ニチアサに「ウテナを思い出す……」の声 悪いオタクが「Go!プリンセスプリキュア」を見て「少女革命ウテナ」を連想してしまう理由:悪いオタクですみません
四隅でまわるアレと影絵。「ゴープリ」は「ウテナ」なのか?
プリキュアの新シリーズ「Go!プリンセスプリキュア」(以下、「ゴープリ」)。通算12作目、10代目のプリキュアです。テーマは「プリンセス」、キャッチコピーは「つよく、やさしく、うつくしく!」となっています。
この作品に対して、Twitterを中心に、「『少女革命ウテナ』を思い出す!」という声が上がっています。「ウテナ」は1997年に放送されたアニメ。「ゴープリ」のどこに「ウテナ」を感じているのでしょうか。
「王子様」に出会って夢を決心する主人公
「ゴープリ」の主人公は中学校1年生の女の子・春野はるか。彼女の夢は「プリンセスになる」こと。もともと「おとぎ話に出てくるプリンセスになりたい」というあこがれを持った女の子でしたが、謎の青年・カナタとの出会いから、その思いを中学生まで持ち続けることができました。ちなみにカナタは実はホープキングダムの王子様。
「ウテナ」の主人公・天上ウテナは中学2年生の14歳女子。幼いころ「王子様」と出会い救われたことで、「王子様になる」という夢を持つようになり、学園に男子の制服で通っています。
幼いころの「王子様」との出会い、そして強く持った夢。王子様が「ゴープリ」でも「ウテナ」でも褐色の青年であるという共通点もあります。
大人が先生しかいない! 学園の寮生活
「ゴープリ」の舞台は全寮制の学校・ノーブル学園。「プリキュア」シリーズで全寮制の学園が舞台になるのは初めて! 学園の設定は女児が「こんな学園に通ってみたい!」と思うようなワクワクするものになっています。友達との相部屋生活って楽しそう。
ウテナたちが通う鳳学園は全寮制ではないものの、主人公のウテナは寮生活をしています。薔薇の花嫁・姫宮アンシーと相部屋で共同生活を送ります。
もちろん、寮が出てくるアニメは「ゴープリ」「ウテナ」だけではありません。「寮」「学園」というどこか非日常的な空間で描かれる、キラキラした少年少女の日常と戦いは、どの世代のハートもくすぐるということなのでしょう。
四隅でまわるアレと影絵。こだわりの演出
今回「ゴープリ」のシリーズディレクター(監督)を務めるのは、今回が初監督の田中裕太さん。シリーズ構成の田中仁さんも、脚本では「プリキュア」シリーズに何度も参加していますが、シリーズ構成を担当するのは初めてです。「ゴープリ」の演出は、プリキュアの「お約束」(変身&必殺技はバンクだったり、けっしてパンチラをしなかったり、変身後に力が大きすぎてジャンプをしすぎてしまったり)を守りつつも、演出面でさまざまな遊びがされています。
その中で印象深いのが、ときおり画面の四隅でレースのような白い丸が回ること。なんとなく画面が華やかで気高い印象になります。実は「ウテナ」の画面でも、ときおり四隅に意味深に薔薇が回るんですよ。
そして多くの悪いオタクがざわっとしたのは、「ゴープリ」2話で「影絵」のようにプリキュアが描かれるカットがあったこと。「ウテナ」では「影絵少女」という影絵で動かされる寸劇が挿入されていて、多くのファンが影絵に「ウテナ」の香りを感じるようになってしまっています。
じゃあ、「ゴープリ」は「ウテナ」なのか?
このように、「ゴープリ」と「ウテナ」の共通点を挙げることはできます。なら、「ゴープリ」は「ウテナ」なのか? もちろん答えは「ノー」です。「プリキュア」シリーズは、あくまでも女児のためのアニメ。思春期の少年少女(それから大人)に直撃した「ウテナ」とは違います。
モチーフの描かれかたも異なります。「ウテナ」では「お姫様」はむしろ否定的に描かれましたが、「ゴープリ」はとびっきり肯定的に描かれます。そもそも、ディズニー版「塔の上のラプンツェル」や「アナと雪の女王」で見られるように、今は「王子様に幸せにしてもらう」お姫様像は古いものになっています。「ゴープリ」のプリンセスも、「守られる」お姫様ではなく、「みんなを守る」お姫様です。
「ごきげんよう」のあいさつから「マリア様がみてる」をなつかしむ人も、敵の攻撃の仕方から「美少女戦士セーラームーン」を連想する人もいます。結局、女児のために全力で作られた面白いアニメを見て、自分が昔大好きだった作品を思い出してしまうということなのでしょう。ううーん、悪いオタクですみません!
(青柳美帆子)
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