焼き上がり時間に合わせてお客が来店 6キロの塊肉をみんなでシェアするステーキ店「煉瓦」が感動的なおいしさだった

約6キログラムの塊肉を約6時間かけて仕上げ、同時刻に来店したみんなでシェアして楽しむ。そんな新システムが話題のステーキ店へ行き、実際に塊肉を体験してみた。

» 2014年09月16日 16時35分 公開
[寺西ジャジューカ,ねとらぼ]

 あらかじめ焼き上がり時刻が設定されており、その時間を目安にみんなが集合、最高においしい状態のお肉をいただく……というシステムのステーキ店をご存知でしょうか? 今年6月17日にオープンした「炉窯(ろがま)ステーキ煉瓦(れんが)」が、ひそかな話題になっています。しかも同店が焼き上げるお肉、サイズが半端じゃない。およそ6キログラムの塊肉を2時間以上かけて焼き上げるという!

「常温に戻すのに3〜4時間、焼くのに2時間以上かけます」(同店ゼネラル・マネージャー・佐々木さん)


画像 仕上がりに6時間ほどかかる“塊肉”。約6キログラム!

 もちろんこのボリュームのお肉を、1人で食べるわけじゃない。食べきれない。その日のお客さんが塊肉を“シェア”し、みんなで共有して楽しむという考え方です。

「『おいしいお肉を仕入れる』はレストランとして当たり前で、それより『おいしいお肉の焼き方を追求する』に魅力を感じ、このシステムにたどり着きました」(佐々木さん)

 実は小さい形で焼くよりも、大きい塊で焼く方が、お肉はおいしくなるのだそう。大きい形で焼くということは、単純に時間がかかる。ということは、オーダーされてからじゃ間に合わない。ならば焼く時間をお店で決めてしまおう! ……という発想です。

 ちなみにこの巨大なお肉、「炉窯」で焼き上げられるという。


画像 特注の炉窯

 創業100年近く経つ老舗煉瓦屋との共同製作で作られた、特注品なんです。



“定刻”を目安に、入店!

 お肉の焼き上がりに設定された“定刻”は午後7時40分(金曜のみ午後8時40分)。午後6時入店で予約を取れば「アミューズ→前菜→温菜→“本日のお肉”→デザート→コーヒーorお茶」というコース順になるし、午後7時30分入店ならば「アミューズ→“本日のお肉” →前菜→温菜→デザート→コーヒーorお茶」という順番となります。

 何にせよ“本日のお肉”が軸になっており、そこはブレない。

 私、このお店に行ってきました。午後6時入店で、がっつりとコース(1人税別6800円)を楽しんでみたいと思います!

 さて、本日のメニューは以下です。

  • ニンジンのムース
  • カプレーゼ
  • 豚モモ肉のロースト
  • 北海道産 和牛のイチボ 炉窯焼き

 「イチボ」とは、お尻の方のお肉を指すのだそう。いやぁ、楽しみだ……!

 というわけでお店に入ると、まだ予約客は私1人のもよう。


画像 塊肉の焼き上がり時刻を目安に、最大18人がこのお店へやって来る

 今日は定員MAX18人の予約が入っているらしく、後に私を除いた計17人のお客さんが時間差で来店する流れです。

「もちろん満員にならない日もありますが、2名様でも予約をいただければ塊肉は焼きます。お店のコンセプトは貫きたいと考えています」(佐々木さん)



いよいよコースがスタート

 さて席に着くと、まず質問されるは“苦手な食べ物”と“アレルギーのある食べ物”。これを各お客さんに聞いて回り、それを避けたメニューをその人向けに作ってくれるようです。いや、でも、僕、嫌いな食べ物ないんです……!

 というわけで、まずは「ニンジンのムース」が出てきました。


画像 色味が良い

 小っちゃく乗ってるのはニンジンのピューレ。これをスプーンでつまんで食べるとすこぶる爽やか。


画像 ニンジン、爽やかでした!

 ニンジンに含まれる塩味が効いていながら、非常にフレッシュ! 色味も良いし、オープニングとして最高です。期待値、グングン上がってます。

 続いて登場は、前菜の「カプレーゼ」。


画像 モッツァレラチーズが2層になっているそう

 生クリーム入りのモッツァレラチーズを、薄いモッツァレラチーズでくるんだ1品。要するに、モッツァレラチーズが2層になってます。

 これにナイフを入れるとトロ〜リ裂けていき、口に入れると舌先より先に喉に響いてく。グラタンの一番おいしい部分ってあるじゃないですか? あの旨味が凝縮されてるとお考えいただきたい。


画像 トロ〜リ裂けていく

 トマトに乗っけて食べるとトマトの甘味とチーズの塩味が絡んでめっちゃ上品!


画像 付け合わせのトマトに乗っけてみた

 さぁ、時間はそろそろ午後7時を回った頃ですが、このタイミングで入店するお客さんも数多い。ようやく、全ての席が埋まったようです。横の席には今から前菜をいただくお客さんがいますが、私は今から温菜です。

 ……出てきましたよ、「豚モモ肉のロースト」が!


画像 いよいよ、お肉が出てきました

 付け合せはショウガで、豚モモ肉にはサツマイモのソースがかかっています。なるほど、秋仕様だな?

 じゃあ、いただきます。……ウマッ! 文句なし。豚肉特有のおいしさってありますよね。それがトコトン洗練されてました。お肉そのものが、すっごいおいしいんです。

 それでいて、サツマイモのソースも最高。ケーキのモンブランに味は似てるかな? 超おいしいモンブランが持つ、優しくて奥行きがある甘みというか。これが豚モモ肉と絡むと、最高のケミストリーが生まれます。これ、絶対一気に食べたくない。もったいぶって少しずつ味わいたいプレミア感があります。



見たこともない大きさの塊肉、ついに登場!

 さて。そろそろ、時間がやってまいりました……。何がって、“本日のお肉”の時間がですよ! 各席で塊肉がお披露目されます。


画像 こんにちは!

画像 どうですか、お客さん!!

画像 背も高い!!!

 スゲェ、迫力……。本当に部位そのまま、ドカンと丸ごとじゃないですかっ!

「筋肉そのまま、丸ごと切り取っています。筋繊維に余計な傷がない分、中に肉汁がギュッと閉じこもり、おいしいところが一切逃げずに焼けるんです」(店員さん)

 焼く時も炉窯に入れっぱなしではなく、出したり、入れたり、休ましたり、を繰り返しているとのこと。炉窯に入れっぱなしだと、水分が抜けてしまう。もちろん出しっぱなしが良くないのは、言わずもがな。

「余熱を上手く利用することで、中が柔らかくなります。ゆっくり中に火を通し、外側はカリッとあぶって、という感じです」(店員さん)

 このお披露目から待つこと数分。切り分けられた「北海道産 和牛のイチボ 炉釜焼き」が、ついにやって来ましたよ!!!


画像 会いたかった!

 あの焼きあがったばかりの塊肉を、今、18人みんなでシェアしてます! しかも私、今回、サマートリュフ(500円)をステーキに乗せてもらいました。


画像 このサマートリュフが、あのステーキに乗った

 高級感あるし、プレミア感あるし、みんなでシェアする仲間感あるし、なんてスペシャルな空間なの!

 では、いただきます! ……その前に、店員さんからワンポイントアドバイスがありました。

「ぜひ1口目、少し大きめに食べていただきたいんです。無理しない程度に大きめに頬張っていただくと、ジューシーさがより分かりますので」

 あ、マジですか。じゃあ、大きめに切り取って。……っていうか、この断面の美しさは何!? もはや美術品の域。焼き方が良いからでしょう、きっと。


画像 もはや美術品の域

画像 MoMAに展示すべきだ

 ナイフを入れた時点で“ムニュ〜ッ”と、不思議な触感で切れていくし。正直、生まれて初めての感覚。

 じゃあ大きめに切ったステーキ、いただきます。……! もう、言葉がないね。明らかに、お肉の一番おいしい状態。そして、最高の部位。そして、超脂乗ってる。脂身、最高! 脂身、こんなにおいしかったんですか? 知らなかったです。

 そして、付け合せには「塩」と「コショウ」が。特に、このお塩がスペシャルだそうです。


画像 “マルドンの塩”、付けました。「粒が粗い」が特徴です

「イギリスのマルドン村で作られたお塩で、ミネラル感があり粒が粗いのが特徴です。指でつまんで潰していただいてかけてください」(店員さん)

 グルメの間では非常に有名な、“マルドンの塩”。サラダ油など全てイタリア製を使っている同店なのに、塩だけはイギリスの“マルドンの塩”を採用しているそうです。これをかけて食べると……。何度も言うけど、言葉がない。極上のステーキなのに、さらにもう1ステージ上がった感がある。今までの人生で一番おいしいステーキだと、私は断言します。

 あと、食べてるだけで焼き方が良いのも分かります。外側のよく焼かれた箇所の“煙の風味”も最高。非常に香ばしいです。肉汁もいい感じにこもっているし。

 ……と感動していたら、さらなるうれしき報告が。

「余ったお肉があるので“おかわり”が出せるんですけど、いかがですか?」(店員さん)

 おい、本当かよっ。いや、ぜひいただきたいです!


画像 おかわり、キターー!

 この“おかわりサプライズ”、実はたまにあるらしいですよ。もしこのうれしき日に当たったならば、あなたはラッキーマン!



ステーキ後もコースは続く(もはやウイニングラン状態)

 さあ、まだ終わりません。デザートの「マロン・グラッセの入ったクレームブリュレ」が運ばれてきました。


画像 栗と桃のカップリング

 器に入っているのが「マロン・グラッセの入ったクレームブリュレ」で、横に添えられているのは「黄金桃」。

「柿みたいに見えますけど、黄桃と角桃を掛けあわせて作られたものです。上に少し紅茶のシャーベットがかかっています」(店員さん)

 それにしてもこのブリュレ、凝縮されたマロンの甘味がめっちゃおいしいなぁ。ステーキの怒濤(どとう)の勢いをソフトな風味で上書きし、後味をマイルドなものに。しかしそれでいて、味は濃厚なんです。

 そして最後はコーヒーをいただき、コースはほっこりと終了。


画像 ごちそうさまでした

 最初から最後まで、完璧なコースでした。しかし、それにしても「塊肉をシェアする」という発想がいいよねぇ。

「パフォーマンス自体にこだわっていると思われがちですが、ウチが一番気にしているのは“焼き方”なんです。お肉が持っているおいしさを最大限に引き出し、皆さんに味わっていただきたいと思っています」(同店シェフ・横山さん)

 “うるさがた”のお客さんも満足させつつ、実は気軽に体験していただきたいお店でした。

 ちなみにコースが終了した午後8時30分以降は、通常営業がスタート。席が空き次第、予約なしで普通にお店に入ることが可能だそうです。


寺西ジャジューカ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/17/news022.jpg 【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
  2. /nl/articles/2403/18/news022.jpg 1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
  3. /nl/articles/2403/17/news063.jpg 「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
  4. /nl/articles/2403/17/news047.jpg 北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
  5. /nl/articles/2403/18/news042.jpg 生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
  6. /nl/articles/2403/15/news126.jpg 「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
  7. /nl/articles/2312/29/news019.jpg 「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
  8. /nl/articles/2403/18/news025.jpg “おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
  9. /nl/articles/2403/18/news056.jpg 大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
  10. /nl/articles/2403/18/news064.jpg 赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  2. 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
  3. 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
  4. 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
  5. 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
  6. 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
  7. 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
  8. 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
  9. 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
  10. 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」