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» 2016年06月03日 15時30分 UPDATE

あのキャラに花束を:赤い通り魔「レッドマン」が歩んだ道には、怪獣の屍しか残らない

夜道で出会いたくないヒーロー第1位。

[たまごまご,ねとらぼ]

 逃げろ! 赤いあいつがやってきた!

 みなさん見てますか、「レッドマン」。1週間無料で見られるよ。3分くらいだよ。


画像 キャーコワイ! レッドマンだ!

 一言で言えば、ウルトラマンに連なるヒーローの一人。1972年に放送された、円谷プロの特撮番組です。5分程度の短い番組で、4月からYouTubeでリバイバル配信がスタート。ところが彼の行動、ヒーローというにはあまりにも正義っぽさが見えない。Twitterをはじめとしたネットを通じて、一気に話題になりました。



 動画を見ても全く分かりませんが、身長は42メートル、体重は3万トンもあります。意外と巨大。

 彼は田舎道を通りすぎては、怪獣を殺します。特撮モノなんだから必ずしも殺してはいないだろうって? いや、死んでます。確実に殺すのが、レッドマンです。



レッドマンのここが怖い

 心に残るレッドマンの殺害シーンをいくつかあげてみます。

・めった刺し

 レッドマンはオーバーキルが好きなようです。怪獣を倒す、ナイフで刺す。こんなんじゃ終わらない。マウントポジションをとったレッドマン、2回、3回。これでもかとめちゃくちゃに刺します。もう死んでるから! やめてあげて! それでも刺すのが、レッドマン。


画像 マウントポジションでざくざく斬りつける。死んだな

画像 まだまだ斬りつける。もう許してやって

・死亡確認

 通称「レッドチェック」と呼ばれるもの。怪獣は複数体出てくることがあります。レッドマンは同時に何体か相手をして殺害します。この時、倒した怪獣の呼吸や心音をチェックし、本当に死んでいるか確認してから去ります。生かしてやるという選択肢はありません。いやあ、怪獣モノの「爆発」って、死んだ記号として大事だったんですね……。


・レッドフォール


画像 本来はここからぶん投げてダメージ与えるだけの技なんだけども

 基本的にレッドフォールは、持ち上げて落とすことでダメージを与えるプロレスみたいな技です。ところが彼ときたら、殺した怪獣を崖まで持って行って投げ捨てます。死体遺棄です。なぜ彼がここまで追い打ちをかけるのか、理由はさっぱり分かりません。ただひたすらに、捨てられた怪獣が哀れ。



レッドマンが凶悪に見える理由

 実際はレッドマンが「地球の正義のために戦っている」ってのは、そりゃ誰だって分かってますよ。やっていることも間違いなく怪獣退治。何もおかしくないはず。ではなぜレッドマンは凶悪に見えるんだろう?


・武器が生々しい

 レッドマンは光線的なものは一切使いません。武器は「レッドナイフ」と「レッドアロー(という名の槍)」です。中でもレッドアローの残虐さが半端じゃない。投げつけて相手を串刺しにするのはもちろん、倒れた相手に突き立てたり、不意打ちで貫いたり。

 ナイフや槍で攻撃するとどうなるかは、誰でも分かる。「ヒーローのよく分かんない力」で勝ったら素直にそのルールに従えるのに、現実世界にある武器を使うとリアルなダメージを想像してしまう。

 怪獣が武器を何も持っていないだけに、どうしても卑怯に見えてしまいます。


画像 レッドアロー。普通に槍

・説明が一切ない

 短い番組ということもあって「なぜ戦うことになったのか」の理由が一切解説されません。ストーリーは全くなし。そもそもセリフがないから、何を考えているのかすら分からない。少しでもナレーションがあったら変わったはず……かつては「怪獣おじさん」の怪獣解説があったようです。今回はない。

 理由がないと、正義の拳は単なる暴力になる。キャラクター側の背景が少しでも分かれば応援もできるでしょうけど、なんにも分からないので応援のしようがない。結果、怪獣への同情だけが残ります。


・怪獣は何もしていない

 怪獣が歩いているのは、ど田舎の山中(多分造成地)です。楽しそうに歩いています。人間に何も危害を加えていません。

 そこに現れたレッドマン。怪獣を殺します。うん、怪獣何も悪くないよね。

 レッドマンが「赤い通り魔」の名前で呼ばれるゆえんがこれ。少しでも人に迷惑をかけたり、地上を荒らしたりしていれば戦う理由として成立していたはず。せめて、レッドマンが誰かから助けを呼ばれていたらよかったのに。


画像 後ろから迫る、死。逃げてっ

・映像が怖い

 レッドマンの音楽は、不協和音のピアノ演奏。聞いていて不安になって仕方ない。しかもど田舎の水っけのない大地で戦っているため、画面がひたすらに茶色い。フィルムの劣化のせいもあるんでしょうけど、この枯れ草と土くれと崖具合はなんなの。

 そして、相手をレッドアローでぶっ刺した瞬間、音楽が消える。勘弁して、ゾワッとする。



レッドマンバクテリア説


画像 正義ってなんだっけ? という絵面

 「正義」とは曖昧な言葉です。何か守るものがあるとき、その人物にとって「守ること」が正義になるでしょう。ということは正義と正義がぶつかることは十分ありえる。「シビルウォー」です。

 レッドマンは一応「正義」を振りかざして戦っているはずです。怪獣側が自分たちなりの「正義」を持って戦っている可能性も高い。

 どっちが「正しい」かはさっぱり分からない。となると、守るべき対象が画面に存在していない以上、「行動結果」でどちらに共感できるかを判断することになります。レッドマンは「殺人」を犯している。うん、レッドマンが悪い。

 いやいや待ってほしい。彼が全138話怪獣を殺し続けるのは、おそらく摂理なのではないか。

 ぼくはここで、「レッドマン分解者説」を唱えます。

 植物は草食動物に食べられ、草食動物は肉食動物に食べられる。そのいずれも、命を失った際にバクテリアが分解し、地に戻す。

 レッドマンが殺戮することで、怪獣の数が保たれる。怪獣を全て倒しているのではなく、一定数間引きすることで、人間を含む生態系の均衡を図っている可能性がある。だとしたら彼の行動は「しかたない」ことなのではないか。ほら、同じ怪獣ダブって登場するし。

 戦えレッドマン。地球環境が円滑なものになるために。


画像 死体に背を向けて去る男、レッドマン



たまごまご


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