国宝がWeb上にずらり Googleアートプロジェクトに東京国立博物館が参加する理由70億画素の超高解像度画像も

東京国立博物館など国内の6施設が「Googleアートプロジェクト」に。高解像度画像で国宝や重要文化財の細部を確認できる。

» 2012年04月09日 15時48分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 世界各地の美術館をネットで見られる「Googleアートプロジェクト」に、日本の施設がこのほど加わった。足立美術館、大原美術館、国立西洋美術館、サントリー美術館、東京国立博物館、ブリヂストン美術館の6館。国宝16件、重要文化財51件を含む、美術作品567件の高解像度画像を公開している。

画像 Googleのアート好き社員4人のアイデアで生まれ、昨年2月に米国・欧州でスタート

 国宝「観楓図屏風」(狩野秀頼/東京国立博物館)と名作「紅葉」(横山大観/足立美術館)の2作品は「70億画素」の超高解像度で撮影した。画像を拡大すると、肉眼では捉えづらい細部の筆致まで確認できる。

画像 観楓図屏風。ユーザーインタフェースや説明文は英語
画像 「Katsushika Hokusai」などアーティストごとに作品を並べることもできる

 東京国立博物館と足立美術館はストリートビューで館内の様子も見ることができる。展示スペースを実際に散策するような気持ちでたどり、気になる作品があったら「+」ボタンをクリック。すると作品ごとの詳細ページに遷移する。足立美術館のストリートビューでは日本一とも言われる庭園が窓から臨める。

画像 ストリートビューも

東京国立博物館が参加する狙いは

 東京国立博物館は従来からWebサイトで約600件の作品を公開している。国宝・重要文化財の画像を閲覧できる国立文化財機構のサービス「e国宝」にも参加しており、公式iPhoneアプリもある。そんななかでGoogleアートプロジェクトに参加する狙いはどこにあるのだろうか。

画像 小林広報室長。

 同館学芸企画部の小林牧広報室長は「東京国立博物館の来場者の2割は海外からだが、首都・東京にある国立の博物館としてはもっと多くて良いのでは」とかねてから思っていた。Googleアートプロジェクトに参加することで「日本の美術が世界のプラットフォームに乗っかった」と期待を込める。

 作品がネットで見られるようになると同館の来場者が減るのでは、という懸念に対しては「バーチャルはどこまでいってもバーチャル。本物には敵わない。足を運んで見たときに感動を得られるはず」と小林広報室長。Webで公開することでデメリットよりも「広く世界中に知ってもらうメリットが大きい」と判断した。

 Googleアートプロジェクトに日本の施設が加わったことを記念して、4月9日に東京国立博物館でテープカットが行われた。銭谷眞美館長は「日本の美術文化を広く世界に知ってもらう行動をすることにした。大きなチャンスだと思っている」と意気込んだ。グーグルの徳末健太郎製品開発本部長は「日本の文化を世界中に発信する協力ができることをうれしく思う」とコメント。ゲストで登場した元文部科学副大臣の鈴木寛参議院議員は「世界中の文化遺産にアクセスできることで、人間の持つイマジネーションやクリエイティビティーが創発される」と語った。

画像 左から東京国立博物館の銭谷館長、鈴木議員、グーグルの徳末製品開発本部長。ストリートビューの撮影は「トロリー」と呼ばれる手押し車で

関連キーワード

芸術 | Google | ストリートビュー | 美術館 | 博物館


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」