「ウィザードリィ」とアニメの意外な関係 作者ロバート・ウッドヘッド氏インタビュー:海外オタク見聞録
「ウィザードリィ」の作者として知られるロバート・ウッドヘッド氏。実は日本のアニメを翻訳する事業も手がけています。
ゲーム「ウィザードリィ」の作者、ロバート・ウッドヘッド氏がAnimeJapan 2016のために来日。日本のアニメとの関係は――? 話を聞いてきました。
ウッドヘッド氏はゲームクリエイターであると同時に、米国のアニメ配給会社AnimEigoの創設者でもあります。今回も日本のアニメの買い付けで来日しました。
同氏がアニメと関わったきっかけは、友人のロー・アダムス氏(ウィザードリィの開発に携わった)が日本のアニメファンであったこと、同氏自身、映画が好きでアニメもその一形態として観ていたこと。アダムス氏がアニメに字幕を付けたいと言い出し、それなら正式に日本からアニメを買い付けて翻訳しようと共同で1989年にAnimEigoを設立したのだそうです。
同氏は映画の中でも特にSFを好んでおり、「AKIRA」(大友克洋監督)や「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(押井守監督)が好きとのこと。このような1980〜90年代の高品質なアニメが活動の原点になっていると語ります。
AnimEigoでは現在、日本のアニメの英語化に当たり、ウッドヘッド氏を中心に、クラウドファンディングで資金を募り、ファン参加型でBlu-rayを製作しています。例えば、「バブルガムクライシス」のパッケージのデザインはファンによって描かれたものが使われ、「おたくのビデオ」には、出資してくれたファンの名前を入力すると「おたく認定証」が表示されるイースターエッグと呼ばれるおまけが組み込まれています。
ウィザードリィが日本のアニメに影響も
押井守監督のアニメ「劇場版パトレイバー2」には、自衛隊の要撃機のコールサインとしてウィザードリィにちなんだ「ワイバーン」「ウィザード」「プリースト」「トレボー」(Trebor:ウィザードリィに登場する王様でロバートのつづりを逆にしたもの)が使われています。それを話すと、同氏は「アニメは見たけれど、それは気が付かなかった。もう一度見てみよう」と驚いた様子。
実は押井監督はウィザードリィのファンで、自身の作品にウィザードリィネタを散りばめているのですが、他のアニメ関係者にも同タイトルのファンが多く、実写版パトレイバーの「クロコダイル・ダンジョン」(田口清隆監督)や、「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」でも「ホークウィンド」「トレボー」がコールサインとして使われています。
このようなアニメへのウィザードリィの影響を聞いて、ウッドヘッド氏はいろいろな文化が国境を越えて影響し合っていると指摘。「例えばフランス映画は大西洋を隔てたアメリカの映画にも影響を与えてきましたが、逆も真なりでハリウッド映画はフランス映画にも影響を与えている。アニメもハリウッドの影響を受けて日本で発展した映像表現のジャンルであるが、同じように海を越えてアメリカの映画界にも影響を与えています」と語りました。
「もし押井守監督がアメリカにいたならば実写映画を手掛けただろうし、ジェームス・キャメロン監督が日本にいたならば、アニメを制作しただろう」と、ストーリーテリング(物語の入れ物)としてのアニメがあり、お互いに海を越えて影響を与えている、とも。
ウッドヘッド氏は好きなアニメ監督として宮崎駿監督と押井守監督の名を挙げ、アメリカの若い世代にも、今制作されているアニメを見るときに、理解するための「古典」として洗練された80〜90年代のアニメを勧めています。今回の来日の目的もそうした作品を買い付けるためのようでした。
(松岡洋)
関連記事
- 来日した取引先がオタクだった、そんな時の聖地巡礼ガイド
オタクな取引先や知人から案内を頼まれたけどよく分からなくて……という人向けのガイドです。 - 日本のKAWAIIに熱狂的なファン! ドイツのロリータファッション事情
海外にもファンがいるロリータファッション。ドイツのロリータファッションのファンや元カワイイ大使に話を聞きました。 - アニメに出会ってロシアから日本へ ロシア人声優・ジェーニャさんインタビュー
ロシアよりアニメに愛をこめて(Из России с любовью к аниме.)。 - サウジアラビア人が描いた日本風マンガも! アラブのマンガ事情
戒律が厳しいイメージのあるアラブの国々。規制もありますが、そうした中でマンガやアニメを楽しんでいるファンも。 - 庵野秀明監督へのあふれる愛 東京国際映画祭に海外コスプレイヤー集結
東京国際映画祭と世界コスプレサミットがコラボ。特集上映「庵野秀明の世界」の応援に海外のコスプレイヤーが集まりました。 - “嫁”の立て看板と旅する海外のオタク男性が再び来日 今やロンドンのラブライバー
「狼と香辛料」のホロの立て看板と旅していた男性が、再び日本へやってきました。ラブライブ!に夢中なようですよ。 - 海外の若者に浸透するボカロ・アニメ――ファン交流活動「みらいのねいろ」主宰に聞く
VOCALOIDを海外に紹介するファン交流プロジェクト「みらいのねいろ」主宰に、現地で見た日本のコンテンツの人気について聞いてみました。 - クウェートのオタク事情は? うわさの“コミケの石油王”とアキバの休日してきた
「湾岸諸国で一番濃いオタク」国家・クウェートからコミケにやってきて石油王と騒がれたアクバルさんにインタビューしました。 - 日本に「モテ期」がやってきた? 「ジャパン・パッシング」でも留学生がやってくる理由
「ジャパン・パッシング」でも日本への留学生は増えています。ゲームやアニメが海外から学生を引きつけ、日本に「モテ期」をもたらしているようです。 - 2次元の“嫁”と世界を旅する――君は「プロジェクト・ホロ」を知っているか?
今年初め、「狼と香辛料」のホロの立て看板と旅をする海外のアニメファンが話題になった。そんなアツいオタクが東京にやってきたので話を聞いてきた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
-
サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
-
「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
-
「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
-
【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
-
授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
-
高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
-
小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
-
考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
- 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
- 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
- チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
- 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
- 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
- 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
- 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
- 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」