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第10回 ウェアラブルデバイスの“ものさし”となり得るParrotの 「Zik 2.0」“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)

Parrotが開発したワイヤレスヘッドフォン「Zik 2.0」は、非常に現実的かつスマートなウェアラブル体験が行える製品だ。今後のウェアラブルを考える上で、1つのものさしになると考えている。

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 2014年はウェアラブルの世界にとっての「セットアップ」のような1年だった。そのため、筆者にとっても本連載がスタートして3カ月、いよいよ到来する本格的なウェアラブルコンピューティングの時代について考える良いチャンスとなった。

 2014年に出てきた、この分野に関する当面のまとめは以下の通りだ。

 「ウェアラブルデバイス」は、文字通り身につけることができるデバイスを指し、本体をよりシンプルで軽くするため、自律的に動作するものはあまり多くない。ウェアラブルデバイスに関心を示す人が、必ず持ち歩いているであろう「スマートフォン」のアプリを核として動作するスタイルが多かった。

 ここに、デバイスとスマートフォンの役割が明確化される。「これまで人が無意識にやり過ごしてきた行動をデータ化する」のがウェアラブルデバイスの役割で、「そのデータを処理し、ビジュアライズしたり、クラウドと連携させる」のがスマートフォンの役割だ。

 意欲的なウェアラブルデバイスには、「これまでにない触覚などのインタフェースを提供する」「ハンズフリーコンピューティングを実現する」「バーチャルリアリティを再現する」といった、「スマートフォン+α」の機能を持たせるものもあった。

 2015年春にはApple Watchがリリースされ、おそらくウェアラブルデバイスのスタンダードが決定されることになるだろう。今後、どんなアプリが腕などで動作するか、という現実的な活用面の話が展開されることになる。

 また、スマートフォンなしのウェアラブルデバイス、あるいはウェアラブルが主となるコンピューティングの世界の可能性について、模索していく未来が待ち受けているだろう。

ParrotのZik 2.0とは?

 2014年の最後に、非常に現実的かつスマートなウェアラブル体験が行える製品を1つご紹介しておきたい。その商品はParrotの「Zik 2.0」という。Parrotというと、スマートフォンから操縦できるドローン「AR Drone」のメーカーといえば知っている人も多いかもしれない。

Parrot Zik 2.0
Parrot Zik 2.0のオレンジモデル。スマートフォンのケースなどと組み合わせて使いたい
Parrot Zik 2.0
フィリップ・スタルク氏によるデザインは、シンプルで、絵文字のヘッドフォンのような分かりやすい形状。しかしメタルのフレームの造型など、見どころが随所にちりばめられている

 同社は、フィリップ・スタルクによるデザインの、非常にシンプルかつ特徴的なフォルムを持つ、Bluetoothワイヤレス・ノイズキャンセリングヘッドフォン「Zik」をリリースしているが、2014年にそのセカンドバージョンである「Zik 2.0」をリリースした。

 このヘッドフォンは、ある程度完成された「ウェアラブル」らしい体験を味わうことができ、今後のウェアラブルを考える上で、1つのものさしになるのではないか、と考えている。

 Zik 2.0は、全6色から選べる、シンプルで丸みを帯びたワイヤレスヘッドフォンだ。Bluetoothでスマートフォンと接続し、音楽再生だけでなく、通話も非常に高音質で楽しめる。密閉型のヘッドフォンで、なおかつノイズキャンセリングに対応し、音楽に集中できる点も特徴だ。

 スマートフォンそのものやケースの色とコーディネートして楽しみたい、高機能ワイヤレスヘッドフォンとなる。

身につけてスマホで操作する

 Zik 2.0は、通常通りのBluetooth接続で音楽再生も音声通話も楽しめる。ヘッドフォンの側面はタッチパッドになっており、上下左右で曲やボリュームをコントロールしたり、通話に応答したりできる。ボタンがないが、機能がきちんと使える点がスマートだ。

 接続中に専用アプリを立ち上げることで、ヘッドフォンの細かい設定をスマートフォンから行えるようになる。

 アプリは、同期したヘッドフォンの色に応じて背景色が自動的に一致する点も、こだわりが感じられる。分かりやすいインタフェースからは、ノイズキャンセリングのレベル、イコライジング、音場効果を自由に設定できる。

Parrot Zik 2.0Parrot Zik 2.0 Zik 2.0専用のアプリ。ノイズキャンセリングやイコライジング、コンサートホールモードなどをタッチディスプレイから操作できる
Parrot Zik 2.0
専用アプリ上で、自分でプリセットをつくることも可能だ

 例えばノイズキャンセリングは、5段階に設定可能だ。ノイズキャンセルを強くするだけでなく、例えば街を歩いているときに外部の音を内蔵マイクから拾ってヘッドフォンに流すストリートモードも搭載している。ノイズキャンセリングで電車に揺られ、降りる際に、スマートフォンのアプリでストリートモードに切り替える、といった活用が可能だ。

 また、イコライジングや音場効果も、聴くアルバムやジャンルに応じてスマートフォンの画面をなぞる形で設定でき、非常に分かりやすい。これらの設定はプリセットとして保存しておけるため、好みの音質をすぐに呼び出すことが可能だ。

 こうした音のエフェクトはアプリ内で処理しているわけではない。アプリからの操作でヘッドフォン側が処理する仕組みになっている。そのため、音楽再生がヘッドフォンアプリではなく、iPhoneであれば標準の音楽アプリで再生されるほか、さまざまなアプリで音楽やビデオを見る際にも活用できる。

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