そのまとめ、転載だよ。知らないのかい? 悪質な「転載まとめ」に非難の声 リツイート数は元記事の40倍

NAVERまとめで、権利侵害記事など一部まとめがインセンティブ対象外に。その直前、問題視されていたまとめがあった。

» 2012年06月20日 18時58分 公開
[ITmedia]
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 NAVERまとめに投稿された「高橋克也容疑者逮捕のマンガ喫茶のその後…」(Googleキャッシュ)という記事が一部で非難を浴びている。記事はすでに削除されているが、筆者が最後に確認した時点でView数は14万以上、リツイート数は4000を超えていた。

画像 高橋克也容疑者逮捕のマンガ喫茶のその後…(Googleキャッシュ)

 一見よくあるまとめだが、注意深く読むとあることに気づく。まとめという体裁はとっているものの、中身は日刊サイゾーが掲載した「『なんで1社だけなんだ!』ズレた方向に存分な効果を発揮したメディア・スクラム」という記事をそのまま転載し、段落ごとに見出しをつけただけ。「引用」の範囲を明らかに超えた「転載まとめ」に、はてなブックマークやTwitterでは「単一ソースでまとめとは新しいな」、「これ引用の範疇なの?」、「NAVERまとめってPV稼げればこんなので良いんだ…」といった非難が相次いだ。

画像 NAVERまとめ側の冒頭部分

画像 こちらが元の日刊サイゾーの文章。NAVERまとめの方は、これをただ貼り付けただけであることが分かる

画像 NAVERまとめの記事の後半部分

画像 日刊サイゾー側。やはりまったく同じ文章となっている

 本来拡散されるべき日刊サイゾー側の記事は、現時点では127リツイートにとどまっており、皮肉にも、転載した側の方が40倍近くリツイートされた形になってしまった。NAVERまとめを運営するNHN Japanは6月20日、「権利者より申し立てがあり、権利侵害の事実が確認できた」とし、この記事をサイトから削除した。

 この件について、NHN Japanは次のようにコメントした。

「特定ページの内容だけをそのまま転載しただけのまとめがある、というのは極めて遺憾です。弊社では、情報の紹介ではなく、特定のページを、そのまま転載しただけのものは決して認めておりません。それは、決して、まとめではありません。

弊社はプロ責法およびガイドラインに基づいて対応をしておりますが、著作権侵害の事実が確認できれば利用規約3条3号違反となります。弊社としましても、迅速に対応いたします」(NHN Japan 広報)

 さらにこの直後、NAVERまとめ側は権利侵害などを含む一部まとめについて今後インセンティブの対象外とすることをサイト内の「お知らせ」に掲載した(関連:まるまる転載ダメ! NAVERまとめ「権利侵害」記事をインセンティブ対象外に)。直接言及はされていないものの、今回の一件が対応の引き金になったのではと見ることもできる。

 今回のまとめについても、発生したポイントはすべて無効とし、インセンティブも発生しないとのこと。また現時点では注意と記事削除のみにとどめるが、今後もし改善がなければアカウント停止などのペナルティも検討するという。

画像 NAVERまとめに掲載された「お知らせ」

 余談だが、こうした「転載」問題は、NAVERまとめに限らず、実は個人のまとめサイトなどにもつきまとう。例えば先日、2ちゃんねるから名指しで「転載禁止」を通告された、「やらおん」「はちま起稿」などのサイトは、記事の大半がどこからかの「転載」で成り立っているというのが実情だ。

 加えて以前はコメントを抜粋して掲載するという「編集」の要素が多少はあったが、コメント掲載不可になった今では、単なるニュースソースの転載に一言コメントを添えただけ――という記事も多く、悪質性はむしろ増したとも言える。記事全文がそのまま転載されていることも珍しくなく、著作権的には限りなくクロに近い。元記事ではなく転載側を拡散してしまう人もいまだに多い。

 キュレーションという言葉が注目されるようになって久しいが、複数の情報を編集し分かりやすくまとめることと、今回のような全文転載はまったく別の行為だろう。はてなブックマークに寄せられたコメントの中には「NAVERまとめは2chまとめ系ブログよりたちが悪いパクリサイトに成長してきたね」といったものもある。無断で転載する行為が悪いのは当然だが、それを掲載するプラットフォーム側にも責任の一端はある。「パクリサイト」の汚名は返上できるのか、NAVERまとめの運営姿勢が問われている。

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