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» 2014年05月09日 13時54分 UPDATE

ニコニコ動画が変えた新しい演劇の見方――劇団キャラメルボックス、舞台を生放送する理由 (1/2)

本来は劇場で“生”で見るはずの舞台演劇。しかし、映画館で見るライブビューイング、そしてネットチケットの登場によって、これまでの観劇スタイルが大きく変わりつつある。なぜ劇場から生中継するのか。その理由をキャラメルボックス代表の加藤さんに聞いた。

[藤井千桃子,ねとらぼ]
caramel_mkato.jpg キャラメルボックス代表の加藤さん。結成は1985年、過去には俳優の上川隆也さんも所属していた歴史ある劇団だ

 本来であれば劇場へ見に行くことが一般的であるはずの舞台演劇。しかし、近年は映画館で見るライブビューイングや、ニコニコ動画でのネット配信といった事例も増えてきた。「忍たま乱太郎」や「弱虫ペダル」などの人気コンテンツの舞台化はニコニコ生放送で多くの視聴者を集めている。

 演劇集団キャラメルボックス(以下キャラメルボックス)も、作品をニコ動でライブ配信している劇団の1つ。劇団の運営会社であるネビュラプロジェクトの加藤昌史(かとう・まさふみ)代表に、ニコ生での現在の取り組みから、配信を始めたきっかけ、インターネットと演劇のこれからについて聞いた。

楽屋も生中継

 演劇集団キャラメルボックス(以下キャラメルボックス)は、1985年に早稲田大学の演劇サークル「てあとろ50'」出身の加藤さんたちによって結成された。2008年に累計動員数200万人を突破し、2010年には結成25周年を迎えた歴史ある劇団だ。また、創立当時からWebを使ったプロモーションに積極的で、1995年に公式サイトを立ち上げ、ファン専用のSNS「Caramelland(キャラメランド)」でも情報発信に取り組んでいる。

caramel_sns.jpg ファンの交流の場であるSNS「Caramelland(キャラメランド)」

 そんなキャラメルボックスが、ニコ生で演劇のライブ配信を始めたのは2013年のこと。今年に入ってからは、ニコ動に月額540円の公式チャンネルを設け、作品を鑑賞できるようにした。また月額会員でなくても1500円のネットチケットを購入すれば鑑賞できる。劇場で実際に見るためのチケットが7000円程度なのに比べると、ネットでは割安だ。

 キャラメルボックスの生放送で特徴的なのは、舞台上と楽屋をそれぞれ同時中継していることだ。リアルタイムに芝居が進行していくその傍らで、楽屋からの生放送では加藤さんが稽古時の裏話を解説したり、役目を終えた直後の役者が顔を見せたりする。

caramel_niconico1.jpgcaramel_niconico2.jpg (左)公演本番の生放送 (右)同時に楽屋からも生放送をしている

 鑑賞のしかたが劇場とは大きく異なるのもニコ生配信ならではの特徴だ。一般に観劇のスタイルというと、誰もしゃべらずに静かな空間で芝居を眺めるイメージがある。しかしネットビューイングはそのイメージとは真逆に、放送中はたくさんのコメントが流れる。キャラメルボックスの最近の公演動画を見ると、来場者数が約400人なのに対しコメントが2000件以上ついていることからも、そのにぎやかさが想像できるだろう。

caramel_888.jpg 放送終盤には拍手の嵐が

 これはキャラメルボックスに限った話ではなく、ネットチケットを使って配信されている演劇作品の多くが、来場者数の数倍、場合によっては十数倍のコメントであふれている。圧倒的なコメント量や、ユーザー同士がコメント欄でやり取りをし合う様子、何より「コメントも含めて1つの作品」とみなすような独特の文化は、ニコ動にしかないものだ。

 劇団の全体の売り上げに対し、ニコニコでの売り上げが占める割合は大きなものではないが、それでも続けている理由は「単純に楽しいから」(加藤さん)。ネットチケットでもうけようとも、劇場への集客のためとも思っていない。自分の仕事は「24時間お客さんを楽しませること」だと考えている加藤さんにとって、ニコ動にはその理想形があると感じている。

「自分たちでお客さんを作る」ことが始まり

 これまで演劇を見てもらうためには劇場に来てもらうしかなかった。そんな演劇をライブ配信している裏側には、どのような意図があるのだろうか。

 演劇はそもそも非常にマイナーなエンターテインメントであると加藤さんは語る。同じエンターテインメントでも、例えば音楽は、CDやDVDなどの形でも広く流通し、一度ヒットすれば大勢の人に聞いてもらえる。けれど演劇、特に会話劇であるストレートプレイは、生身の人間が生声でやるものだから広がりがない。また、演劇を扱うメディアはないに等しく、見る人も少ない。小規模なエンターテインメントは宣伝費をかけられないため、メディアにどう露出するかが旗揚げ当時からの課題であったそうだ。「常に自分たちでメディアを作るということを意識していたので、お客さんは自分で作るということから始めました」

 劇団立ち上げ後、まずは雑誌という紙のメディアからスタートしたキャラメルボックス。1995年にはいち早く公式サイトを開設した。紙媒体より早く情報を伝えられる世界があるのならば、それを使ってお客さんについてきてもらうべきだと思ったからだ。そこから、公演などの情報はインターネット上に積極的に載せて知名度を世に広げていった。

「視聴者3人」から始まった生放送

 2000年には最初のインターネット生放送も実施したが、そうした取り組みの情報はファンにも行き渡っておらず、そもそも視聴できるPCを持っている人も少なかった。現在のような動画配信プラットフォームなどまったく整っていない時代だ。WebカムとMac 1台、64KbpsのISDN回線でストリーミング配信したが、初回の視聴者数は3人だった。

 それからの10年間も、次回公演のプロモーションビデオをYouTubeで公開したり、前述のファン専用SNSを立ち上げるなど、精力的にWeb上で活動してきた。「UstreamもTwitterも、かなり初期から利用している。新しくできたサービスはだいたいすぐに試してきた」

 ニコ生を始めたのは2013年から。過去にニコ生で配信され、人気を博していたミュージカル「忍たま乱太郎」の配信にキャラメルボックス社員が関わっていたことがきっかけだった。

 ニコ動に対しては、サービス開始当初のある種排他的な雰囲気への印象がぬぐえず、それまではあまり関心を持っていなかったという加藤さん。しかし、キャラメルボックスがニコ生を始める際に初めて見た、ラジオパーソナリティ・やまだひさしさんの破天荒な放送に驚きを感じた。「自分たちもこんなはちゃめちゃな配信がしてみたいと思った」

caramel_channel.jpg キャラメルボックスチャンネルのトップページ

 「演劇ってだけでハードルが高い、縁遠いと思われている」。そのハードルをもっと下げていくことも大きな課題だと加藤さんは語る。2014年にはニコニコ動画上に劇団の公式チャンネルを開設したが、視聴できるのは基本は有料会員だけ。より広いユーザーに向けて情報発信するため、加藤さんは自分自身のニコ生アカウントでも稽古風景などを配信している。

 「これで僕らが日本の演劇界を変えていかなければ、次の世代の演劇をやる人たちがのびのびとできないと思っています」

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