「紫色の靴下」と呼ばれ分類学上のナゾとされてきた深海生物、実は生物の進化のパズルを埋める重要なピースと判明

チンウズムシってなに?

» 2016年02月08日 10時03分 公開
[Junねとらぼ]

 アメリカの深海から、生物の進化をひも解くのに重要なカギとなる、4種の深海生物が発見されました。この4種はいずれも珍渦虫属(チンウズムシ)に分類されます。珍渦虫は、体の4分の3を閉める中空部が口腔の役割をしており、脳、エラ、目、じん臓、肛門を持たないという、まか不思議な生物です。


スクリップス海洋研究所が公開した動画。殻がない貝や、魚の内臓のようにも見える珍渦虫 

 このニュースが発表されたのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)のサイトです。珍渦虫が報告されて以来、生物の臓器の進化を知る上で重要な生物とされてきましたが、分類学上においては60年近くも謎の存在でした。今回プロジェクトチームにより新たに発見された新種を遺伝子解析することによって、分類学上の位置を正しく決定することができたと説明しています。


ナゾの深海生物 スクリップス海洋研究所のサイト。イラストは新種のひとつ「Xenoturbella monstrosa」

ナゾの深海生物 新種のひとつ「Xenoturbella churro」。日本でもおなじみ「チュロス」に似ていることから命名

 このプロジェクトチームの一員である、スクリップス海洋研究所の生物学者 Greg Rouse氏が、初めて新種の珍渦虫を見つけたのは12年前。遠隔操作の深海探査機で、モンテレー湾海底の二枚貝をさらっていたときのことです。発見された新種はその外見から、冗談交じりに「紫色の靴下」と呼ばれていました。とくに今回発見された新種のひとつ「Xenoturbella monstrosa」は靴下似の外見もさることながら、これまでは3センチ以下だった珍渦虫の6〜7倍にあたる、実に20センチという大きさが特徴。まさに見た目も大きさも靴下そのものでした。

 同氏は「この発見は、生物の進化を理解する上でいくつか影響を及ぼす」とし、「珍渦虫の分類を固めることによって原始における生物の進化をさらに理解することができる」とコメントしています。

 分類を固め、遺伝子を解析することにより、珍渦虫の奇妙な構造は退化したものでなく、進化的に単一のものであることもわかりました。つまり珍渦虫が、すべての命の源である海洋生物の「進化のパズル」における重要なピースとなるということです。ひいては生物全体の進化の過程も明らかになっていくかもしれません。今後の研究が期待されます。


(Jun)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」