ボールがフワフワ空を飛ぶ 防衛省の「球形飛行体」を見てきたデジタルコンテンツEXPO 2011

ボールが転がるように着陸できる画期的な球形飛行体。フワフワと浮く姿はガンダムに登場するハロのようだ。

» 2011年10月20日 21時30分 公開
[山本恵太,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 丸いボールのようなものがふわりふわりと宙を舞う――10月20日開幕の「デジタルコンテンツEXPO 2011」(日本科学未来館)で、防衛省が開発した「球形飛行体」のデモ飛行が行われた。

 球形飛行体はその名の通り、丸い外骨格の中にプロペラを包み込んだボールのような形の飛行体。垂直離陸ができるだけでなく、その形を生かして転がりながら着陸したり、転がったまま地上を移動できるのが特徴だ。デモ飛行では、開発を担当した同省技術研究本部の佐藤文幸技官の操縦でホバリングや水平飛行、内蔵したカメラによる撮影飛行の様子を実演した。

 直径は約40センチ、重さは約350グラム。プロペラのほかに8個のかじがあり、ジャイロセンサーと内蔵のマイコンによる自動制御で安定した飛行が可能だ。バッテリーで約8分間飛行することができる。最高時速は60キロになるという。

防衛省技術研究本部 佐藤文幸技官

 佐藤技官は以前、無人機の研究を行っており、そこで飛行機の垂直離着陸に注目していた。垂直離着陸機は滑走路を必要としない長所がある一方で、着陸の姿勢制御が非常に難しく倒れた場合は再離陸ができないという弱点を持っている。異動後も何か解決策はないかと考えていた。

 そしてあるとき、機体を丸くすることでこの弱点を克服できるのではないかと気付いたという。丸い形なら着陸時に姿勢制御の必要もなく、がれきなど障害物の多い地面でも転がりながら着陸できる。

 「思い付いたらやるしかない。飛べば理屈を言わなくても信じてもらえる」と語る佐藤技官は、100円ショップや秋葉原でそろえた材料を使って試作機を制作。16カ月という短期間で現在の試作7号機を完成させた。7号機の制作費は11万円ほどだ。

 無人機の研究から始まったこともあり、森林や市街地を低空飛行しながらの情報収集や屋内の捜索など偵察任務を想定しているが、もちろん災害現場での活躍も期待されている。外骨格があるため、障害物に当たったとしてもプロペラなどの可動部を壊す心配がない。再離陸の際は、プロペラの逆回転を使う。重心が後方(プロペラと逆の位置)になるよう設計しているため、プロペラを逆回転させると起き上がり小法師のようにぐるっと動き、適切な態勢(プロペラが上を向いている状態)を取ることができる。

防衛省技術研究本部資料「まるい未来型飛行物体」より

 球形飛行体ならではの想定シーンと言えるのが、屋上からの監視任務。無人のヘリを使った場合、上空から監視地点に着陸しなければいけないため、目立って監視対象に気付かれてしまう恐れがある。しかし球形飛行体であれば、死角に着地してから屋上を転がって、最適な場所に移動することができるのだ。

 福島第1原発での使用を期待する声もあるそうだが、まだ実用化できる段階ではないという。搭載カメラを用いた遠隔操縦や気候、地形など環境適応の検証、そして実用化に向けたコスト面の検討などが今後の課題だとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/17/news022.jpg 【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
  2. /nl/articles/2403/18/news022.jpg 1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
  3. /nl/articles/2403/17/news063.jpg 「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
  4. /nl/articles/2403/17/news047.jpg 北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
  5. /nl/articles/2403/18/news042.jpg 生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
  6. /nl/articles/2403/15/news126.jpg 「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
  7. /nl/articles/2312/29/news019.jpg 「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
  8. /nl/articles/2403/18/news025.jpg “おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
  9. /nl/articles/2403/18/news056.jpg 大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
  10. /nl/articles/2403/18/news064.jpg 赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  2. 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
  3. 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
  4. 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
  5. 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
  6. 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
  7. 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
  8. 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
  9. 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
  10. 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」