日本のユーザーはゲーム実況に消極的? KADOKAWA浜村氏が語る「ゲーム実況」の現状と課題TGS2014

今やニコニコの中心的コンテンツとも言える「ゲーム実況」。しかし浜村氏は「海外に比べると全然」だと言う。海外と日本のゲーム実況シーンの違いとは?

» 2014年09月19日 19時28分 公開
[池谷勇人,ねとらぼ]

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 今年の東京ゲームショウの特徴として、メーカーが普通に「ゲーム実況者をイベントに起用するようになった」点が挙げられる。例えばDMMはM.S.S Projectとチーム湯豆腐。バンダイナムコゲームスはレトルト、キヨ、百花繚乱。エレクトロニック・アーツはえどふみ……といった具合。ゲームショウに「ゲーム実況者」が堂々と出てくるなど、少し前までは考えられなかった。

 そんな「ゲーム実況」の未来について考えるトークセッションが、TGS2日目(9月19日)のドワンゴブースで行われた。ゲーム実況の現状やネタバレの是非、ゲーム実況はビジネスになるかなどテーマは多岐にわたったが、中でも面白かったのが「日本と海外の違い」。登壇者の1人、KADOKAWA常務取締役・浜村弘一氏によると、実は海外に比べると、日本ではゲーム実況は「全然されていない」のだそう。


画像 司会進行はGTV社長で作家の渡辺浩弐氏。登壇者には、KADOKAWA浜村氏のほか、“マックスむらい”の名付け親として知られる宮下泰明氏(AppBank)、“実況”プロモーションで「テラリア」を大ヒットさせた内田拓郎氏(スパイクチュンソフト)、数多くの公式ゲーム実況番組をディレクションしてきたひげおやじ氏(未来検索ブラジル)と、そうそうたるメンバーがそろった

画像 今年のメーカーブースで起用されたゲーム実況者一覧(一部?)

 浜村氏は今の欧米での実況人気について「ものすごい」という。「プレイステーション 4(PS4)がこの間1000万台を超えて、Xbox Oneもその4分の3くらい売れてるけど、人気のかなり大きな部分を実況が支えてるんじゃないか」と浜村氏。「彼らにとっては(ゲーム実況が)まったく新しいエンターテインメントだった。ドイツって今までカラオケ文化がなくて、それがPSでカラオケのサービスをはじめたらものすごく広がった。それに近いことが今、動画共有で起きてる」


画像 欧米におけるPS4、Xbox Oneの販売グラフ。どちらも販売ペースでは前世代機を上回っている

 一方で、日本は早くからニコニコ動画などで「実況」文化はあったものの、一般ユーザーの「実況」率は海外に比べて低いという。根拠の1つとして浜村氏が示したのが、PS4購入者のユーザーアンケート。PS4購入者のうち「シェア機能」に期待していると答えた人は「グラフィック」に比べるとわずか3分の1程度にとどまった。また実際に実況配信をしたことがある人も全体の3割程度と、実はあまり利用されていないことが分かった。


画像 こちらは日本におけるPS4の販売推移。実はPlayStation Vitaと同じくらいの販売ペースで、海外ほど盛り上がっている感はない。日本人向けタイトルの少なさや、まだ年末商戦を迎えていないことなど他にも要因は考えられるが、「シェア機能」があまり使われていないのも伸び悩みの一因?

画像 「PS4の注目機能」アンケート。「グラフィック」がもっとも多く、「シェア機能」への期待はイマイチ

画像 「シェア機能」の利用調査。実際に「実況」をしたことがある人は全体の3割ほど

 ではなぜ日本のユーザーはシェア機能を使わないのか? 理由の1つとして、浜村氏は日本のメーカーの「規制の多さ」を挙げる。「海外はゲーム実況についてほとんどフリー。でも日本は“ここはシェアしちゃダメ”とかすぐにフラグを立てちゃう。ストーリーは見せたくないから、メインストーリーはシェア禁止にして、結局ミニゲームしかシェアできないとか」。一方で、欧米はどうかというと、「向こうはMinecraft動画の盛り上がりとかを生で見てるから、(動画を)出さなきゃ負けるみたいな流れがあった。このあたりの理解が進めばPS4は(日本でも)もっと伸びるのでは」と浜村氏は分析する。


画像 元・ファミ通編集長で現・KADOKAWA常務取締役の浜村氏。ゲーム業界のご意見番として知られる

 また浜村氏の予想で面白かったのが、「おそらくここ1〜2年でホラーゲームがいっぱい出てくる」というもの。「ホラーゲームは実況に向いてる。ビックリした顔をいっぱい流すことで多くのユーザーに遊んでもらう、っていう流れがきっと流行る」

 その一例が、先日KONAMIの小島秀夫監督がリリースした「P.T.」だという。「小島さんの『P.T.』はまさに実況ありきのゲームだった。みんなが実況するっていう前提でゲームを作ってある。今は(ゲーム実況をどう扱うかの)転換期だけど、小島監督があれをやったってのは大きい。今後そういう(実況されることを見越した)ゲームの作り方は増えていくはず」

 もちろんゲーム実況がゲームにとってプラスになる場合もあれば、逆にマイナスになる場合もある。浜村氏はこれからのメーカーとゲーム実況の関係についてこう語った。「任天堂はすでにYouTubeでの動画投稿を認めてる。今は様子を見ているメーカーが多いけど、これからはみんながどうするか答えを持つようになる」

 ゲーム実況に対する風向きは、少しずつではあるが変わりつつあるようだ。


画像 ドワンゴブースの一角に設けられた「ゲーム実況体験」コーナー。有名実況プレイヤーもときどき登場

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