「新婚さんいらっしゃい!」「剣客商売」――テレビ番組タイトルの手書き職人、制作秘話をまとめた一冊をPDFで無料配布!

ニュース番組では60秒で20文字を斜体の明朝体で手書き。テレビ史を支えた手書き職人の世界は熱い。

» 2016年02月12日 19時53分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 「新婚さんいらっしゃい!」や「探偵! ナイトスクープ」など、テレビ番組タイトルを約60年にわたって手書きしてきた職人・竹内志朗さんの著作「テレビと芝居の手書き文字」が、PDFデータとして無償配布されています。見覚えあるタイトルが同一人物によって描かれたものだったと驚くとともに、テレビを陰で支えたタイトル手書きという仕事の熱さに心打たれる一冊です。

手書き文字 「テレビと芝居の手書き文字」の書影。見覚えのあるタイトル文字ばかり!

 竹内志朗さんは、演劇の舞台装置のデザイン設計と並行して、1956年からテレビ番組や芝居のタイトル・テロップを60年以上にわたって手書きで制作してきました。手掛けたタイトルには、「新婚さんいらっしゃい!」のほかにも、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「プロポーズ大作戦」「熱闘甲子園」など、目にしたことのある人気番組も多数。

手書き文字 竹内志朗さん(竹内志朗個人サイトより)

 書籍「テレビと芝居の手書き文字」は、そんな竹内さんの手書き仕事を当時の制作エピソードとともに振り返っていく回想録。「ニュース番組で事件発生直後のときは、20文字くらいを斜体の明朝体で約60秒足らずで早書きすることが義務付けられていた」など、テレビ放送開始から30年以上、その隆盛を手書き仕事がどのように支えてきたのかをたどれる内容となっています。

 ニュース番組でタイトルが早書きできるよう、「一日も休まずに、たとえばどこへ旅行へ行っても、『とにかく、十分なら十分書こう』と決め、鉛筆で早書きの練習をしていました。書かないと、もしも筆を休めたら翌日、ニュースを書く時、鈍ります。『鈍らんようにするためには、腕のトレーニングをしとけへんかったら、すぐに役に立てへん』と思っていました」と、常にトレーニングを欠かさなかったという竹内さん。プロフェッショナル精神にも学び得るものが多いです。

 同書は2010年に発刊されたものの、現在は再版分も完売し在庫がない状態。竹内さんは出版した当初の目的「竹内志朗の行ってきた仕事、テレビ・舞台の裏方職業を皆様に周知していただく」を果たすため、公式サイトよりWebで無償配布することにしました。サイトで必要事項を記入するとダウンロードのURLとパスワードがメールで送られて来る仕組みになっています。

 今となってはテレビ史から忘れ去られようとしている手書き仕事――おなじみの番組タイトルの制作秘話にふむふむしながら、その裏側にあった熱き職人魂に触れてみましょう。

黒木貴啓


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