して、有効期限がギリギリになっている」という人がたくさんいます。なので、久しぶりの海外旅行に行く際は特に、パスポートの有効期限や渡航先の入国ルールをしっかりチェックした方がいいと思います。
──また、海外での交通に関してはどうでしょうか。東京のように細かく地下鉄が通っている場所ばかりではないと思うのですが。
移動に関しては現地で使える配車アプリを使うのが便利ですね。日本ではまだ普及していないので感覚的にわからないところもありますが、配車アプリが主流になっている国だと流しのタクシーが走っていないところも多いんです。なので、現地へ行く前に、その国で主流になっている配車アプリをスマホに入れておくのをおすすめしたいですね。
──その他、海外旅行中に何かトラブルに遭わないか不安な人もいると思います。
海外旅行には何かしらトラブルや疑問がつきものなので、エクスペディアでは24時間年中無休、日本語対応のコールセンターがあります。また、チャットサポートもありますので、何か気になることがありましたらどんどんチャットで問い合わせていただければと思います。
──いつでも相談できると思うと、かなり心強いですね。色々勉強になって、もう明日にでも旅行に出かけたくなってきました!
旅行に行きたくなった!→エクスペディアで「ブラックフライデーセール」があるぞ
旅行のプロから見た海外旅行のトレンドと注意点、いかがでしたでしょうか。読んでいるうちに、海外旅行に行きたいな〜という気持ちになってしまった方もいるのでは? そんな人こそ要チェックなのが、エクスペディアのブラックフライデーセールです。
11月22日から開催しているブラックフライデーセールは、エクスペディアにとって年に一度の大売り出し。エクスペディアでは主要地域のホテルを対象に、大幅な割引を実現しています。セールの対象となるのは2024年12月4日までの予約で、旅行期間は来年2025年の12月15日まで。期間が長めなので、年末年始の旅行は難しいという人でも、今のうちから来年の旅行のプランを立ててしまうのもよさそうです!
人気海外旅行先を含め、会員なら対象ホテルが30%以上割引になるお得なセール。多くの選択肢があるので、行きたい旅行先をどんどん検索してみて、お得な旅行プランを掘り出すという使い方が良さそうです。
このセールを使って旅の予定をじっくり練るもよし、9連休を生かした旅行プランを駆け込みで検索するもよし。エクスペディアのサイトを賢く使って、お得に旅行に出かけてみてはいかがでしょうか?
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