ロマンスで交通事故も減る!? 日本ロマンチスト協会が説く“愛の力”(1/2 ページ)

ロマンチスト、それは「大切な人を世界で1番幸せにできる人」。ロマンチストが集まった「日本ロマンチスト協会」は、愛を叫ぶイベントや愛の力で交通事故を減らす取り組みで、社会をハッピーにしようとしている。

» 2012年04月06日 20時05分 公開
[笹山美波,ITmedia]

 「日本ロマンチスト協会」をご存じだろうか。夢見がちな人の集まりではない。大切な人を幸せにする力「ロマンス力(りょく)」の大切さを説く団体だ。現在1100人の会員がおり、神戸市や浜松市など10カ所に支部がある。今年で設立5年を迎える同協会の波房克典会長(38)に、設立の背景や活動について聞いた。

「日本の恋愛事情が深刻な危機」

画像 日本ロマンチスト協会

 日本ロマンチスト協会は、その名の通りロマンチストが集まった団体。ロマンチストとは、恋人や家族など「大切な人を世界で1番幸せにできる人」と協会では定義している。会員は普段は会社員など普通の仕事をしているが、時々「ロマンス宣教師」となって、「なんでもない時に花を贈る」「『愛してるよ』と口に出して言う」などのロマンチックな振る舞いを積極的にしたり、ロマンス力の大切さを伝える活動を自主的に行っている。

 ロマンチストというと、「空想癖」や「ナルシスト」などちょっとネガティブな人物像をイメージするかもしれないが、波房さんはポジティブに定義付けている。大切な人との良い関係作りのためにロマンチックに生きる人が増えれば、世の人の心が温かくなり、社会全体としてもハッピーな状態になるのでは、と考えているためだ。

 設立のきっかけは、日本で1時間に約30組ものカップルが離婚しているのを知ったこと。もともと波房さんは大学院で民俗学の研究をしていたが、一般企業に就職した後は社会・環境問題の課題解決に向けた活動に取り組んでいた。一方で、知り合いから悩み相談をよく受けるなど、個人の私生活の問題解決にも一役買っていた。そんな中で多くの人が「最近ドキドキが足りない」と口にするのが気になって調べたところ、その事実を知ったそうだ。

 「少子化や地球温暖化と同じくらい、日本の恋愛事情が深刻な危機を迎えている」と危機感を抱くと同時に、「1番大切な人を大事にできない人が、地球や社会を大切にできるのか?」と疑問に思った。そこで大切な人を幸せにする力「ロマンス力」の大切さを説く活動を始めようと志し、2007年3月5日に日本ロマンチスト協会を立ち上げた。

画像 波房さん

 設立後の最初の活動は、愛やロマンスにまつわる地域を日本全国から探すことだった。ロマンチストの「聖地」を作るためだ。なかなか見つからなかったが、知人から長崎県雲仙市に「愛野町」という町があると聞き、運命を感じた。愛野町を通るローカル線「島原鉄道」の愛野駅から、吾妻(あづま)駅までのきっぷは、「愛しの吾が妻(いとしのわがつま)」に通じる縁起物として一部で知られているからだ。「ここぞ聖地だ」と確信する。

 翌2008年に、6月19日を語呂合わせでロマンティックと読んで記念日「ロマンスの日」を制定。記念に愛野町でイベントを開催した。同町でじゃがいもの生産が盛んだったことから、会場にじゃがいも畑を選び、「じゃがいも畑の中心でロマンスを叫ぶ(ジャガチュー)」と題した企画を実施した。

 ジャガチューには、会員やサイトを見て集まったカップルが全国各地から20人ほど参加した。プラスチックのじゃがいもケースを裏返した即席の「お立ち台」に1人ずつ順番に乗り、「普段お前に愛してるっていったことないけど! 愛してるよぉぉ!」「大好きぃぃぃぃ!」などと、パートナーへの思いを畑に向かって叫ぶ。このイベントでプロポーズしたカップルもいた。周りで見ていた地元の人もつられて参加し、結局100人近くが集まる大盛況のイベントとなった。

 それからジャガチューは毎年開催している。ジャガチュー会場でロマンチストたちのエネルギーを受けて収穫されたじゃがいもは、「ロマンスポテト」として販売されている。ハート型っぽいじゃがいもが出てくることもあるそうだ。

 ジャガチューは市とは何ら関係のない協会の「勝手な活動」だったが、次第に市民にも影響が出てきた。老朽化していた愛野駅のリフォームを、市民が自発的に提案。屋根に協会のロゴをモチーフにした風見鶏を乗せ、ピンク色のクローバーを描いた新たな駅舎を作り、名称も「愛の駅」と書き換えた。町内の教会やレストラン、市民のプロポーズの名所などをめぐる「雲仙市愛の巡礼マップ」も作成。波房さんは「雲仙市の人たちが自分たちの地元を(協会の)聖地だと自覚しだして、町おこしを始めるようになった。しかもみんなすごく生き生きしてるんです」と、協会の活動が町おこしにつながったことを嬉しそうに語る。


画像 ジャガチューにはたくさんの市民もかけつけた
画像 ジャガチュー会場の畑で収穫したじゃがいもを販売している
画像 駅舎がロマンチスト協会仕様に

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」