受話器を置くとテレフォンカードが返ってくる NTT技術史料館による電話のペーパークラフトが本気すぎ
同館の研究者の電話機愛によって、かなりこだわりをもって製作されたそうな。
学習雑誌の付録など、子ども向けのおまけとしてよく配布されているペーパークラフト。NTTグループの文化施設「NTT技術史料館」(東京都武蔵野市)でも来館者に電話のペーパークラフトを配っているのですが、製作時間の目安が「大人でも50分はかかる」などクオリティが“本気すぎる”とTwitterで注目を集めていました。
話題のペーパークラフトは、1980・1990年代に緑色の公衆電話としてよく見かけた「カード式公衆電話」を作ろうというもの。完成写真からして外形をなかなかリアルに再現できるようですが、特に本格的なのは中の構造です。付属のテレフォンカードを挿入口に差し込み、受話器を置くと、そのカードが別の返却口から自動的に戻ってくるカラクリになっています。あの懐かしのテレフォンカード機能が体験できるのはすごいけど、そりゃ大人でも手こずるよ!
電話のペーパークラフトは同館が2009年から発行しているシリーズもの。年に1回デザインを更新しており、先の「カード式公衆電話」が第6弾目でした。過去のもなかなか難しそうで、第2弾「大型赤公衆電話機」(製作目安約45分)は硬貨投入口を利用した貯金箱になっていたり、第4弾「デルビル磁石式壁掛電話機」(約50分)はハンドルがちゃんと手回しできるようになっていたりと本格的です。
NTT技術史料館のこの本気ぶりは一体どこから……? 同館はNTTグループの電気通信技術の歴史を紹介する施設で、もともとはグループ社員の紹介でしか入館できない施設でした。2010年度から本格的に一般公開を開始するのですが、そこで老若男女、特に子どもに愛される記念品を提供しようということでオリジナルペーパークラフトを作り始めます。
それでも電話に深く携わる施設として、クオリティにこだわらずにはいられませんでした。担当者いわく「あまり難しくては子どもたちが作れないので簡単にしようと考えた時期もあったのですが、なにせ上司は研究者。その凝り性(オタク度)は尋常ではなく、製作会社に何度もダメ出しをする始末でした」とのこと。例えば第3弾「丹頂形公衆電話ボックス」では、赤い屋根の丸みを帯びたカーブが製作会社の提示した型では納得できず、会議中に上司が自らハサミで紙を切り取り「この型でやってくれ」と指示したそうです。もう、オタクっていっつもこうなんだから。
このように研究者の電話機愛によってハイレベルと化したペーパークラフトたち。老若男女向けでスタートしたはずが、今となっては史料館フリーク受けする企画になっていると言います。手に入れるには一般公開日に同館へ行ってアンケートに回答するか、同館のイベントなどに参加する必要あり。現在配布している第6弾も1年後には更新されているかもしれないので、同館の情熱にそそられた人は早い内に入手してみましょう。第10弾あたりにはタッチパネル操作できるスマホが作れたりして。
(黒木貴啓)
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