ギークだらけのシェアハウス「ギークハウス」に潜入してきた:意外にも(?)健康的(1/2 ページ)
ギーク(技術オタク)のためのシェアハウス「ギークハウス」を訪れた。ギークが10人集まった住まいは一体どんなところなのだろうか……?
「シェア」という概念が広がりつつある近年、シェアハウスに住む人が増え、さまざまなメディアでシェアハウス特集が組まれるようにもなった。シェアハウスといっても、すべてをひとくくりにするのは難しく、多種多様なテーマを持ったシェアハウスがあるようだ。ただ暮らしをともにするだけではなく、住人みんなでクリエイティブな活動をしている個性的な「ギークハウス」を訪ねてみた。
ギークハウスは、ネットやコンピュータが好きな人が集まった、ギーク(技術オタク)向けのシェアハウス。各地にあり、「ギークハウスプロジェクト」と呼ばれるプロジェクトのもと、それぞれが独立した形で運営されている。
今回訪れたのは、東急東横線・新丸子駅(神奈川県川崎市)から徒歩8分ほどの距離にある「ギークハウス新丸子」。団地の一角にある一軒家は一見すると普通の家だ。中からは男子たちの楽しそうな声が聞こえてくる。出迎えてくれたのは運営者である小出俊夫さん。玄関には男ものの靴が大量に並んでいる。さぞかし“男所帯的なごちゃごちゃ感”があるに違いない――おそるおそる部屋へ上がってみたら、拍子抜けするほどにキレイに片付いていた。
住人はWebデザイナーやプログラマー
早速ギークハウスの住人と対面。ギークというくらいだし、やはりプログラマーや開発者などの“Web男子”ばかりなのだろうか。おじゃましたのは平日の午後7時過ぎで、ほとんどの住人が居間に集まっていた。Webデザイナー、プログラマー、電気メーカーの研究者、ニート(!)など、実に多種多様な顔ぶれ。合計10人の男子は19歳から30代半ばまでで、平均年齢は28歳と若め。
定員10人なので現在は満室という人気っぷり。入居条件は厳しくはなく「日本語か英語を話せて、意思疎通ができる」ことくらい。外国人でもコミュニケーションが取れる人ならOK。適度に英語のできる住人が多く、「外国の人がいると英語が勉強できて嬉しい」という前向きな考えだ。実は職業も関係なく、現にニート男子もいる。ギークハウスでITのスキルを身に付けて職に就いた人も、過去にたくさんいたのだとか。家賃は3万5000円、共益費は別途1万円。これでスキルをゲットできるなんて安すぎる。
「主夫」のおかげで男所帯でもきれい
ギークハウス新丸子は一軒家の1階のみを使っていて、2階は普通の賃貸。1階は部屋が5つ(広さは8畳以上)あり、うち2部屋は寝室。寝室に入ってみると、懐かしの2段ベッドが並んでおり、林間学校を思い出す。4人部屋と6人部屋とに分かれていて、特に6人部屋はTHE・男というにおいが漂っていた。体育系部活動の部室を思い出すにおいかも。残りは和室、居間、キッチンとつながったフローリングの部屋で、皆は主に居間と和室に集まってPCをいじっている。食事は居間に集まって取ることが多い。
キッチンで料理を作っているのはもちろん男子。現在ニートで「主夫業」はすべて彼が担当している。「主夫がいないと生活が回らない」と皆から感謝されている存在だ。男子が10人住んでいても髪の毛ひとつ落ちていないのは、毎日掃除されているからこそ。風呂場や脱衣所、トイレ、洗面所もすべて見せてもらったが、お母さんが掃除してくれているかのように、キレイに整えられている。ギークは部屋が汚そうというイメージが一新された。「ここはギークハウスに革命をもたらす(キレイさだと思う)」と小出さん。
この日の夕食はそうめん。食べっぷりの良い男子が10人もいるので、麺を上げているザルはかなり巨大。この日は遊びに来ている女子もいたので、さらにたくさん作った様子だった。来客は基本的には招待制だが、何らかの関係者であれば午後11時まで訪れることができる。
皆すごい勢いでそうめんをおいしいおいしいと食していた。ほかのギークハウスは、カップ麺などで簡素に食事を済ませるところもあるが、こちらはかなり健康的な食事である。ホームベーカリーを使った焼き立てパンが食卓に並ぶことも。その場合、主夫氏は早朝5時ごろから活動を始める。
開発や勉強会などギークらしい活動
ギークハウスらしい活動についても聞いてみた。まだ公開できないそうだが、現在住人たちで、それぞれの得意分野(言語)やスキルを生かしたWebサービスを開発中という。いくつものサービス案ができてはつぶれを繰り返し、常にブラッシュアップしている。来月お披露目の予定だ。
グループを組んでプロジェクトを手がけたり、コンペに応募することも。クックパッドが主催する開発コンテストに出た住人もいる。交流の深い「ギークハウス武蔵小杉」に集合し、24時間でサービスを立ち上げる企画をやったこともある。そこで5件のWebサービスが生まれ、うち1つは小出さん作。「添い寝アプリ」を作った人もいた。
外部の人を呼んでプログラミング関係の勉強会を毎月開くなど、積極的にスキルアップを図っているのもギークハウスっぽい。こうした勉強会は「(ギークハウスが)気になるけど、何もないのに行って良いかどうか分からない」という人が訪れるきっかけになる。勉強会にも色々あり、第1回目は「通貨の作り方」だった。ほかには「カレーの作り方」「女教師ファッションについて」などさまざま。住人のつてで来る人や、来たいという人に「講師やって」と頼むこともあるとか。
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