メールを読みたくない時の解決策は「下を向いてデリート」だ! 「バカサミット3」に学ぶ処世術
アイス評論家、離婚式プランナー、元ひきこもり……。常識の斜め上を走り続ける「バカ」たちの新しい価値観に触れてきました。
誰も目指していない方向に時代をリードする先進バカ企業。彼らが一堂に会する「青春! バカサミット」の第3回が4月14日、東京総合美容専門学校で開催された。
本人たちはあくまで真剣なのだが、それ故に周囲からは突き抜けたバカに見えてしまう、というのが本イベントのバカの定義だ。全4部で構成された今回のテーマは「ちょっとまじめなバカサミット」。13人の出演者がそれぞれの持つ独特の考えや価値観について語り合った。
第1部は、離婚式プランナーの寺井広樹氏やマグロ船評論家の斎藤正明氏ら4名が登壇。全員が濃い経歴を持ちすぎて自己紹介だけで持ち時間を使い切ってしまうというまさかの幕開けとなった。
続く第2部では、今月NHK Eテレでアニメ「鷹の爪NEO」が始まったばかりのFROGMAN氏が登場。「コレジャナイロボ」や「土下座ストラップ」で知られるザリガニワークスの2人と、キャラクターコンテンツにおける著作権を保有することの重要性などについて話した。主題歌や有名ブランドとのコラボなど多彩な展開が魅力の「コレジャナイロボ」と、テレビ朝日からNHKに放送局を移した「鷹の爪」の柔軟性は、どちらも100%自社で著作権を保有しているから可能なのだという。
テーマ通りちょっとまじめになったのもつかの間、第3部では「バカサミットだからバカをやりにきた」と株式会社人間の花岡洋一氏が剣道着に身を包んで登場。「バカをやることで冷たい印象の法人にも人間の感情が見えてくる」などまじめな話をしている川田十夢氏(AR三兄弟)やシモダテツヤ氏(バーグハンバーグバーグ)を竹刀で叩き、話の腰を物理的に折るという力技を披露した。
個人的にすごく共感したのは、引きこもりやニート問題がテーマとなった第4部。登壇者は、引きこもって中2から高校までを過ごし就職も長続きしなかったため「消去法で社長になった」という家入一真氏(ハイパーインターネッツ)と、大学では2年間で2単位しか取れず教授に「卒業まで64年かかる」と言われた人気ブロガーのヨシナガ氏。僕も中高と不登校を続け、大学でも丸1年間授業に行かなかった経験があるので2人の話にはぐっと引き込まれた。
2人とも家にずっといると気分が滅入ってきて、届いたメールも開くことができなくなる時があると言う。すると未読メールはどんどん溜まっていき、さらに気持ちが塞ぐ悪循環に陥ってしまう。現実に目を向けなきゃいけない、でもどうしてもその勇気が出ない。そんな時に家入氏が行う解決方法が、モニタという現実から目を背け「下を向いてデリートする」というものだそうだ。
僕のような凡人は、そんなことをしたら仕事に支障が出て致命的な失敗をしてしまうんじゃないかと思うが、家入氏は「本当に重要なメールならまた来る」と語り、ヨシナガ氏は「自殺するほど悩むよりメールをデリートしてしまうほうがいいし、必要なスキル」だと言う。苦しまずに生きるためにバカになってもいい、というのはすごく救いになる話だと感じた。
全体の総括として招かれた特別ゲストは「進め! 電波少年」などで知られる、日本テレビの土屋敏男プロデューサー。自身の番組でアポ無しの撮影や無名タレントの起用などテレビの常識を壊した経験を交えながら、「バカは大事な物を壊す。大事な物を壊さないと新しい物を作れない」という言葉で締めくくった。
最後は出演者全員がステージ上に集まり、会場も巻き込んだ「青春! バカサミット!」の掛け声で記念撮影。バカバカしいユーモアが何よりも人の心を軽くしてくれるものなのかもしれない、と感じられる優しさと勇気に満ちたイベントだった。
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