再現度が高すぎてファン歓喜! 舞台「こどものおもちゃ」の舞台裏をちょっとだけ覗いてみた

まろちゃんもいる! ちちくりマンボも踊る! 都庁で羽山とキスもする! 羽山の下半身丸出しスッポン写真も舞台で再現されるぞおおおおおお!!!!

» 2015年08月21日 11時30分 公開
[朝井麻由美ねとらぼ]

 「こどものおもちゃ」の世界に憧れていた小学生だった。15年以上前、「りぼん」で連載されていたのを読んで熱中し、その手が届きそうで届かない世界の住人になりたいと切望した。実際は、私は主人公の紗南のように子役タレントでもなければ、サングラスをかけたマネージャーの玲くんもいない。家は母子家庭ではなかったし、母親は頭でリスを飼ってるわけでもない普通の人だ。何より、通っていた小学校のクラスは特に荒れてもいなかった。残念である。マネージャーの玲くんに車で小学校まで送り迎えされている紗南の真似をしたくて、父親に徒歩3分の小学校まで車で送るように頼み込んだこともあった。車に乗れば必ず車酔いをする子どもだったくせに。父はサングラスをかけていないが、この際、背に腹は代えられぬ、と。もちろん断られた。

 こうして書き連ねていくと、設定は“リアル”とはすこぶるかけ離れているのに、「こどものおもちゃ」には不思議とリアリティがあった。魔法なんて世の中には存在しない、すべてが主人公の思い通りになる恋愛などない、と他の少女マンガのテンプレがファンタジーに見えていたゆえに、学級崩壊、孤児、家庭内暴力、体罰などが描かれている「こどものおもちゃ」に現実味を感じたのかもしれない。

 さて、そんなリアルなのかファンタジーなのか掴みどころのない作品が舞台になるとどうなるのか。「りぼん」の創刊60周年を記念して、8月20日〜8月30日まで、「こどものおもちゃ」の舞台が上演されるのだ。その通し稽古にお邪魔させていただいた。なお、本作は「ばびっと組」と「まろちゃん組」のWキャストであり、写真に登場するのは「ばびっと組」だ。(※以下すべて8月14日の通し稽古時点の情報です/当日券の情報は舞台の公式サイトまで)


画像画像 2015年8月20日〜30日 銀座の博品館劇場にて。写真右は紗南と美紗子ママ。舞台本番ではママが頭で飼っているリス「まろちゃん」も登場


画像 紗南と羽山

 舞台は紗南ちゃんのタレントのお仕事シーンから始まる。


画像 「ピコピコハンマーの助」という正義の味方を演じている紗南ちゃん

 「紗南ちゃん急いで急いで!」と次の仕事に連れていく玲くん。


画像 後ろにサングラスの司会者が見えているのが、紗南ちゃんの次の仕事現場のバラエティ番組

 仕事が終わった紗南ちゃんを、玲くんが車で小学校へ送っていき、シーンは小学校の教室へ。


画像 車で送り迎えする玲くんと、台本を覚える紗南ちゃん

 ここでようやくもう1人の主役、羽山秋人のお出ましである。担任の三屋先生と、副担任の田中先生を「ちちくり写真」で脅す羽山。なお、この「ちちくり写真」の存在を知った紗南が思わず「ちちくりマンボ」を踊るシーンも、しっかり舞台で再現されている。本舞台の見どころの一つである。


画像 ちちくり写真

 荒れるクラスの男子たちを「こまわりステップ」でかわす紗南。


画像 こまわりステップ

 そして、紗南は次のシーンで男子たちのボスである羽山を本格的にこらしめる作戦を練る。先に答えを言ってしまうと、原作では、クラスメイトの剛に協力してもらい、羽山を油断させた瞬間にズボンを下ろし、下半身まる見えスッポンポンのところを物陰から隠し撮り。その「スッポン写真」をバラまかれたくなければ、先生たちを脅してクラスを荒らすのをやめなさい、と紗南が持ち掛けるのだ。原作ではパンツ姿、アニメではパンツまで下ろした姿だったが、果たして、舞台ではどこまで“スッポンポン”になるのだろう……?


画像 剛「秋人くん秋人くんごめんね!」


画像 剛「ごめんねごめんね!」

 パンツまで下げたーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

 この舞台、本気である。

 実際にパンツを下ろした姿は、ぜひとも劇場で目に焼き付けていただきたい。

 以降、話は原作通りに進む。学級崩壊は解決し、物語の焦点は羽山の家庭問題へ。夕飯を家で食べさせてもらえず毎晩外に食べに行く羽山、そのことを知った紗南は、羽山一家を「家族全員おかしいよ!」「親子丼バカ!」と罵り、元通りにすべく奮闘。公園で1人で夕飯を食べていた羽山に、無理矢理「お母さんごっこ」をするシーンも健在だ。


画像 あんたたち親子はバカだね、名付けて……、


画像 親子丼バカ!


画像 「あーちゃん、ママはね。あーちゃんのこと愛してるから、頑張って産んだのよ」

 羽山の家庭問題が解決すると、話は一気に飛び、原作で言うところの「エッセイ騒動」へ。紗南のママが新しく出したエッセイで、「実は倉田紗南は捨て子だった」と暴露するエピソードである。


画像 先生(紗南のママ)に原稿を催促する編集者の恩多

 最後は社会科見学で都庁の展望台に行く、あのシーンで終わる(エッセイ騒動と社会科見学は原作と順序が逆になっている)。

 私がかつて、本気でなれると思い込んで憧れた紗南ちゃんは舞台の上にちゃんといた。作品の持つ不思議なリアリティは舞台でもそのまま、「こどものおもちゃ」という世界が現実にあるとしたら、と当時から想像していた通りのものがそこにあったのだった。

朝井麻由美(@moyomoyomoyo)。フリーライター・編集者・コラムニスト。ジャンルは、女子カルチャー/サブカルチャーなど。ROLa、日刊サイゾー、マイナビ、COLOR、ぐるなび、等コラム連載多数。一風変わったスポットに潜入&体験する体当たり取材が得意。近著に『ひとりっ子の頭ん中』(KADOKAWA中経出版)。構成書籍に『女子校ルール』(中経出版)。ゲーム音楽と人狼とコスプレが好き。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」