以上が「現在まで」に起こったことの大まかなまとめとなる。ここからは「現状」と「これから」について考えてみよう。
1つ注意しなければならないのは、現状、「ステマ」という言葉が本来の意味を失い、一人歩きしてしまっている点だ。これは「コンテンツビジネスの根幹を脅かしかねない危険な状態」だと吉田さん。「すでに冷やかし目的の言葉遊びになっている感もありますが、企業側としては宣伝もPRも広告出稿もタイアップすらも、とにかく何から何まで『ステマ判定』されてしまっては一切の宣伝・広報活動ができなくなってしまう」と警鐘を鳴らす。
実は筆者も昨年末、あるゲームのレビューを書いたところ、たちまち「ステマ乙」「なんというステマ臭」などとコメントされてゲンナリしたことがある。何がステマなのか、ステマの何が問題なのかを理解せず、単に祭りに乗じて騒ぎたいだけの人も多いのは事実だろう。「ステマというキーワードに対する語感の良さが、彼らの集団心理を一体化させたんだと思います。理解せずにステマを連呼し、同意を求めることで一体感を得ようとする。相手をすればするほど彼らの蟻地獄にハマりに行ってしまうことになる」(吉田さん)
とは言え、ユーザーが疑心暗鬼に陥ってしまっている現状では、今までのような「ブロガーを使った紛らわしいバイラルマーケティング」については考え直す必要もありそうだ。
注意したいのは、メーカーはあくまで「バイラルマーケティング」として代理店にオファーしているのであって、決して積極的にステマを行っていたわけではないという点だ。「私が知るかぎり、ゲームメーカーが個人ブロガーにステマを促したり、強要したりしたという例はありません」(吉田さん)。しかし、ブロガーとの間に広告代理店が入り、出稿関係や報酬のやりとりが不明瞭になったことで、結果としてユーザーからは「ステマではないか」と疑いの目で見られるようになってしまった。今後はこうした部分をよりハッキリさせることで、まずはユーザーの信頼回復に務めるのが第一だろう。もはや問題は「ステマかどうか」よりも、「ステマだと思われてしまうかどうか」に発展しつつある。
同時に、記事を読む側が情報をきちんと選別し、捏造や煽動(せんどう)に踊らされないリテラシーを身に付けることも大切だ。ネット上においては、ソースを疑ってみるのは重要なことだが、何でもかんでも「ステマ乙」と決めつけてしまっては単なる思考停止と何ら変わらない。結果、メディアやメーカーが必要以上に萎縮してしまえば、その不利益は巡り巡って読み手やゲームユーザーにも返ってくる。
今回の「はちま起稿」の炎上は、謝罪文掲載と管理人交代という形で、ひとつの決着を迎えた形となった。しかしここまでの流れを読めば分かるように、ゲハブログをめぐる問題は、単に謝罪すればいい、管理人が変わればいいといった簡単なものではない。エントリを見る限り、「はちま起稿」は今後も更新を続けるようだが、根本的な問題を理解し、それまで問題視されていた体質が改善されなければ何の意味もないということになる。今後同ブログがどう変わっていくのか、併せてブロガーを使ったプロモーションの是非などについても、注意して見ていく必要はあるだろう。
最後に、今後業界はどのように対応していくべきかを聞いた。
「まずは消費者庁がしっかり動いて、何がステマで何がそうでないかの基準をはっきりさせるべきでしょう。一般媒体ではタイアップ記事には『PR』と表記されるのが通例ですし、このままではゲーム業界自体がコンテンツ・ビジネスの世界でも底辺扱いのまま這い上がれなくなってしまう。マーケティングにおけるレギュレーションを、広告業界含めて一度ディベートすることも必要ではないでしょうか」(吉田さん)
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