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» 2012年05月02日 11時00分 UPDATE

気になるあの人の本棚には何がある? 本棚を共有する「co-ba library」に行ってきた

「co-ba library」は、個人が本を持ち寄って作るシェアライブラリー。本は利用者ごとに並べられ、まさに他人の本棚を眺めることができる。

[池田園子,ITmedia]

 人の本棚は気になるもの。友人の部屋を訪れたとき、つい本棚に目が行ってしまうことはないだろうか。特に、気になる人の本棚にある本は、例え自分が興味のない分野の本であっても自然と手を伸ばしたくなる。

 そんな“誰かの本棚”が同じ空間に集められたシェアライブラリー「co-ba library(コーバライブラリー)」が5月7日、東京・渋谷にオープンする。ひと足先に竣工記念の内覧会へ行ってきた。

ah_coba17.jpg 内覧会で見たco-ba library。まだ本が入っていない状態

本の貸し借りで交流する「シェアライブラリー」とは

 まだ聞き慣れない「シェアライブラリー」とは、個人が自宅に置いている本を持ち寄ってできた図書館のこと。集まる人の属性によって、置かれる本の種類や系統などが偏ってくるあたりが、公共の図書館とは異なる面白さでもある。co-ba libraryは、クリエイター向けコワーキングスペース「co-ba」と同じ運営元で、場所もco-baの上階。co-ba利用者を中心に本が置かれることになる。ものづくり系の本、クリエイターが参考にできる本が多く置かれそうだ。

ah_coba1.jpg 本が入った状態のイメージ

 co-ba libraryは3つの部屋が横一列に並んでおり、利用者が持ってきた本は中央の部屋へ集められる。壁は白一色となっているが、およそ200もの本棚が床から天井に至るまで、壁一面に蜂の巣のようにびっしりと設置されているのがすごい。なんと最大4000冊収容できるそうで、すべて埋まると圧巻だろう。ここで特徴的なのは、本がジャンルや著者名順に並べられるのではなく、本の提供者別に並べられることだ。

ah_coba2.jpg 3つの部屋が並ぶ
ah_coba3.jpgaH_coba4.jpgah_coba5.jpg 利用者が本を持ち寄る部屋。壁一面に本棚が

 当面は利用者1人に1つの棚が割り当てられ、最大200人が利用できる。早い者順に好きな位置の棚を選べる。人が増えてくると、棚をさらに2分割することも考えているという。本の貸し借りが可能だが、co-ba運営者が介在しない点にも注目したい。本の提供者と本を借りたい人との間で直接やり取りが行われる。棚にはTwitterアカウントやメールアドレスなどを貼り、誰の本棚なのか分かるだけではなく、直接提供者に交渉できる仕組みだ。

 借りる冊数も利用者同士で決める。まさに個人図書館の集合体。利用者が変わると、置かれる本も変わっていくという流動性がある――これが中央の部屋が持つ“性質”だ。

白の部屋と黒の部屋

 ほかには白と黒の部屋がある。白い部屋は壁、天井、家具のすべてが白いだけでなく、照明もほかより明るくなっている。雑誌を立てかけて“魅せる”ための部屋で、本棚は奥行きが5センチほどと浅く、基本的に雑誌の表紙で壁一面を飾ることになる。co-ba入居者の属性とマッチした雑誌が並ぶそうだ。出版社からの献本だけではなく、新刊雑誌も随時入れていく。変化が激しい部屋になる。

ah_coba06.jpgah_coba07.jpgah_coba08.jpg 白の部屋は雑誌を立てかけて“魅せる”

 黒い部屋は利用者ではなく、co-ba運営者側からの発信に使われる。壁には本を立てて入れる縦長い隙間があり、21冊の本が置ける。ここに並べられるのは長年に渡って読み続けられてきた、歴史的名著が中心。置く本のテーマを設定して、ブックセレクターとコラボしていく試みもあるという。本は1週間ごとなど定期的に入れ替わる。かなり明かりを落とした部屋なので、瞑想や考えごとに使うこともできそう。赤いシャンデリアがゴージャスだ。

ah_coba09.jpgah_coba10.jpgah_coba11.jpg 黒い部屋は壁にスリットがあり、本を立てて入れる

 各部屋合わせて合計20席のテーブル席があり、棚を机にして作業する人も合わせると、最大40人がここで仕事できる。広さはおよそ122.3平方メートル。そのときの気分に応じて部屋を移動でき、仕事も調べ物もできるのがポイントだという。

ah_coba12.jpgah_coba13.jpg 棚を机に作業することもできる

 素材にもこだわっている。例えば中央の部屋は床に岡山県西粟倉村産のヒノキを使っている。吸湿性に優れているのが特徴。何となく暖かく、心地よく感じられた。空間の利用も上手である。テーブルは脚と接合されておらず、テーブル板を外して収納できる。すべての部屋のテーブルを撤去して何もない空間にできるので、イベントなども定期的に行う場所にしていくそうだ。

ah_coba14.jpgah_coba15.jpg 床には岡山県西粟倉村産のヒノキ

余白の情報から世界が広がる

 人それぞれ趣味嗜好や好きなものは異なっている。興味のど真ん中にあるものを手に取るのも良い。しかしそれだけではなく、自分の興味の外側にある、一見すると余白のような情報にも出会える――それこそがco-ba libraryの魅力であると運営者の村上浩輝氏は語る。「まさにこれだ!」というものだけではなく、他人の本棚が「こんなのもあるけれど、どう?」と新たな領域の情報を提案してくれるので、ものの見方や考え方も変わっていく。

 co-ba libraryは完成前からユニークな試みをしていたことでも知られている。内装工事の全工程をWebで24時間生中継し、のべ4000人がそれを視聴した。作る過程を見ることで、見る側、使う側も一体感を抱き、空間に対して親しみを持てる。co-baはこの空気感の仕掛け方、盛り上がりの作り方が巧みだ。設計はco-baを運営する株式会社ツクルバが行い、施行はHandiHouse Projectが担当した。

 利用料はフリーパスプランが1カ月1万2000円、ビジタープランは1チケット(1日有効)2000円。co-ba会員になるとco-ba libraryは無料で利用できる。内覧会で訪れたときはまだ本棚は空だったが、これからどんな本で埋められるのだろうか。

co-ba library

東京都渋谷区渋谷3-26-16 第5叶ビル6F

開館:午前10時〜午後7時


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