行方不明だった少女保護で再び注目される公衆電話 数も減り利用したことがない子どもも増えている

公衆電話の設置場所は検索することができる。

» 2016年03月28日 15時30分 公開
[ねとらぼ]

 2014年3月に行方不明となり、東京都内で27日に保護された朝霞市の女子中学生は、JR東中野駅にある公衆電話から自宅と警察に助けを求めていた。施錠された部屋から隙をみて逃げ出したため、保護されたときに少女は生徒手帳と170円の所持金しか持っていなかったという。こうした緊急時に連絡したいときに役立つのが公衆電話なのだが、携帯電話の普及に伴い、その数は減り続けている。そして、公衆電話の使い方を知らない子どもも増えているという。有事の際の利用方法や身のまわりの設置場所についてあらためて知っておく必要がありそうだ。

公衆電話 現在設置されているデジタル公衆電話(画像はNTT東日本より)

公衆電話 現在設置されているアナログ公衆電話(画像はNTT東日本より)

 携帯電話などがない状況で誰かに連絡を取りたい場合、考えられるのは他人に借りるか公衆電話を利用するしかない。しかし、誰もが貸してくれるわけでもなく、人が見当たらなかったり、災害時などは携帯電話がつながりづらいこともある。

 2011年には東日本大震災をきっかけに、災害時でもつながりやすい公衆電話が見直されたが、「どこにあるか分からない」という声も多かった。そこで2012年にはNTT東西が公式サイトで全国の公衆電話の設置場所が検索できる特設サイトを公開するようになっている(NTT東日本NTT西日本)。

公衆電話 JR東中野駅付近の公衆電話の設置場所。進路によって駅に行くまでに公衆電話がないことも

 1985年のピーク時に約90万台あった公衆電話は、NTT東西あわせて9万7372台(2014年度末)にまで数を減らしている。電気通信事業者は基本的に公益性を踏まえ、いわゆる第一種公衆電話機は市街地で約500メートル、郊外で約1キロ四方に1台設置し台数を維持することになっている。原則として終日利用できる場所にあり、駅や公園、大通りに面した場所などで見かけるが、意識して設置場所を確認していない人も多いそうだ。少女が監禁されていたとみられる中野区のアパートからJR東中野駅までは200メートルほどしか離れていなかった。見知らぬ土地で公衆電話を探す際、まず駅を目指すというのは間違っていない行動だといえる。

 ネットではこの事件をきっかけに「公衆電話はまだまだ必要だと思わせる事件」「子どもに教えることの一つとして公衆電話の使い方が必要になる」と公衆電話の重要性が語られている。

 公衆電話は硬貨やテレホンカードがなくても受話器を上げて110番や119番などの緊急通報を使用することができる。また、災害時に広域停電が発生するなど被災者の通話を確保することが必要と判断した場合には公衆電話からの通話も無料となる。公衆電話を利用したことがない子どもはもちろん、有事を想定して通学路や自宅付近の公衆電話の設置場所の確認や利用方法は押さえておきたい。また、自宅や家族の電話番号を覚えておくことも今回の事件の教訓になりそうだ。

公衆電話公衆電話 3月25日には「CHIYODA Free Wi-Fi」のエリア拡充の一環として公衆電話ボックスを無線LANサービスのアクセスポイントに活用する日本初の試みが、東京の千鳥ケ淵緑道入口(千代田区九段南2丁目緑道北側周辺)で実施された

 なお、28日早朝、指名手配されていた容疑者は、静岡県伊東市内で「血だらけの男が歩いている」という通報を受けた警察官により身柄を確保。警察は回復を待って未成年者誘拐の疑いで逮捕する方針だ。

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