「マーニー」米林監督「カオナシのモデル説」を否定 “禁断の初共演”で明かされた「千と千尋」の謎
「ジブリの立体建造物展」10万人突破セレモニーが開催され、トトロとカオナシの着ぐるみが登場!
7月10日から12月14日まで江戸東京たてもの園(東京都小金井市)で開催中の展覧会「ジブリの立体建造物展」が、9月11日をもって来場者数10万人を突破した。会場で開かれた記念セレモニーでは、「思い出のマーニー」などを手がけた米林宏昌監督が、トトロとカオナシの着ぐるみと一緒に登壇。限定200人に向けてサイン会も行った。
「ジブリの立体建造物展」は、スタジオジブリ作品の立体建造物に焦点を当てた展覧会。「風の谷のナウシカ」から「思い出のマーニー」までスタジオジブリ作品に登場する建造物の制作資料を展示している。「千と千尋の神隠し」に登場する油屋を再現した約3メートルの模型や、各背景画・設定画、建築史家・藤森照信さんによる細部にこだわった建物の解説など、ジブリ作品の新たな魅力を見つける視点が注目を集めた(リポート記事)。
記念セレモニーで展示について米林監督は、「ラピュタやナウシカなど古い作品は何度も何度もぼくらの世代は観ているわけです。その背景画が展示されている。さらには建物からどういう世界観ができているか細かく解説されていて、こういう世界観を作る宮崎さんってどういう頭の構造しているんだろうってあらためて思いましたね」と、宮崎駿監督の舞台設計の力量にうなる。
また同展ではジブリ作品の美術ボードが数々と展示されている。米林監督は「思い出のマーニー」にて実写映画で有名な美術監督・種田陽平さんを起用したことから、アニメだからこそできる美術や世界観の作り方についてコメント。
「実写に比べアニメは絵で描く分自由度が大きく、実際のものよりイメージをふくらませることが多いです。『千と千尋の神隠し』の湯屋は展覧会の会場『江戸たてもの園』の銭湯もモデルにしているんですけど、そうした実際にあるものを3倍くらいの大きさでつくると、今までと違う世界観ができあがります」(米林監督)
さらには舞台設定を作る際に、“高低差”をつけることで観客に“移動する感覚”を味わってもらうよう意識しているという。
「会場にある『アルプスの少女ハイジ』のジオラマでも、山の上には小屋があって下って行くと町があるなど高低差がある。こうした上と下の構造みたいのを作品の中に取り入れると、主人公が移動したようにすごく感じるんです。『思い出のマーニー』でも杏奈が泊まる大岩さんの家とマーニーの湿っ地屋敷に高低差を作って、坂道を登ったり降りたり。杏奈といった主人公の移動する感覚を、お客さんも一緒に抱えながら観ることができます」(米林監督)
立体建造物展ではこうした建物同士の関わり合いに注目しても、新たな発見がありそうだ。
今回カオナシの着ぐるみが登場したことで、「カオナシのモデルになった」とうわさされる米林監督とカオナシの2ショットも実現。司会者いわく「禁断の初共演」だそう。
米林監督はこのうわさについて、「実際はモデルじゃないんです。湯屋の外にカオナシが立っているシーンの作画をぼくが担当していたところ、それを見た宮崎さんが『麻呂(米林監督の愛称)にそっくりじゃないか』って。それをプロデューサーの鈴木さんがあちこちで宣伝しているんです」と笑って訂正。「モデルというよりはカオナシにぼくが似ていただけなんですよね」
記念すべき10万人目の来場者となったのは東京都から来た学生2人、竹内美晴さん(19)と佐々木春希さん(18)。「雨で遅れている友達を待っていたら10万人目になりました」と驚きながらも笑顔を見せる。
展示でよかったところについては、「マーニーの湿っ地屋敷の絵がすごくきれい。油屋の模型も天井につくくらい大きくておもしろかったです」(佐々木さん)、「私もマーニーで、特にサイロなど描き込みがあって素晴らしく、ほかにも魔女の宅急便のグーチョキパン屋の模型もかわいくて実際に見れるのがうれしかったです」(竹内さん)と、ジブリ作品の建造物をより堪能したようだ。
この日は平日にもかかわらずほかにも多くのお客さんが来場。「サツキとメイの家のミニチュアでは、庭から芽が生えたり天井にまっくろくろすけがいたりと『となりのトトロ』のシーンを思い起こすものがあって、また観返したくなりました」(19歳、女性)、「油屋の模型の後ろ側には、作中で千尋が走るパイプもちゃんと再現されてあって、手の細かさにびっくり」(20歳、女性)など、いろんな人がそれぞれの視点で展示を楽しんでいた。
スタートから2カ月で来場者10万人という数は、2002年に同園で開催された「千と千尋の神隠し展」のペースを上回る。8月の動員数においては開園以来の最高動員記録を更新するというにぎわいぶりだ。開催は12月14日までと会期はまだ2カ月以上もあるので、まだ見ていない人もすでに来場した人も、建物という細部からジブリ作品の魅力をさらに発掘してみよう。
なお、記念セレモニーに登場したトトロの着ぐるみは、9月15日まで江戸東京博物館(東京都墨田区)で開催されている「思い出のマーニー×種田陽平展」にも12日から登場し、一日中会場をうろうろするそう。「『思い出のマーニー』の湿っ地屋敷やサイロにほんとに入り込んでいるよう」と米林監督も太鼓判を押す、種田陽平さんが手がけた美術セットと一緒に楽しんでみては。
(黒木貴啓)
関連記事
- 「ジブリに帰れるのかな」――宮崎吾朗監督が明かす“武者修行” 「山賊の娘ローニャ」で3DCGにも手応え
メディア向け試写には立ち見も出るほどの注目度。一度映画化を試みるも挫折した「山賊の娘ローニャ」に託すメッセージとは。 - メイとサツキの家は「無意識」と「意識」の融合 となりのトトロがより楽しめる建築史観
「ジブリの立体建造物展」で解説をつとめた建築史家・藤森照信さんが、「メイとサツキの家」の構造の面白さについて語った。 - 「ジブリの立体建造物展」スタート 建造物の正確さが生むジブリのファンタジーとは
「ナウシカ」から「マーニー」までジブリ作品の建物に焦点を当てた展覧会が開幕。約3メートルの「油屋」の模型など、展示内容を紹介。 - ジブリ初のダブルヒロインに会いたい 「思い出のマーニー」の世界をセットで再現する種田陽平展
「マーニー」が、あなたを待っている。 - 「ジブリの教科書」の第7弾「紅の豚」発売 宮崎監督にとって“自分への現在形の手紙”
加藤登紀子×宮崎駿対談などさまざまな解説を収録。「風立ちぬ」のあの人物と縁のある人から特別寄稿も! - 陶器ロボットのクオリティが高すぎ! ジブリ作品に出てきそう
今にも動き出しそう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
-
元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
-
ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
-
「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
-
“作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」