奈良の常識「マラソンタオル」がTwitterで話題に 奈良「えっ全国じゃないの?」他県「なにそれ天才か」
「奈良なのに知らんぞ」「北海道だけど着たことあるぞ」とさまざまな反応も。
奈良県の小学校では常識という「マラソンタオル」なるアイテムが、Twitterで話題になっています。奈良出身者の多くからは「え、マラソンタオルって奈良だけなん!?」とローカルネタだったことへの驚きの声が。県外からは「マラソンタオルって初耳だ」と謎のキーワードに食いつく反応が相次いでいます。
話題のきっかけとなったのは、関西テレビのバラエティ番組「ちゃちゃ入れマンデー」の1月5日放送。関西のご当地ネタを紹介する「コレってウチだけ!? 関西のご当地ジョーシキ25連発!」という企画で、奈良県民なら冬の学校の常識として登場しました。
番組の紹介によると「マラソンタオル」は、奈良県の小学生が冬場にランニングする際、体操服のなかに着こむアイテム。市販のタオルに切れ込みを入れてベストのような形に手作りした、下着のようなものです。児童はこれでランニング中の汗を吸い取り、終わった後に首元からスポっと抜き取ることで、運動後の汗を除くのだそう。鹿児島出身の筆者はとりあえず「マラソン中に首にかけるタオルのこと?」と思ったけど、全然違った!
Twitterでは視聴者の反応をきっかけに、マラソンタオルへのコメントが続々飛び出します。全国共通の文化だと思っていた奈良県民は「本当に奈良だけなの?????服の下にタオル切ったやつ入れて走らなかった???」「奈良ではマラソンタオルって当たり前やったんやけど…」「これが奈良県だけだと知って結構衝撃なんだがw」と衝撃。一方で他県の人も文化の違いに驚きながら、「マラソンタオルってなんだよ…奈良県天才かよ」「なんか便利そう(о´∀`о)」と、汗の不快感を解消するメリットに「奈良すげぇ」と注目していました。
しかしTwitterの投稿を見ると奈良県の小学生みんなが着ているというわけではなく、「奈良県民ですが…知らないっす…」「うちの弟は知らんと言ってたから、奈良市より南部の方かな」と県内でも地域差があるもよう。呼び方も「かけ足タオル」「チョッキタオル」とさまざまです。
また奈良県だけの文化でもない様子。「スキー授業の時は確かにタオル入れてこいって言われたなー(北海道)」など小学校でスキーの授業がある地域、「奈良県じゃないけど、小学校の時は冬になったらこれ学校で指示されてやってたよ チョッキじゃなく頭通す穴あけただけの貫頭衣スタイルだった@大阪東部」といった近畿・中部地方と、奈良県以外でもマラソンタオルのようなアイテムを着る習慣は存在しているようです。
しかしどうしてテレビ番組で紹介されるほど、奈良の小学生たちにはマラソンタオルを着用するイメージが定着しているのか。奈良県教育委員会の保健体育課に問い合わせたところ、「県全体の指導方針ではないのですが、確かに『マラソンタオル』のようなタオルを児童に着用させている小学校は奈良県には存在します」と担当者。
「奈良県の多くの小学校では冬の時期に2週間〜1カ月間、『かけ足週間』というものを実施しています。体力向上および『風邪に負けない体を作ろう』という健康づくりの一環で、始業前や2・3時間目の間の休み時間にランニングをする行事です。その際、汗による冷え込みを防ぐ健康面への配慮として、『マラソンタオル』を保護者に用意してもらうよう協力を呼びかけている学校があるのです」
県内でいつごろから始まり、現在どれほどの学校が実施しているか詳細は不明。タオルの呼び方や作り方も学校によってさまざまですが、もっぱら保護者が協力して手作りしてくれるそうです。今回取材に応じてくれた担当者も、過去に県内のある小学校に勤務した際、「かけ足週間」の前にマラソンタオルの作り方を載せたプリントを配布し、保護者に協力を呼びかけたことがあると話していました。
どうも奈良県全体が小学校で冬場のランニングを推奨していることと、各学校で先生と保護者が児童の健康を気遣って協力している環境が、奈良に「マラソンタオル」の文化を根付かせているもよう。健康にも良く短時間で脱げるお手軽さ、作り方もかなり簡単。知らなかった地域でも取り入れてみてもいいかもしれません。その土地独自の文化と融合して、新たなローカルタオルが生まれるのもまた一興。
(黒木貴啓)
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