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» 2016年01月31日 15時00分 UPDATE

納豆雑煮に、牡蠣雑煮。お雑煮の概念が180度変わる「ご当地雑煮祭」に参加してみた!

全国のお雑煮、みんな違って、みんないい。

[伊佐治龍/LOCOMO&COMO,ねとらぼ]

 “ご当地雑煮が多種多様すぎて面白い”という話をよく耳にする。事実、テレビや漫画で取り上げられ、その注目度も上がってきているようだ。去る1月26日には、「ご当地雑煮祭 新年会 2016 〜6種類のお雑煮と10種類の地酒の宴!〜」なるイベントが行われていた。多彩なお雑煮を知るべく、実際に参加してきた。

 なお、「ご当地雑煮祭」が開催されるのは今回で3回目らしい。会場は、ゆりかもめ・青海駅からほど近い、ニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」だ。

 さっそく、どんなイベントになるのか、期待に胸を膨らませて会場に入ってみる。すると、入口すぐに立っていた笑顔のまぶしいスタッフさんが話しかけてきた。

「みなさまに、ふるさとで食べたお雑煮のお餅のアンケートをお聞きしております!」

 そのスタッフさんの横には、日本地図のボードが立っていて、ところどころに色のついたシールが貼られている。

「お餅は丸ですか? 四角ですか?」

「あっ、四角です……」

「四角ですと、ご出身は関東……?」

「いえ、違います。岐阜です」

「岐阜ですかー! 岐阜ははじめてです。ありがとうございます。では四角いお餅は焼いて……?」

「いえ、焼いてないです」

「じゃあ煮たお餅ですね〜。四角いおもちで焼かないのは珍しいですね〜」

 スタッフさんとそんなやり取りをしながら、筆者は内心で「えっ、お雑煮って焼き餅は入れないでしょ」とカルチャーショックを受ける。ご当地雑煮という名目なのに、どうしても自分にとってのお雑煮の“常識”が抜けきらない。目の前の日本地図をよく見てみると、関東近郊はほぼ赤いシールが貼られている。赤色は、焼いた四角いお餅を使用しているという意味のようだ。


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 ちなみに黄色は焼いた丸いお餅で、青は煮た四角、緑は煮た丸餅だ。西日本を見ると、緑が目立つ。見て一目瞭然だが、我がふるさとを境に西と東がきっぱりと分かれている。そんな筆者のふるさとのお餅は、焼かなくて四角いわけだから、なるほど真ん中に位置するに足る結果である。

 しょっぱなから驚かされてしまったが、まだふるさとのおもちを聞かれただけである。続いて案内されたのは、地酒の試飲だ。日本名門酒会が厳選した「新酒しぼりたて生酒」10種。


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 これは豪華。でも忘れてはいけない。主役はお雑煮である。それでは、紹介していこう。

 一つめは、東京の「江戸雑煮」。


画像 東京の「江戸雑煮」

 すましタイプで、濃口醤油(しょうゆ)とみりんを使用しているのが特徴的。具は焼いた角餅に、鶏肉にシイタケ、ニンジン、かまぼこ。みりんは関東ではよく使用されるが、関西ではほとんど使用されない傾向にある。食べてみると、どちらかというと筆者のふるさとのお雑煮に近いように感じた。

 続いて二つめは、京都の「白みそ雑煮」。


画像 京都の「白みそ雑煮」

 まろやかな口あたりで、白みそのほのかな甘みが特徴的。具は煮た丸餅に、サトイモとダイコンとニンジン。ちなみに丸餅と角餅の境界線は関ケ原。天下分け目の戦いが行われた地が、食文化の分け目の地でもあるようだ。また丸餅には、家族円満の意味が込められている。味噌を入れるのは不思議な感覚である。ちなみに筆者もはじめて食べるが、まわりの参加者もはじめて食べると答えた人が多かった。

 三つめは、福岡の「納豆雑煮」。


画像 福岡の「納豆雑煮」

 なんといっても納豆に驚き。しかも納豆を汁に入れるのではなく、お餅を取り出して、納豆に絡めて食べるのが流儀。この食べ方は、福岡県うきは市や熊本県山鹿市や合志市、大分県日田市などでみられる。この日一番の会場がざわついた瞬間だ。お雑煮って地域によって本当になんでもありなのね。

 四つめは、広島の「かき雑煮」。


画像 広島の「かき雑煮」

 こちらもすましタイプ。かきの出汁がきいて汁は絶品の味わい。「賀喜(かき)」という当て字を使ったり「福をかき寄せる」といわれて縁起がいいとされている。こんな贅沢なお雑煮があっただなんて!

 五つめは、岩手の「一関雑煮」。


画像 岩手の「一関雑煮」

 一関では、年間60日もお餅を食べる日がある「もち暦」があるくらい餅文化が根付いている地。「もち本膳」と言われるもてなしもあり、その中のひとつに引き菜餅と呼ばれるお雑煮も存在しているとのこと。こちらの雑煮は、いくつもの椀をお膳で出す特殊なタイプで、「もち本膳」ともいわれている。食べ方にも作法があり、なます(大根おろし)、あんこ餅、料理餅(ずんだ・くるみ)、引き菜餅、たくあん、膳の湯の順に食べていく。今回ふるまわれたのは、引き菜餅の椀。丸餅に、千切りのダイコン、ニンジン、鶏肉、高野豆腐、かまぼこ。ちなみに今回、使用されているお餅は、全国わんこもち大会に使用するお餅と同じとのこと。


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 六つめは、鳥取の「米子あずき雑煮」。


画像 鳥取の「米子あずき雑煮」

 米子では、元旦に食べるお雑煮としている。昔は塩味で食べられていたが、今では砂糖を入れて甘い味付けとなっている。もう完全にお雑煮の概念なんか吹っ飛んでしまった。お餅と汁があればお雑煮と言っていいのではなかろうか。

 イベントでは、株式会社お雑煮やさんの代表取締役でもあり、お雑煮研究所の代表でもある粕谷浩子さんのトークショーが行われた。日本で唯一のお雑煮マイスターとして活躍しており、全国各地の主婦に声をかけて、家におじゃましてお雑煮を食べさせてもらうなどの突撃&徹底取材でもメディアで話題となった人物だ。


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 粕谷さんはトークの中で「今回、紹介したお雑煮はごく一部で、全国各地にはもっと、特殊なものがあります。このように統一されたものがないために、今まで商品化が難しく認知度も低かったけれども、今後はB級グルメ的な位置づけで、いろんなお雑煮があることをもっとみなさんに知ってもらえるように活動を続けていきます」と語っていた。また「これだけおいしい料理なんだから、正月だけでなく日常的に食べられるようにしていきたいですね」と目を輝かせていたのが印象的であった。


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 お雑煮の概念をガラリと一変させてくれた今回のイベントは、大盛況のうちに幕を閉じた。これほど自分にとって身近な料理であるはずのに、まったく味わったことのない味や食材があるという事実に興味がかき立てられるばかりだ。ご当地雑煮のブームが到来する日もそう遠くはないだろう。

(伊佐治龍/LOCOMO&COMO)

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