ギャルブーム時代にタイムスリップしたみたい!? ガングロ店員だらけのガングロカフェに行ってきた
絶滅したかと思われたガングロギャルはまだ存在していた!
1990年代後半に姿を現したガングロギャル。顔や体を黒く焼き、金髪や蛍光色などの髪色に、濃いメイクを施した、一般人からするとギョッとするような風貌のギャルたちだ。そんなガングロギャルたちは既に絶滅したと思っている方も多いだろう。しかし、今でも生き残りのガングロギャルが存在しており、しかもガングロギャルが接客するガングロカフェなるものが今年の1月にオープンしたそうだ。天然記念物級のガングロギャルを見に行くしかない!
ギャルの聖地、渋谷駅から徒歩10分ほど。渋谷109の前を通り過ぎ、ひたすら歩いた先の雑居ビルの一室がガングロカフェだ。
エレベーターで5階に上がると、黒い扉に「CAFE&BAR GANGURO」の張り紙が。おそるおそる扉を開けてみる。
う、うぉお。ガングロギャルのみなさんがお出迎え! 肌は黒、大きく盛られた髪の毛や服は蛍光色。目がくらくらするような配色のギャルたちだ。
普通に生活していれば関わらないであろうガングロギャルたちに囲まれ、一瞬、自分がどこにいるのかが分からなくなった。そうだった、ここはガングロカフェだ。ガングロギャルたちに案内され、席に着いて飲み物をオーダーする。
普段は3〜4で店を回しているそうだが、この日は取材のために7人ものガングロギャルが集まってくれた。実は記者はヴィジュアル系バンドが好きで、バンドマンのカラフルな色の髪の毛は見慣れているので、ギャルたちの髪の毛にはまだ耐性があった。しかし、彼女たちのネイルには驚きを隠せず、会って最初に突っ込んでしまった。ぐでたまとペコちゃんを爪の先に載せているのはえりもっこりちゃん。指を動かすたびにカチャカチャ音がする。これで殴られたら超痛そう。
漫画やアニメが大好きだというあゆたま。ちゃんは痛ネイル。「東京喰種」「神様はじめました」というアニメのキャラでネイルを飾っていた。長さは15センチはありそうで、もはや武器の域だ。
日常生活を全て放棄したようなネイルだが、どうやって生活しているのだろうか。
記者 そのネイルでカラコンはどうやってつけるの?
ガングロギャル えっ、こうやって(指の腹を押し付けるような仕草)
記者 頭はどうやって洗うの?
ガングロギャル エクステの間をぬうようにして指を入れる!
記者 ……
どうやら、主に指の腹を使って生活をしているようだが、慣れていない一般人がこのネイルで日常生活を送るのは訓練を必要としそうだ。記者もネイルをして行ったのだが、ギャルたちに比べるとはるかに地味。それに対して「お姉さんのネイル、超清潔感がある〜!」という感想が。基本的にネイルは男性ウケや年配の方ウケもあまりよろしくないし、清潔感があると言われたのも初めてだったので、ギャルたちとの感覚に違いに驚いた。
飲み物は頼んだし、ここはフードも頼んでおこう。メニューにはみそ汁やおにぎり、だんごなど、カフェらしくないメニューもある。これらは、外国人のお客さんウケを狙ったメニューとのこと。
「最近、日本の漫画やアニメ、きゃりーぱみゅぱみゅさんのようなファッションといったカワイイ文化が外国でも人気です。ガングロギャルも外国人の方からすると衝撃的でして、外国人のお客様もみえます。カワイイ文化のように、ギャル文化も外国で人気になってほしいですね」そう語ってくれたのは、ガングロカフェを運営するシエヴァの浅野毅さん。
一番の人気メニューはガングロボール(600円)。注文してみると、このみちゃんとぽみたんちゃんがカウンターに立ち、何やら準備を始めた。
このみちゃんがかき混ぜているボールの中には、生コンのようなグレーの液体が……。一体何ができあがるのだろう。
たこ焼き器にグレーの液体を注ぎ、慣れた手つきで調理を進める2人。だんだんといい匂いが漂ってきた。完成したのは、ガングロの肌の色をイメージしたイカスミ入りたこ焼きのガングロボール。具はタコではなくウィンナーとチーズだ。真っ黒いボールにケチャップとマヨネーズの赤と白が際立つ。果たしてお味はいかがだろうか。
口に入れると、ウィンナーとチーズの香ばしい香りが広がった。意外とイカスミの味がしないと思ったところ、後からうっすらとイカスミの風味がやってきた。ちょっと不気味なビジュアルだが、お酒のおつまみにもよさそうだ。
ガングロボールを食べながら、彼女たちがなぜガングロギャルになったのかを聞いてみた。漫画が大好きなあゆたまちゃんは、1998年から2002年まで「りぼん」で連載されていた藤井みほなさんの漫画「GALS!」を読んでギャルに憧れたという。このみちゃんは外国人が好きで、外国人のファッションを真似しているうちにガングロギャルにたどり着いたのだとか。頭にトラをくっつけているみゆぴょんちゃんは、地黒のコンプレックスがあったものの、ガングロに出会い、コンプレックスをファッションとして楽しむようになったそうだ。みんな、週1〜3回の頻度で日焼けサロンに通っているという。
ここで驚いたのは、どのギャルも「シミやシワができたら嫌だから」と、顔だけは焼かず、黒いファンデーションを塗っていること。きちんと、将来のお肌のことを考えているようだ。
ガングロカフェに出勤してくるガングロギャルたちは、Black Diamondというギャルサークルのメンバー。現在、総メンバー数は約150人。ガングロカフェに来るお客さんは、ギャル好きの男性や、ギャルに憧れる女子中高生が主だという。
一時期は渋谷109がギャルの聖地だったが、今はギャル服ブランドも少なくなり、記者のような普通のアラサー女性でも入りやすいファッションビルになっている。この時代、ギャルたちはどこで服を買っているのかを聞くと、ネットやBlack DiamondがプロデュースするGALEOブランドのものが多く、派手なギャル服を探すのに苦労しているようだ。服探しに困ることからも分かるよう、ガングロギャルが激減しているのになぜ続けているのだろうか。
「私は好きな格好をやっているだけ。もし、何か別に好きな格好ができたらギャルはやめると思う。一生ギャルってことはないかな。さすがに子どもができたら卒業するかも」と語るぽみたんの横で、「私、6歳の子どもいるんだけどな」とぼそっとつぶやいたのはまみぴぃちゃん。写メを見せてもらうと、まみぴぃちゃんの娘さんもしっかりチビギャルだった。
買い物をする場所に関して話したときに「新宿とか池袋って治安が悪いよね〜」と言われ、ド派手な格好で治安について語るギャルが、一般的なギャルのイメージとはかけ離れていて面食らってしまった。「私たち、格好はこんなですけど、きちんと一般常識はあるんですよ!」とぽみたんちゃん。失礼いたしました。
ガングロカフェでは、パラパラのショータイムもある。この日はBlack Diamondの曲を踊ってくれた。ガングロギャルによるパラパラを生で見るのは初めてだ。
曲がスタートすると、みんな黙々と真顔で踊り始めた。横ステップとキレのある腕の動きが特徴的だ。パラパラショーのほか、ガングロメイク体験も7000円(ドリンク・フード・おみやげ付き)で体験できる。
ガングロブーム時代にタイムスリップしたかのように感じてしまったガングロカフェ。東京の新たな観光スポットとなるかもしれない。最後にガングロギャルたちと記念撮影。
(姫野ケイ)
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