納豆は何回混ぜれば一番おいしくなるの?味博士の味な豆知識

混ぜれば混ぜるほどおいしくなるって言っても限度があるよね?

» 2014年06月07日 17時00分 公開
[味博士,ねとらぼ]

 かの北大路魯山人は言いました。納豆は混ぜれば混ぜるほどおいしくなると。一説には424回がベストとも言われています。果たして本当にそうなのでしょうか……?

 納豆はどれだけ混ぜれば一番おいしくなるのか――実際に人力で混ぜて検証してみました(たれは入れずに素のままで混ぜています)。

  • 0回:まずは混ぜないままで食べてみます。あまり味はしません
混ぜていない状態
  • 20回:普通はだいたいこのくらい混ぜますよね。粘りが出て納豆らしくなりましたが、味はそんなに変わらないような
20回混ぜた状態
  • 100回:粘り気が増えて口当たりがまろやかになってきました。風味が増したような気も
100回混ぜた状態
  • 200回:粘りが強くなって混ぜるのがつらくなってきました。ちょっと甘味が増して味わい深くなった感じがします
200回混ぜた状態
  • 400回:回数を数えるのが地味にキツい……豆に甘味が出て、泡にも味わいが出てきました。
400回混ぜた状態

 これ以降、混ぜても味の変化が感じられなくなり、ついに1000回……腕は限界になり、豆はかなり柔らかい状態に。

1000回混ぜた状態

 実際に混ぜてみた結果、400回を超えると豆が崩れるだけで味はそれほど変わらないという印象。この変化を目に見える形で表すために、味覚センサーで測定してみました。

これで測定しました

 測定結果を見る前にちょっと説明を。食べ物の味はすべて「甘味」「うま味」「苦味」「塩味」「酸味」の5つの組み合わせでできており、味覚センサーではそれぞれの味を測定します。この中でも納豆のおいしさを決めるポイントは「うま味」。グルタミン酸やイノシン酸ナトリウムなどで感じられる味覚……いわゆるうま味調味料に入っているもので、一番分かりやすいのは「だし」の味です。かき混ぜた納豆にうま味成分がどれくらい含まれるのかを測りました。

 グラフで見れば分かるように、400回以上はうま味の増加は見られません。やはり一番おいしくなるのは400回ということでファイナルアンサーのようです。ただし、「95%の人が味の違いを認識できる」レベルの差が出るのは200回まで。そこから先は味覚の鋭い人なら分かるくらいの違いとなっています。ほどほどで……という方は、200回で手を打つのもいいかもしれません。

 ちなみに400回というと、大体2分を目安に一生懸命かき混ぜるとそのくらいです。「2分か〜。なかなか手が疲れるな〜」と思ったそこのあなた、魯山人先生はこうも言っています。「不精をしないで、また手間を惜しまず、極力ねりかえすべきである」(「魯山人味道」より)

 混ぜて混ぜておいしくなった納豆を召し上がってくださいね。

おまけ:納豆道を追求する皆さまのために

 「納豆は少し時間を置いた方がおいしくなるってほんと?」「タレを入れてから混ぜるのがいいの? 混ぜてから入れるといいの?」という疑問にもお答えしておきましょう。

 混ぜた後でタレを入れるほうがうま味が多いという結果です(95%の人が違いを認識できる有意な差がついています)。後入れの方がタレのうま味が強く感じられるわけですね。混ぜてから放置することにはあまり意味がないようです。

 最も納豆をおいしく食べるには、400回混ぜてからタレを入れ、すぐに食べること。納豆道を追求する方は実践してみてください。

筆者「味博士」紹介

鈴木 隆一:AISSY株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学共同研究員(兼務)。慶應義塾大学理工学部卒業、同大大学院理工学研究科修士課程修了。大学在学中よりシステム開発の受託などを行いながらSFC研究所研究員も兼務。大学院修了後、慶応義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。

味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。

最新著書として、『日本人の味覚は世界一』(廣済堂新書)、他にも『味博士のぜったい太らない食べ方』(日本文芸社)『「味覚力」を鍛えれば病気にならない』(講談社)がある。


本稿は「味博士の研究所」を加筆・修正をして掲載しています。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」