「生まれて初めて自分1人で靴を履くことができました」――ナイキが開発した「片手でも履けるシューズ」誕生秘話がめちゃくちゃいい話
高校生の少年、マシュー・ウォルツァーさんの手紙がきっかけで開発が始まりました。
スポーツ関連商品メーカーのナイキが、片手でも履けるシューズ「ナイキ フライイーズ」を開発しました。「フライイーズ」はナイキのデザイナーのトビー・ハットフィールドさんが約3年かけて開発した靴で、かかとのヒールカウンターの近くで開閉するジッパーがあり、足の出し入れが簡単にできます。しかも足がしっかりと固定されるので、靴紐を結ぶ必要がありません。
「フライイーズ」は、片手が自由に使えないなどの悩みを抱いているアスリートのためにつくられたもの。その経緯をまとめた動画がYouTubeにアップされています。きっかけになったのは、生まれつき片手が不自由な高校生、マシュー・ウォルツァーさんの手紙でした。ウォルツァーさんは「1人で靴が履けない」ことに悩んでおり、未来の大学生活に不安を抱いていました。
「僕の夢は、毎日『誰かに靴紐を結んでもらわなければ』と心配することなく、自分の選んだ大学に進学することです。僕はこれまでずっと、ナイキのバスケットボールシューズを履いてきました。歩くために足首の支えが必要なので、このタイプのシューズしか履けません。16歳になって、僕は自分1人で洋服を着ることはできますが、靴紐は親に結んでもらわなければいけません。自分のことは自分でやりたいティーンエイジャーにとって、不満に思うと同時に、恥ずかしさも感じています」――この手紙を受け取ったハットフィールドさんは、片手でも履けるシューズの開発に取り組み始めました。
2012年のうちに試作品が完成し、ウォルツァーさんに贈られました。ウォルツァーさんは「生まれて初めて自分1人で靴を履くことができました」と大喜び。しかし開発はそこで終わらず、ハットフィールドさんとチームはさらにデザインを改良。靴紐のいらないデザインを生み出し、2015年に「フライイーズ」が誕生しました。
ウォルツァーさんのためだけではなく、同じような悩みを抱いているすべてのアスリートに向けて作られた「フライイーズ」は、7月25日から8月2日にかけて開催されている「2015スペシャルオリンピクス・ワールドサマーゲームズ」に参加するアメリカの2つのバスケットボールチームに贈られています。ナイキさん……かっこいいです!
(青柳美帆子)
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