最大限の“痛さ”で札幌の新名物に 長栄交通の「痛タク」がつくるフリー経済すごいぜ痛タクシー(2/3 ページ)

» 2013年05月24日 11時00分 公開
[岡田智博,ねとらぼ]

 痛タクの売り上げは、通常の車両の売り上げより2割以上高いという結果がもたらされている。乗車している車両からの売り上げが運転手の報酬につながるタクシーの仕組みの中で、その効果は運転手にとっても大きなメリットだ。この高い売り上げ傾向は、タクシーにラッピングされたコンテンツの有名無名には関係なく生まれている。

 「広告のラッピングタクシーをしていても、広告料はタクシー会社に入るもので、運転手さんの収入にはなりません。痛タクは乗っている運転手さんの収入に直結します。今では、進んで乗務したいという運転手さんもいます」と竹内さん。まさに、タクシーのコンテンツ化でフリー経済が生まれている。

 痛タクはラッピングだけではなく、タクシーの中にもその世界が広がっている。例えば痛タク第3弾「フランチェスカ」の車両。フランチェスカは地元の企業ハートビットが作った「北海道発アンデッド系キャラクター」で、車内ではテレビで同キャラを紹介するショートアニメが流れ、運転手さんからポストカードの進呈もある。もちろん運転手さんはコンテンツに関するレクチャーも受けている。

画像 北海道発「アンデッド系」キャラクター「フランチェスカ」の痛タク。「フランチェスカ」のキャラそのものは、今年の「ニコニコ超会議2」への参加など全国制覇の計画を密かに進行中
画像 車内の様子。こちらのフリーの広告枠に、近所で愛されている「あんぱん」の特別バージョンの広告。ビジョンに、ショートアニメーションによるプロモーション。運転手から、特製ポストカードのプレゼントも

タクシーを「フリー」メディアにすることで生まれた可能性

 このタクシーをメディアにした「フリー」の発想。竹内さんは「痛タク」以前から導入していたという。

 「以前から車内の宣伝物も無料で置くことを私の発想で引き受けていました」と竹内さんは語る。タクシー車内での宣伝は普通、広告料をもらって引き受けるものだ。「北海道の景気は本当に悪く、お得意様になってくれた飲食店でも、経営が厳しいところが多かったのです。一方で、新しくお店を始めようと一念発起をする人もいる。この両方を私たちなりに応援したかったのです。そこで、宣伝枠を無料で提供しました」

画像 竹内さん

 ここでも広告料をもらうのとは違う効果があった。それは宣伝を出した店舗から、迎車の注文が必ず入るようになったこと。「痛タクと同じように、広告費でタクシー会社だけがわずかに、かつ本業外の収入をいただくよりも、運転手さんの収入に直結する、タクシーとしての本業で稼ぎたい。そしてタクシーの可能性を追求したい」と竹内さんは意気込む。

 それにしてもなぜ、痛タクの発想にたどりつき、地元企業だけではなく、バイオハザードのタクシーまで成功させたのだろうか? 実は最初は広告モデルによるラッピングタクシーのビジネスを導入しようとしていた。

 「札幌は観光地ですし、地域を盛り上げるためにも、観光やビールなど地域のブランド関係を広告にしたラッピングタクシーを提案したのです。しかしうちが小さな企業ということもあって、何処の会社も相手にしてくれなかったのです」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」