パリジェンヌはようかんの夢を見るか? パリで大盛況となった「YOKAN COLLECTION」レポート

コーヒー、ようかん、パリジェンヌ。

» 2016年03月28日 15時35分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 3月18日から20日にかけて、フランス・パリで開催された「YOKAN COLLECTION」。日本全国から集まった11店の和菓子屋がさまざまなようかんを実演、試食、展示によって広めていくもので、海外へはこれが初進出。フランス人はようかんをどう受け止めたのか、また各店のフランスでの手ごたえなどをうかがってきました。

YOKAN COLLECTIONが開かれたEspace Marais.Marais たっぷりと光が差し込む美しく清潔感のある空間

 会場はパリでも特におしゃれな3区の「Espace Marais.Mrais(エスパス マレ・マレ)」。11時30分の開場時にはすでにたくさんの来場者であふれていました。

 訪問時、2階では練り切りのデモンストレーションが行われており、フランスのテレビ局が取材に訪れていました。このデモンストレーションは1日に2〜3回ほど行われ、集まった来場者も食い入るように見つめていましたが、この練り切りもようかんだと思ってしまったフランス人も多かった様子。周囲の誤解だけそっと解いておきました。

「巌邑堂」内田弘守代表取締役社長 デモンストレーションを行う「巌邑堂」内田弘守代表取締役社長

 「巌邑堂(がんゆうどう)」の内田弘守代表取締役社長は、「反響はとてもよかった。デモンストレーションのたびにかなり興味をもって集まってくださるのが分かりました。パリを皮切りに、ニューヨークやシンガポールでも展開していければ」とのこと。夢は広がります。

練りきりのデモンストレーション 繊細な技術に歓声も

 デモンストレーションが終わったら地下1階に移動。こちらではようかんの歴史や原材料、作り方などが展示されていました。

ようかんの作り方について ご両親に熱心に質問する男の子の姿が印象的

 さまざまな種類のようかんを試食できるコーナーも。お茶が販売されていたらもっと食べられ……いえ、なんでもありません。

昆布ようかんと塩ようかん 塩ようかんや昆布ようかん。塩ようかんは特に人気でした

 今回参加した佐賀県の「村岡総本舗」は、本店に併設されている「羊羹(ようかん)資料館」がミシュラン・グリーンガイドに掲載されているのだとか。村岡由隆取締役副社長によれば、ようかんは日持ちもよく、チョコレートのように溶ける心配もないため、ツール・ド・東北のような自転車競技の携帯食品としても重宝されているのだそう。自転車競技の本場であるフランスなら、そういった観点からアピールすることも可能ですね。

桜色に染まった「村岡総本舗」の白あんのようかん 本店が桜の名所にあることに由縁する白あんを桜色に染めたようかん

 福岡県に本店のある「鈴懸」では唯一、水ようかんが紹介されていました。

「白ゴマ」「キャラメル」「チョコレート」の水ようかん 一見するとミルクジャムのようなおしゃれな水ようかん

 瓶詰めのモダンな水ようかんは白ゴマ、キャラメル、チョコレートの3つの味があり、今回試食したのはキャラメルとチョコレート。どちらも香り高く、特にチョコレートはカカオの苦味が利いていてフランスでも人気が出そう! 大人の味かと思いましたが、小さなお子さんもおいしそうに試食していました。

 「鈴懸」の岡村禎浩総務副担当長によれば、水ようかんは「味わったことのない食感」としてフランス人来場者にも大変好評だったとのこと。フランスには甘みの強いデザートが多いですが、「この甘さが控えめなところがいい!」と感じるフランス人来場者も多かった様子。甘さ控えめを求めるフランス人も実は多いというのは新発見でした。

試食用の「鈴懸」の水ようかん 甘さ控えめで後味さわやか

 ようかんの新しい形状を追求していたのは岐阜県の「槌谷」。ガラス細工のような「みずのいろ」は、ハーブティーで色と風味がつけられたもの。特に水色のようかんはバタフライ・ビーというタイの珍しいハーブティーを取り寄せて作られているのだそうです。外側を乾燥させることで2種類の食感が楽しめ、見た目も美しいことから「すべてのフランス人来場者から」と言ってもよいほど好評であったそう。

「槌谷」みずのいろ 右からハイビスカス、オレンジ、カモミール、ミント、バタフライ・ビー
3Dプリンターで作ったようかん 3Dプリンターで作ったライオンようかんも

 「槌谷」の槌谷祐哉代表取締役社長は、ようかんの形状を追求する理由を、「ようかんは今、一般家庭で日常的に食べられているわけではありません。その原因を探ってみたところ、チョコレートのように日本人の日常に浸透しているお菓子と比べるとかたちの多様性が足りないからではと考えました」と話しています。

 さらにフランスでは好みが分かれるかと思われた柿羊羹(かきようかん)も、「好まれる方が多く、驚きました」とのこと。デーツ(フランスではダット)と呼ばれるナツメヤシの実がありますが、それが好きな人にはたまらない味のようです。

 来場していたパリ在住のカテリーナ・スルブコバーさんに感想を聞いたところ、「どれもとてもおいしい。モロッコのゴマを使ったお菓子に似ている気がします。フルーツを使ったようかんもあり、中華料理のデザートで出てくるドライジンジャーに砂糖をまぶしたお菓子を思い出す」と話してくれました。

 モロッコのお菓子とは、恐らくカーブ・ガザールのことだと思われます。中にアーモンド、バター、蜂蜜のペーストが入った揚菓子で、外に白ゴマがまぶしてあるもの。フランスではモロッコの食文化が大変身近で、モロッコの色鮮やかなお菓子が積みあげられたパティスリーは街中で頻繁にみかけるものです。

YOKAN COLLECTIONに来訪したパリ在住女性 カテリーナ・スルブコバーさん。「私には『ようかん』という名前の日本人の同僚がいるんですよ!」とも。「ようこさんでは……?」。日本人女性の下のお名前のようですが、お会いしたかったです!

 今回、海外進出第1弾となった「YOKAN COLLECTION」。会場は大盛況で、フランスでの反応はかなり良好な印象。フランスはヨーロッパの中でも日本文化を積極的に受け入れる土壌のある国。日常的に緑茶や抹茶を飲む習慣はありませんが、今回のイベントで現在ではコーヒーや紅茶、お酒にもに合うようかんがたくさんあるのだということが分かりました。近い将来、パリではコーヒーとようかんを楽しむことが一般的になるのかも!?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評