連載

もう一度、新しいステージに 一発屋芸人を声優に起用する「HUGっと!プリキュア」が描く“再生の物語”サラリーマン、プリキュアを語る(1/3 ページ)

ダイガンさん、生きていて本当に良かった……。元クライアス社の3人が本当に楽しそうで何よりです。

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 「なんでもできる! なんでもなれる! 輝く未来を抱きしめて!」。

 「HUGっと!プリキュア」のテーマの1つであるこの言葉は、もちろん子どもたちへの未来のメッセージ。

 でも、一度挫折した大人だって「なんでもできる! なんでもなれる!」のです。

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 人生は、何度だってやり直すことができるのです。

 元クライアス社の3人は、それを僕たちに教えてくれたのです。


HUGっと!プリキュアの5人

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

7月のHUGプリも、盛りだくさん

 2018年7月の「HUGっと!プリキュア」も相変わらず絶好調でした。

 毎週とんでもない密度の高さと驚きの展開で佐藤順一、座古明史、両監督の手腕が光ります。さすがは女児アニメ界のレジェンド監督さんです。

 「HUGっと!プリキュア」で「7月に起きた出来事」だけを見ても、第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」(7月1日放送)では、「ふたりはプリキュア!」のキュアブラック、キュアホワイトの登場、新しいプリキュアの新武器「ツインラブギター」の初披露、敵幹部パップルさんが浄化され……。

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第22話では、ゲストとして「ふたりはプリキュア」の2人が登場

 第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」(7月8日放送)では、敵幹部ダイガンさんが5秒で退場し、主人公、野乃はなちゃんがかつてイジメを受けていたことや、クライアス社社長の正体が明かされ……。


戦う前に味方に打たれたダイガンさん(中央)

 第24話「元気スプラッシュ!魅惑のナイトプール!」(7月15日放送)では、水着回とともに、えみるとルールーのライブ、元敵幹部の再就職、はなちゃんの葛藤が描かれ……。


クライアス社との闘いに悩むはなちゃん

えみるとルールーのユニット「ツインラブ」

 第25話「夏祭りと花火とハリーのヒミツ」(7月22日放送)では、新しい敵ビシンの登場、ハリハム・ハリーがかつて孤児であり、クライアス社に改造されていたこと、ほまれの両親が離婚していたことや、ほまれの淡い恋心などが描かれました。


ほまれとハリーはどうなる?

 7月の1カ月間だけで、この分量です。

 「子育て」と「お仕事」を描いていく、という当初のコンセプトだけでも大変だと思われるのに、伏線を回収するどころか、どんどん新しい要素が増えていっています。

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 これを破綻させることなく、全ての要素をパズルを組み立てていくかのようにきれいにお話に盛り込む製作者の手腕は本当にお見事だと思います。

 最近プリキュアファンの間でも、「新しい要素が多すぎて脳が処理しきれない」って声をよく聞くようになりました。


新しく加入したキュアマシェリ(左)とキュアアムール(右)

 そんな「HUGっと!プリキュア」。

 「野乃はなのお母さん、野乃すみれさんがいかに素晴らしいか!!」など語りたいことはたくさんあるのですが、まずは元敵組織クライアス社の幹部、チャラリート、パップル、ダイガンの3人について語っていきたいと思います。この3人もまた、「HUGっと!プリキュア」の1つのテーマである「なんでもできる! なんでもなれる!」を体現しているのではないかと思うのです。

元クライアス社の3人

 第24話「元気スプラッシュ!魅惑のナイトプール!」では、かつてプリキュアと戦ったクライアス社の3人の幹部(チャラリート、パップル、ダイガン)が、プリキュアに敗れクライアス社を退職した後、3人で新しく「芸能事務所」を立ち上げている様子が描かれました。

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(えみるとルールーを第1号タレントとしてスカウトする辺り、なかなかに見る目があるようです)


チャラリート

パップル

ダイガン(中央)

 かつて、プリキュアと対峙し追い詰められ、「自分には何もない」と嘆き暴走したチャラリート、失恋から自暴自棄になったパップル、仕事仲間に撃たれ何もできないままプリキュアの腕の中で消えていったダイガン。

 そんな3人がブラック企業を辞めて、芸能事務所を立ち上げたのです。

 従来のプリキュアでも、かつて戦った敵の「その後の姿」を描くことは多々ありました。しかしそれはだいたい「最終回近くの1シーン」だけで描写されることが多かったと記憶しています。

 しかし、「HUGっと!プリキュア」においては改心したかつての敵幹部がガッツリと物語に関与してきています。そして、これはおそらく意図的なものではないかと思うのです。

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