まるでパシフィック・リム? 「人の動きをトレースして操縦するロボット」でロボ操縦の夢が広がる

「エルボーロケットォォォォォ〜〜〜!!!」と叫びたい。

» 2014年06月14日 16時19分 公開
[戸津弘貴,ねとらぼ]

 毎年大勢の人が訪れる「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」。今年もさまざまな最先端研究の見学・紹介や、実験・実習に参加できるワークショップなどが行われた。

 その中で目を引いたのが、生産技術研究所の「人の行動を模倣するロボット」。お絵描きロボットから始まった研究は、踊りを踊ったり、ひもを結ぶロボットなどを経て、現在は「人の動作を捉えてそれをなぞった動きをするロボット」が開発中だ。


画像 左がそのロボット。右の人が体を動かすとその通りに動く

 そもそもの研究テーマは、人間が無意識に行っている行動を分解して機械(ロボット)の動作に反映させるというもので、開発初号機の「対象物を映像で捉えて、絵を描く」というロボットは、視覚情報を解析し、輪郭を描くプロセスを再現する(その際に、絵筆の動かしやすさを考慮して、上から下まで線を描いたら筆を上げて、残りの線を再び上から下へと描いてゆくという人間が絵を描くのと同じ動作を行う)というものだった。続いて開発された「踊りを踊るロボット」は、人間と異なる関節、機構を持っているロボットが自然に踊れているように見えるにはどうしたら良いか、と言うことを研究し、要所要所の決めポイントでポーズをとるようにし、途中の動作を機械が再現できるように省いて(成立するように調整して)しまう事でそれを実現した。


画像画像 開発初号期の「対象物を映像で捉えて、絵を描くロボット」

画像画像 続いて開発された「踊りを踊るロボット」

 それらの研究を踏まえ、今回展示されたのが、「人間がとった動作をトレースしてロボットの動きに反映させる」というもの。操縦者の動作をロボットに反映させると言うと、Gガンダムの操縦系統や、最近ではパシフィック・リムの操縦方法などが思い浮かぶが、まさにそれに近いことが実現されていたのだ。

 操縦者の動作を「Kinect2」で捉え、動作を解析。それを無線LANでロボットに転送しサーボモーターを動かして動作を再現するという仕組み。



 人間の動きを完全に再現(トレース)しようとすると、人間とロボットの関節やフレーム(手足の部分)の長さ、大きさの差異や、可動域の違い、操縦者が変わったときの身長差や個人差などをそれぞれ調整しなくてはならないため、非常に手間がかかってしまう。そのためこの研究では、人間の動きを解析したのち「ロボットがその動きの結果を得るためにどのように各部位を動かせば良いか」という命令に変換、実際に動作を行うという処理が短時間の間に行われている。決まりきった(プログラムされた)動きを再現するだけならもっと早い反応速度が得られるが、不特定な動きを捉えてそれをその都度ロボットに反映させるために、現時点ではわずかなタイムラグが生じてしまっているという。

 これらのロボットの応用、活用想定としては、例えば災害現場などで人が入れない場所に作業車両などを入れて作業したいという場合に、このロボットを操縦席に乗せて遠隔操作する――といったケースが考えられるという。専用のラジコンや救助ロボットなどをゼロから開発しなくても、これなら既存の作業車両に人間型ロボットを乗せるだけで遠隔操作ができるようになるため、急なニーズにも素早く対応できるようになるという。

 今回の展示では遠隔操作を想定していたようだが、漢と書いてオトコと読む我々としては、ロボに乗り込んで「エルボーロケットォォォォォ〜〜〜!!!」と叫びたい。


画像 災害現場などでの応用例

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」