TENGAで世界一をもぎ取った、若き世界チャンプの素顔(1/2 ページ)
アメリカでは毎年、オナニーの世界大会が行われている。それだけでも驚きだが、そこで2年連続で優勝に輝いた日本人男性がいるという。その正体は……。
9時間58分、あなたは続けられますか
アメリカ・サンフランシスコで毎年行われている「マスターベータソン」というイベントがある。アルファベットでのつづりは「Masturbate-a-thon」。分かりやすく言えば「マスターベーション・マラソン」だ。
そこで2008年、2009年と、2年連続で優勝した日本人男性がいる。参加したのは、どれだけ長時間オナニーを続けられたかを競う「持久力部門」で、記録は9時間58分(!)。公式ルールでは1時間につき5分の休憩が認められているが、「途中で食事や水分を取ってしまうとトイレに行きたくなってしまうので、なるべく休憩は取らないようにした」という。
男性の名は、佐藤雅信さん。どんな人なのかと調べてみたら、なんとアダルトグッズ「TENGA」を製造・販売する、株式会社TENGAの取締役だった。仕事ではTENGAの海外事業部役員をつとめ、プライベートでは「オナニー・チャンピオン」に輝く(マスターベータソンへの参加はあくまで自腹だそう)――。公私ともにオナニーを極めた「達人」に、TENGAとマスターベータソンについてお話をうかがった。
日本と世界で違う、アダルトグッズへの意識
佐藤さんがTENGAに入社したのは2005年12月のこと。TENGAの設立が2005年3月だから、TENGAのメンバーの中では最古参の一人と言える。
入社のきっかけは、大学生だった当時、たまたま読んだ雑誌でTENGAの紹介記事を見かけ「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」というコンセプトに感銘を受けたこと。当時はまだ社長を含めても3人しか社員がおらず、佐藤さんは社長のアシスタントとして「朝から晩まで何でもやった」そうだ。
現在は主に海外事業を担当。TENGAは現状、世界40カ国以上で販売されているが、売り上げの比率で言えば、まだまだ日本8:海外2といったところ。逆に言えば、うまく開拓できればそれだけ大きな伸びしろを含んでいる。
日本とは逆で、欧米ではこうしたアダルトグッズは、実は男性向けよりも女性向けの市場の方が大きいのだという。きっかけのひとつは、1998年放送のドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」。番組内で女性向けグッズが比較的オープンに描かれたことが、グッズの普及と発達を大きく後押しした。加えて、もともと欧米では女性の自立心が強く「性を男性に依存しない女性はカッコイイ」という風潮もあった。TENGAも海外では、女性がパートナーのために買っていくことが多いそうだ。
そんな背景もあって、欧米ではTENGAのような男性用グッズの普及率はまだまだ低く、商品のバリエーションも少ない。実質、女性用グッズの普及率に対し「男性が置き去りにされている」状態で、これは日本とはまったく逆の傾向だという。今後、「性を表通りに」というTENGAのコンセプトを、海外にも広げていくのが佐藤さんのミッションだ。
応援してくれる人のことを考えて頑張った
マスターベータソンを主催するのは、サンフランシスコにある「性と文化センター」というNPO団体。同団体も、やはりTENGAと同じように「オナニーはうしろめたいものじゃない、もっと楽しんでいいもの」というモットーを掲げている。佐藤さんがマスターベータソンへの参加を決意したのも、そんな同団体の趣旨に賛同したためだ。
「オナニーというのは、男性ならみんなが当たり前にやっていること。TENGAで働きながら日ごろ感じていたことと、大会の趣旨が合致したというのが参加の動機です。あとは記念というか、自分のオナニー歴にひとつの区切りをつけたかったというのもありました(笑)」
マスターベータソンには3つの部門があり、それぞれ「持久力」「回数」「飛距離」を争う。佐藤さんが参加したのはこのうち「持久力」部門。参加者は体育館のような場所に集められ、それぞれ好きな場所に陣取って競技スタート。まわりにはもちろん女性の参加者もいて、思い思いの方法で競技に励む。
基本的なルールとしては、まず「人に触らない」というのが第一。道具の持ち込みはOKで、佐藤さんもTENGAを持ち込んで参加した。途中で射精はしてもいいが、勃起は持続していなければならない。競技中は何人かジャッジが巡回しているが、実はリタイヤする人の多くは「モチベーションを保てなくなって、自分からリタイヤしてしまう」のだそうだ。佐藤さんの場合、6時間くらいがちょうど一番ツラい時間帯で、そんな時は「応援してくれる人のことを考えて頑張った」という。チャリティイベントなので優勝しても賞品や賞金などは出ないが、心境的には完全にアスリートのそれに近い。見事手に入れた優勝トロフィーは、今も自宅に飾ってあるという。
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