ニコニコ超会議は「達成感が足りない」 ニコ動運営長が明かす舞台裏と“次”の構想ボツになった企画とは?(1/2 ページ)

ニコニコ超会議から早1カ月が過ぎた。実はすでに来年の幕張メッセを予約しているという同社。果たして次はいつ、どんな形で実現するのか……!?

» 2012年05月30日 09時30分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 中野部長

 ゴールデンウィーク明け直後、ドワンゴのオフィスを訪ねると、ニコニコ動画ユーザーから「運営長」の愛称で親しまれている、ニコニコ事業本部の中野真事業推進部長が少し疲れた顔をしていた。聞けば、休み中に38度の熱を出し、最近まで寝込んでいたという。ニコニコ超会議を乗り越えて「少し気が抜けたのかも」と苦笑いする。

 2日間で9万人以上が集まったニコニコ超会議で、各企画の進行管理や調整に奔走した中野部長は、現場の様子を最もよく知るスタッフの1人だ。企画が持ち上がってからのアレコレを改めて振り返って欲しいとお願いすると、「どこから思い出せば良いか分からない」と言いつつもプロジェクトへの熱い思いが言葉になって次々にあふれ出た。

 ニコニコ超会議の夜に開かれたライブイベント「ニコニコ超パーティー」では、エンジニアを中心に同社のスタッフ約40人がステージに上がり、ユーザーから暖かい声援を受ける一幕があったが、中野部長はインタビュー途中、そのシーンを思い出して「こみ上げてくる」と言葉に詰まるほどで、達成感に満ちあふれているようにも見えた。

 だが返ってきたのは意外な一言だ。「ニコニコ超会議はやりきったという感覚がない。達成感が足りないんです」――。一体なぜなのだろうか。

画像

「大惨事になるんじゃないかとドキドキした」

 ニコニコ超会議は「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」というコンセプトで開かれた。歌、踊り、ゲーム、痛車、コスプレ……多彩な企画で幕張メッセを埋め尽くす。小室哲哉さんのようなビッグアーティストからボカロPまでプロ・アマ問わず多くのアーティストが主役として輝いた。宇宙、ハッカソンといった硬派な催しも目白押しで、会場を訪れた枝野幸男経産相は「まさしくクール・ジャパンだ」と驚いた。

画像 枝野経産相も訪れた

 中野部長が「壮観だった」と語るのは、「踊ってみた」ブース。ニコ動ユーザーによるダンスレッスンが開かれ、100人以上の来場者が一斉に踊る。「レッスンという体なのにみんな振り付けを覚えて会場に来ていて、テレビ局のスタッフも驚いていました」。3カ所のカラオケブースも大盛り上がりで、プロの歌手が出ているわけでもないのに人があふれ、自然と歓声や手拍子が生まれる。「ああいうものがコンテンツとして成立していたところに感動した」。

 時計の針を少し戻そう。昨年12月。ニコニコ超会議を半年後に控えたこのタイミングでもまだイベントの中身はほとんど決まっていなかった。企画を考える社員たちには「最初から抑えめに考えるとしょんぼりしたものしか出てこないから、全力で考えろ」と号令が出て、アイデアが大量にリストアップされたものの、1つ1つをどのように詰め込めるかはさっぱり分からない状態だったそうだ。

 ニコニコ超会議の赤字は約4億円だったと言われているが、社員が全力で考えた企画を全て実現しようとすると、桁が違うくらいの「とんでもない予算」になる計算だった。「さすがに無理だ。そこまでは攻められない」と、企画を見送ったり、スケールダウンさせたりしながら、現実的なレベルに落としこんでいく。見た目が冴えなくても中身で喜んでもらおう――そんな意図から、ユーザー向けには「ニコニコ超会議は大人の文化祭」であるとアピールした。

画像 当日の会場

 確かに当日の会場の見た目は、企業ブースなどの一部を除くと質素だった。通路を広めに取ったゆとりある設計で、ゲームショウのような派手な電飾はほとんどなく、控えめな印象。準備が完了し、白いパーテーションが並んだオープン前の会場を見渡して、中野部長は「これからまだ何か用意するんだよね? と焦ったし、不安になった。これでお客さんが集まらなければ大惨事になるんじゃないかとドキドキした」と明かす。

 当初の予定では会場にいる動物の種類はもっと多かった。「アイドルマスター」の765プロはもっと大がかりに、トイレや普段映らない別室までリアルに再現する計画だった。「これは絶対残さなきゃいけないという判断が難しく、見た目という意味では思い描いていたものと路線が変わってしまったものもあるが、中身はギリギリ死守できたかなと思っている」と語る。

画像 実はもっと大がかりになる予定だった765プロ
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」