「境界のないセカイ」、出版社の判断で連載終了 “表現上の問題”が原因か
性的少数者への配慮で単行本の発売が中止。マンガボックスでの連載も終了する。
マンガボックスで連載中のマンガ「境界のないセカイ」が現在掲載中の15話をもって突如終了することになったと作者の幾夜大黒堂さんが自身のブログやTwitterで報告している。
DeNAが2013年12月4日から配信しているiOS・Android用マンガ雑誌アプリ「マンガボックス」で連載している作品で、講談社から単行本化も発表されていた。ブログによると、連載中止は単行本の発売中止によるもので、その理由は作中にある“表現上の問題”とのこと。
「境界のないセカイ」は“好きな相手が同性だったら?”をテーマに描く、笑いと哀しみの狭間で真実の愛を問うラブコメディー。作者が編集者経由で聞いた話として、作中の男女の性にもとづく役割を強調している部分で、「男は男らしく女は女らしくするべき」というメッセージが断定的に読み取れ、「これに対して起こるかもしれない性的マイノリティの個人・団体からのクレームを回避したい」とのことで単行本化が中止となったという。
作者は今後の展開で主人公が「すこしづつ疑問を抱いていき、最終的には多様な生き方に寛容な考えを持たせていくつもり」で、問題となった描写についても「背景世界の説明の一部であり、主人公の変化を描く過程の一部」だったと、いずれは作中で否定していくつもりだったと明かしている。
単行本化の段階で、表現上の問題があると講談社側から指摘されたことで問題箇所の修正を含めて交渉したものの、マンガボックスとしても収益をあげられる見込みがなくなったため連載終了となったと説明している。「問題となると分かっているのであれば、打ち合わせの中で回避することもできた」と、出版社と編集担当、作者の3者の連携が取れていなかったと悔しさをにじませている。
問題となった描写については修正案のプロットがあり、連載の移籍ができないかを他出版社に打診中とのこと。
作者は出版社のリスク回避の立場を理解しつつも、講談社の判断は「守りに入りすぎている」とも。昨今の性的マイノリティにかかわる言説が過激になっていると感じており、出版社が萎縮することにも同情しており、こうした空気が今回の判断に至った一因なのではないかと作者は推測している。現在のところ講談社およびマンガボックス側からのアナウンスはない。
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