「新型コロナウイルスに感染したかも」と思ったら~感染症専門医が解説 

Tweet
Share
LINE
Hatena

 ニッポン放送「ザ・フォーカス」(4月8日放送)に日本感染症学会の専門医で東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授が出演。新型コロナウイルスの特徴について解説した。

2019-nCoVの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所 提供)
advertisement

新型コロナウイルスの特徴~ありふれたウイルスが変異

森田耕次解説委員)改めて新型コロナウイルスがどうなのか、医療や対策、今後などについてうかがいます。まずはこの新型コロナウイルスはどういう特徴なのかというところから改めて教えていただきたいのですが、風邪のウイルスとほぼ同じだとも言われていますよね。

寺嶋)もともと風邪の原因になるコロナウイルスはありふれたウイルスだったのですが、それが変異して、免疫がないということでどの人にもかかります。それに加えて拡大する様子を見ていると、実にしたたかで巧妙です。というのも、無症状や軽症にとどまる人の間で広まって、ときに高齢者や免疫のない人には重症化したり命まで奪ってしまうということで、広がる感染力と強い病原性の両者を備えているしたたかなウイルスということですね。

森田)8割が軽症と言われますが、重症化するときには相当に重い症状になるわけですよね。

寺嶋)先日志村けんさんが発症間もなく入院になり、短い時間で最期を迎えられたのはその1つの例だと思います。

森田)最初よく言われるのは倦怠感や発熱ということですが、そこからだんだんと肺の方へいくということでしょうか。

寺嶋)そうです。典型的なケースとしては風邪とほとんど変わらない症状が1週間あってそのままで終わる人もいれば、そこから肺炎になると高い熱や呼吸が苦しくなるといった症状が出ます。

森田)この感染ですが、やはり手洗いをよくするということは飛沫、接触といった形での感染が大半ということでよろしいでしょうか。

寺嶋)そうですね。感染者が出した咳やくしゃみといった飛沫に含まれているウイルスが飛沫感染ということでプラスチックや金属に残っていて、それを触ってそれが口や鼻などの粘膜から感染するのが接触感染です。最近ではプラスチックの上だとときには2、3日生きていることがあるとも言われていますから、怖さを感じます。

森田)このウイルスを殺すのには相当の時間がかかるということなのでしょうか。体内に入ってもすぐに弱くなるということではないと。

寺嶋)1週間くらい経って重症化するケースもありますし、よくなってもなかなか検査で陰性にならないということで入院期間が長くなったり、病床を埋めてしまったりする要因にもなっています。

ニッポン放送 NEWS ONLINE
advertisement

「感染したかも」と思ったら

森田)最初に風邪のような症状がでることもやっかいですし、症状が出ない人が多いと。東京都では感染者が増えていますが、感染経路のわからない人がどんどん増えていますね。

寺嶋)そういう方はまさか自分が感染しているとは思わないで、いまは自粛ということで外出を控えていますが、これまではいろいろなところへ出かけて感染を広げていました。そのなかの1つが大きな感染のクラスターになりますし、症状が乏しく感染経路が追えないまま発症した人はその周りにも感染者がいるだろうということで、最近では感染者のなかの経路が追えない人を区分けして出しています。

野村修也<中央大学法科大学院教授・弁護士>)味覚や嗅覚に異常が出ることが特徴的だと言われ始めていますが、そういうことがあれば疑う必要があるのですか。

寺嶋)もちろんこれまでインフルエンザなどのウイルス感染でも高い熱が出たときにはそういった症状があったという人もいました。しかし、今回は熱がなくても臭いがわからなくなると共に味もわからなくなるという人が出ていますから、もしかしたらこのウイルスの特徴的な症状として疑うきっかけの1つになるかもしれません。

野村)かねてから普通の花粉症にもそういった症状があるので、あまり心配し過ぎるのもどうかと思います。そういうときには専門の先生に聞くことが大事ですね。自分で勝手な判断をしてはいけないということかもしれません。

森田)ただ、発症したかもしれないと思っても、すぐに病院へ行かないようにとも言われています。

寺嶋)体調を崩した際には心配になると思いますが、現時点では医療のキャパシティや感染を広げないという点では、例えば食事や水分が取れている、息苦しくない、身の回りことが自分でできるようであれば自宅で安静にして4日間くらい様子を見て、そのときの症状で判断していただければと思います。

森田)病院から保健所へ連絡が行くという形になるのでしょうか。

寺嶋)4日も熱が続く場合には保健所の相談センターへ連絡して、そのときの話の内容、接触歴や経過などの症状によって疑わしくなければかかりつけの病院での受診を勧められますし、疑わしい場合にはPCR検査や受け入れ可能な医療機関への受診を勧められます。

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング