震災ドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」 やらせ報道受け制作者が謝罪やらせ発覚

災害ラジオ局の電波が届いておらず、実際にはラジオを聴いていなかった。

» 2014年03月06日 13時29分 公開
[ねとらぼ]

 東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町のラジオ局を舞台にしたドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」にやらせ演出があったとする朝日新聞の報道に対し、制作側が公式サイトFacebookページで謝罪している。

 震災直後に開局した臨時災害ラジオ局のスタッフと、そのラジオ放送で元気づけられる被災者たちを描いた内容になっているが、朝日新聞によると作中に登場する仮設住宅周辺は災害ラジオ局の電波が届いていなかったため、ラジカセを撮影班が用意し、ラジオではなく地元中学生の合唱のCDを聴かせ、実際の撮影中にラジオを聴く機会はなかったという。加えて、ラジオ局が町でイベントをする場面ではボランティアについて「(ラジオ局の)リーダーが東京から呼び寄せた」とのナレーションが入っているが、実際には制作側が集めたことを認めた。

 同町で被災した70代女性は制作側から「(ラジオを)いつも聴いている」「音がないと寂しい」などのセリフを強いられ、ラジオを聴くふりをしていたが、映画が評判になるにつれて罪悪感を覚えたと同紙の取材に答えている。

 映画を企画制作したのは大手広告会社・博報堂。神戸が出身で自らも阪神大震災で被災した経験があるという監督・梅村太郎氏は自身のFacebookで、「ドキュメンタリーとして許される範囲の『演出』として考えておりました。しかし、それがドキュメンタリーを逸脱したものだというご指摘は真摯に受け止めたいと思います」とコメント。「私たちはできることであれば、今後も、『映画で東北を知る支援』の活動を継続していきたいと願っています」と本映画の趣旨に理解を求めた。

画像

画像 「ガレキとラジオ」の公式Facebookページ

 また、映画のエグゼクティブプロデューサーである山国秀幸氏も「被災地支援を目的に製作した映画が、逆に被災者の方を傷つけてしまっているという事が事実であれば、それは一番あってはならないと考えています。まずは、映画に出演頂いた女性に心よりお詫び申し上げます。申し訳ございません」と謝罪した上で「報道や監督コメントにありました一部の演出の考え方につきまして、本映画のプロデューサーとしましても、それはドキュメンタリーを逸脱したものだと考えます」と述べている。

 本作でナレーションを担当した俳優の役所広司氏は公式ブログにおいて、復興支援という企画内容に賛同しボランティアで参加したという経緯とともに「真実の部分は多々あると思いますが、この『ヤラセ』の部分の演出を知っていて作品を完成させた制作側に、大きな責任があると思っています」と発言。さらに「そしてご遺族のご遺体が見つからない苦しみに加え、ドキュメンタリーでやってはならない演出で出演された女性の方に、新たな苦しみを与えてしまったこの映画は、今後二度と上映されるべきものではありません」と今後の厳しい対応を望んでいるようだ。

画像 役所広司氏の公式ブログ

 映画は2013年春から公開され、現在も市民らによる自主上映会が続いていたが、今回の騒動を受け制作側は、予定していたすべての上映の中止を要請している。また、新規の上映会の受付も中止し、公式サイト上での募集案内は削除した。しかし、さまざまな考えや事情により上映会を開催する場合には、上映前に観客へ今回の報道に対する監督や博報堂からのコメントを紹介するなど、映画に出演した女性に最大限配慮した対応を取るとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/08/news009.jpg スーパーで買ったリンゴの種に“粉”を振りかけ育てると…… まさかの結果に「どうして!?」「すごーい!」「やってみます」
  2. /nl/articles/2405/07/news109.jpg 「ロッチ」中岡、顔にたっぷり肉を蓄えた激変ショットに驚きの声 「これ…ヤバいって」「すごい変身っぷり」
  3. /nl/articles/2405/03/news025.jpg 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  4. /nl/articles/2405/08/news006.jpg 娘が抱える小型犬の目を疑うデカさに「サモエドかと思った…」「固定資産税かかりそう」 意外な正体がSNSで話題
  5. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. /nl/articles/2405/08/news014.jpg 1歳弟の歩行練習に付き合う柴犬、アンパンマンカーに乗って…… 「待ってましたー!!」「もうプロ級ですね」“師匠”なたたずまいに爆笑の620万再生
  7. /nl/articles/2403/13/news017.jpg 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」
  8. /nl/articles/2405/07/news153.jpg 注意書きや警告に添えると……? 天才的発想の“一発逆転キーホルダー”が10万いいねの大反響 「やめーやww」「好きすぎる」
  9. /nl/articles/2405/08/news018.jpg 2歳兄、4カ月の妹の周りをおもちゃで埋め尽くしたあと…… 妹をとことん楽しませる行動に「優しいおにいちゃん」「癒されてほっこり」
  10. /nl/articles/2405/08/news107.jpg 「悲しくなった」「リスペクトがない」「嫌悪感」――楽器や画材を潰すiPadの紹介映像が物議
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評