きっかけは「メルトの舞」――ボカロ×文楽「ボーカロイドオペラ葵上」制作陣が語る舞台裏DCEXPO

伝統芸能と最新技術が融合した「ボーカロイドオペラ葵上 with 文楽人形」の制作陣によるトークショーが行われた。

» 2014年10月27日 15時46分 公開
[松岡洋,ねとらぼ]

 日本科学未来館(東京都江東区)で開催されたDIGITAL CONTENT EXPO(10月23〜26日)において、「ボーカロイドオペラ葵上 with 文楽人形」の上映と制作陣によるトークショーが開催された。

 ボーカロイドオペラ葵上はボーカロイドの楽曲にあわせて文楽人形が演じて舞う、伝統芸能と最新技術が融合した映像作品。7月にイギリス・ロンドンの日本文化紹介イベント「ハイパージャパン」でプレミア上映された。トークショーでは、プレミア上映前に解説を行った三原龍太郎氏(オックスフォード大学大学院)が、文楽とボーカロイドの関わりや葵上の簡単な解説を行った。


世界ボーカロイド大会で上演された「メルトの舞」
ボカロと文楽の文化的な共通点「人間を真似るだけでなく、人間を超えた美や芸術表現を目指す」「命なきものに命を吹き込もうとする狂おしいまでの技術的研鑽(さん)」

 ボーカロイドオペラは、源氏物語の「葵」を元にした能の「葵上」(2次創作)をさらに現代劇に翻案した3次創作となっている。光源氏がボカロP、葵がボカロPによって見出された歌手アオイ、六条御息所がかつてボカロPが使用していたボーカロイドのミドリ、という設定だ。

 新作アルバムレコーディングの日にアオイが失踪し、発見された病院にアオイのマネージャーが駆けつける。失踪の鍵となっていたのは、かつてボカロPが作曲したミドリの歌だった――というストーリー。

 上映後のトークショーでは、作詞作曲の田廻弘志氏、プロデューサーの田廻明子氏、映像ディレクターの加納真氏、映像撮影の田巻源太氏が登壇し、ボーカロイドオペラ制作の舞台裏を紹介した。

田廻弘志氏(左) 田廻明子氏(右)
加納真氏(左) 田巻源太氏(右)

 当初、田廻弘志氏は能「葵上」を翻案して曲を作ったものの、映像制作の予定はなかった。しかし昨年開催された世界ボーカロイド大会で、人形浄瑠璃の人形遣い・吉田幸助氏らが文楽人形でボカロ曲を舞った「メルトの舞」を体験したことから、文楽人形での映像制作を思い立ち、ボーカロイドオペラ制作チームを結成した。

 文楽人形の動きは独特に誇張されており、たとえば歌舞伎の見得や六方などはもともと文楽人形の動きが取り入れられたもの。その上でボーカロイドオペラを文楽人形で表現するのは人形遣いの吉田氏にとっても前代未聞の挑戦。このため、舞台上での人形の動きを模式化した動画を田廻弘志氏が作成し、さらに撮影現場でもそのつど曲の解釈を行ったという。

 文楽人形の衣装や髪型はプロデューサーの田廻明子氏によると、現代劇でありながら元となった源氏物語の時代を表現したとのことだ。

AHSの尾形友秀社長

 歌声ライブラリー「猫村いろは」「結月ゆかり」で協力したAHSの尾形友秀社長も会場に駆けつけた。2020年の東京オリンピックに、日本の伝統文化の文楽と現代文化のボーカロイドの2つで開会式などを飾ることができたら、と抱負を語った。


「ボーカロイドオペラ葵上 with 文楽人形」の今後の上映予定

  • 11月29日 静岡県掛川市 大日本報徳社大講堂
  • 11月22日〜12月5日 愛知県名古屋市 シネマスコーレ

※ボーカロイドはYAMAHAの登録商標です。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  6. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  7. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/21/news005.jpg 藤本美貴、晩ご飯に手料理7品 多忙でも野菜とお肉たっぷりで反響 「お疲れ様です」「凄く親近感」【2024年の弁当・料理まとめ】
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」